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ランドスケープデザインコース

2023年11月09日

【ランドスケープデザインコース】遠くへ行くためのランドスケープデザイン

ランドスケープデザインコース・業務担当教員の吉田です。

今日はランドスケープデザインコースのいくつかのスクーリングを重ねてご紹介しながら、本コースでの学びの特徴について書きたいと思います。

ランドスケープデザインコース| 学科・コース紹介

ランドスケープ、と聞いて皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?

おそらく、お庭や公園、広場、まちなかの街路、植物園や自然公園、川辺や里山の景観など、さまざまな風景が思い起こされると思います。これらの風景は、その場所に関わる植物や生き物、人々の暮らしや社会と関わりながら、長い時間をかけてつくられます。

風景に関わるランドスケープデザインは、場所がつくられて終わるのではなく、むしろ完成した後から始まり、植栽の維持や管理、場所の使い方の企画やマネジメントなどにも深く携わります。そのためランドスケープデザインに関わる領域は広く、長い時間をかけて風景をつくることをイメージしてデザインすることが求められます。

ランドスケープデザインコースのスクーリングでは、学生一人ひとりが、必要なデザインや技術を習得するために演習や実習が用意されていますが、そこでは皆で話し合いながら場所の理解を深めたり、お互いの設計プランやデザインについて意見交換やディスカッションをして検討を深めたりするなど、共同でデザインや設計に当たる方法や技術の習得も、組み込まれています。

 

「製図基礎」スクーリング内の身体測

自分達の身体のサイズを定規として、対象地の公園をグループごとに計測し、図面を書き起こします。ここでは公園を構成する園路や樹木、藤棚やベンチ、遊具といった要素と身体のスケールとを対照させて、デザインをする上で大切な空間把握の感覚を身に着けるのですが、長さや高さの計測、要素間の位置関係を読み取るためにはグループ内の役割分担や協力が重要です。

「都市と地方を結ぶ風景デザイン」スクーリング内でのプラン・デザイン検討

様々な対象地でプランニングやデザインの実習を行うスクーリングでは、一人ひとりが検討したプランやデザインを深堀するために、2人一組あるいはグループ内で、発表し意見交換をします。外苑キャンパスでの実習では、簡単な“取材記事”としてまとめ、学生全体で紹介しあう方法も取られました。プランやデザインそのものはもちろん重要ですが、その設計意図や要所を伝えること、また情報を受けとめて整理する技術や能力も同じく、高めていくことが重要なのです。

「作庭から日本庭園を学ぶ」スクーリング内での息を合わせた庭の手入れ

庭をつくることを、実際の庭作業を通じて学びます。写真は、国指定名勝である横浜・三渓園での実習時のものですが、およそ18haにも及ぶ広大な敷地全体を管理するためには、園内全体のバランスを見ながら、庭師のチームワークの下で、それぞれの場所の手入れが必要なのだと、管理に携わる庭師の方々から教わりました。

実はこの手入れの加減、バランスが重要で、園内を歩く人が、何処をみても手が行き届いていると感じてもらえるように整える必要があるとのこと。場所と向き合いながら、時に全体を見渡して手入れの方針を確認し、作業に取りかかる学生たちの間には、自然と役割分担ができ、周りの人と息を合わせた作業を進められました。

通信教育課程におけるスクーリングは、実際の場所に向き合い、場所の歴史や環境特性を感じながらデザインへの理解や考えを深めること、そして学生同士や講師との対話を通じて、プランやデザインの検討を広げていく点で、非常に重要な機会となります。

「早く行くなら一人で、遠くへ行くならみんなで」と言われるように、遠い未来にまでつながる風景をつくり出していくことがランドスケープデザインの魅力の一つです。同時に、急激に変化する環境・社会課題への“変革的適応”が求められる現代において、遠い未来につながるためのランドスケープデザインは、これからのグローバル・ローカルな課題解決の切り口となると、私は思います。

身近な環境や風景と関連付けながら、ランドスケープデザインの持つ重要性や魅力、楽しさをこれからも学生さんと一緒に考えていきたいと思います。

 

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日本庭園の様式は、平安時代及び鎌倉時代の寝殿造庭園や寺院の庭、室町時代の武将の庭や枯山水石庭、安土桃山時代の露地、江戸時代の大名による池泉回遊式庭園、近代の自然主義庭園、昭和時代の雑木の庭などへと続きます。

東日本では国指定名勝・史跡庭園の80庭近くをはじめとして、すべての時代の庭園を見ることができます。これらのうち興味深い庭園を写真や図面で紹介します。次に、これら日本庭園の持つ本質的価値(地域性・歴史性・人間性)が、現代の作庭やランドスケープデザインにどのように繋がっているのかを、講師の実作品紹介により提示いたします。

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