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2024年01月17日

【日本画コース】教員インタビュー「新年度を先取り!鉛筆写生、色鉛筆写生の取り組み方」

こんにちは。日本画コースの岸本祥太です。

今回は、佐々木るり子先生にインタビューをしてまいりましたのでその内容をご紹介します。

佐々木先生は京都のスクーリングと藝術学舎で花や植物を写生する授業を担当しておられます。鉛筆、色鉛筆の画材としての扱い方や魅力について、先生ご自身のお話と併せて伺ってまいりました。

授業中にご指導をされる佐々木るり子先生(写真右)



岸本:佐々木先生よろしくお願いします。佐々木先生は鉛筆、色鉛筆を用いた写生の授業を多く担当しておられますので、今回は写生のことを中心にお伺いしたいです。

日本画の写生では鉛筆、色鉛筆を使うことが一般的です。誰しも一度は触れたことがある画材だとは思いますが、日本画の写生においては少し工夫して使用する必要がありますよね。画材としての特性も、少し意識してあげると良い写生に繋がるような気がするのですが、いかがでしょうか。まずは鉛筆のことから、お伺いしたいです。

佐々木先生:鉛筆の良さは、手軽であること、鉛筆とカッターナイフ(用紙は勿論)さえあれば、どこででも描けることです。モノの形をスラスラと取れるようになりたい方は、鉛筆1本とハガキ大のスケッチブック、クロッキー帳などを持ち歩き、待ち時間などに手を動かす習慣をつけると、描くことに慣れてくると思います。

また、鉛筆も色鉛筆も先を尖らせておくためによく削ることが大切です。面として塗り込む際に寝かせて描くときのために、先を長くしておくことも大切ですね。描いていて色の乗りが悪いと感じたら、すぐに尖らせてみてください。

鉛筆の持ち方や削り方には、日本画コースの教材などで確認することができます。



色鉛筆も鉛筆ほど長く尖らせているわけではありませんが、上の写真のような具合であれば細かい部分もある程度よく描き込むことが可能です。



岸本:色鉛筆についてはいかがでしょうか。色を塗り重ねることで表現に深みが出てくる画材のため、ある程度の色数を用意しておくことが必要だと思います。色選びのポイントなどと併せてお伺いしたいです。

佐々木先生:課題では、実物に忠実に描くため、何度も色を重ねる必要がありますが、色鉛筆の魅力も手軽さだと思います。色の美しさ、特徴が一目でわかるので、時間が無いときなど、印象を簡単に彩色しておくことが出来るからです。

しかし、見た目の色と紙に塗った時の色が違うため、初めての方は戸惑われると思います。絵の具のような混色ができないため、重ねたときの色味を想像しながら置くことになりますが、違ったとしても、そこにまた新しい発見があるので楽しみながら描いてほしいです。こう言いますと、色選びは難しいと思われるかもしれませんが、どんどん試し塗りを別紙にしてみると、失敗もあるでしょうが、思わぬ発見があって楽しくなります。

日本画研究室から皆さんにお勧めしているトンボの36色色鉛筆は、色鉛筆の蝋分と顔料のバランスが大変よいと感じています。ファーバーカステルの色鉛筆も、もう一つのお勧めです。柔らかい色味がよく描き味も硬すぎず柔らかすぎずちょうど良いバランスです。

日本画コースでお勧めしている色鉛筆のセット ファーバーカステル120色セット(左)トンボ36色セット(右)



ファーバーカステルは少ししっとりした色合いが魅力的です。



岸本: 鉛筆、色鉛筆ともに、手軽で扱いやすい画材であるとのことでしたが、写生すること、絵を描くことについてもあまり硬く考えすぎず、学生の皆さんには楽しんで取り組んでいただきたいですね。

途中にあった試し塗りをしてみることが大切というお話についてですが、色鉛筆のスクーリングでは、カラーチャートを作成する課題もありますね。この際に作成したチャートを写生の授業で持ってきている人は多いように思います。



先日京都で行われた2年次科目 剥製写生のスクーリングから。 カラーチャートは入学してすぐに受けることができる一年次の色鉛筆写生で作成したものですが、学年が上がった2年次、3年次の授業に持参してこられる方をよく見かけます。



岸本:ここまで、画材についてのご質問をさせていただきましたが、佐々木先生ご自身が写生の際、大切にしておられることもお伺いしたいです。

以前、佐々木先生は色彩に対して日頃から興味を持って生活しておられるとお仰っていましたが、そういったお話など併せてお伺いしたいです。

佐々木先生:私は5歳の頃に、母に買ってもらった 100 色のクレヨンが嬉しくて…それが契機となって、気づ いたら絵を描いていたような気がします。小学生になってからは毎日というわけでもないのですが、学校から帰ってきたらクレヨンを使ってたくさん絵を描いていたそうです。色に対して意識が向くようになったのはこのころからのように思います。

ただし色に対する興味がないと絵が描けないというわけではありませんし、描きたいと思ったきっかけは人それぞれあるはずですので、日本画コースの学生の皆さんにはそれを大切にして欲しいですね。私が昔教わった時にはとにかくモノをよくみて描くようにと指導されました。「よく見る」と言われても…と戸惑ってしまう方もおられるかもしれませんが、とりあえず最初は描いてみることです。

日本画コースの最初の課題として出されるのはりんごとバナナですが、同じモチーフでも置き方によって構図の取り方は違ってきますし、その人の描くときの心情によって見え方は変わってくることでしょう。ですので、まずは描いてみてください。しばらく描いてみて画面から少し離れてみたりすると、描き足りないところも見えてくるはずです。

この辺りは自分との対話のようなものですね。一生懸命見ようとしていただければ上手下手関係なく、よい作品というのはできてくると思います。出来上がった作品がどうというよりは、描いていく過程で自分の中で何かを考えることや気づきがあることが大事だと思いますね。



岸本:インタビューは以上となります。佐々木先生、貴重なお話をありがとうございました。

インタビューを通して、楽しんで絵を描いてほしい、上手いか下手かというだけでなく、写生を通じて自分なりの気付きを積み重ねて欲しいというお言葉を何度かお聞きしました。勿論、絵を描くことは簡単なことばかりではありませんし、うまくいかないことの方が多いかもしれません。そういった中でも新たな学びに触れ合う時間を楽しんで取り組んでいただければと思います。

それでは次回のブログでお会いしましょう。来月もよろしくお願いします。

 

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