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2024年04月02日
【ランドスケープデザインコース】旅立ちの春・支柱の取れた若木たちへ -卒業制作展レポート-
こんにちは。業務担当の藤津よりお届けします。
先日、本学で「通信教育課程 卒業・修了制作展」が開催されました。今年は本コース卒業と大学院修了の方々の作品・論文の展示が一堂に会しました。普段、社会人生活を営みながら、学んできたことを昇華し、知力体力を尽くして作り上げた成果物。どれも社会問題や未来の課題にランドスケープデザインの観点からアプローチする力作となりました。
個々の作品紹介はウェブ展でもいくつかご覧になれます。
京都芸術大学 通信教育課程WEB卒業・修了制作展 2023年度
ここでは本コース15作品のプロフィールを概観してみましょう。
【対象地の分類】
●都市 4件 (うち人工地盤 2件)
●地方・郊外 5件
●里海里山 4件
●庭園 2件 (うち移動式庭園 1件)
【提案の種類】
●橋・緑道・ネットワーク動線提案 5件
●地域活性化・観光拠点整備 6件
●環境保全・修復・再生と資源循環 4件
都市を対象地とする提案は、公園や駅前広場、緑の回廊といった提案が見られました。学科賞受賞の「SUMIDA Greenbelt Park」は隅田川にかかる橋としての機能をもちながら、スキップフロアの人工地盤を折り重ね、回遊性をそなえた楽しい水上ガーデンになっています。古来より眺望の良い橋は、周囲を気持ちよく見渡す視点場となり、同時に美しい名所ともなるという「見る・見られる」素敵な関係性に着目した点が光っている提案でした。
全国から受講生が集まる通信ランドの特徴として、今年も出身地をベースとした地方再生提案や里海里山環境再生も多くみられました。同窓会賞受賞の「近くにある大自然との接点,海岸 ~海を身近に感じる丘空間の創出~」は静岡・清水海岸で起こっている海岸線の浸食を伝え、砂浜の風景を30年計画で保全・再生することを提案しました。
コース奨励賞の「もっとまちが好きになる ~布袋さんは何者か~」は、愛知県江南市の「布袋駅」を中心に緑道を設け、地域の人々のつながりを再認識するためのカギとして地域のシンボルとなっている数多くの「布袋さん」に着目しました。地域の歴史文化を丹念に拾い、自分の足元からまちを見つめる優しいまなざしを感じます。
筆者が個人的に楽しい提案だと感じたのは、まちに仮設として出現する空き地をコンテナで積極的に緑化しようという「仮の庭」です。園芸資材の産業廃棄物を有効活用し、グリーン・ゲリラ的なアプローチも楽しく、サスティナブルな取り組みとして定着させて、心地よい緑地空間の創出を目指しています。
歴史由緒ある植物園の修復再生をはかる「在来草本を楽しむ庭園の提案と梅林の再生」は、選択的除草やバイオネストといった今日的な園芸アプローチを活用しつつ、経年変化により澱のように積み重なった不要物を整理し、本来の庭の姿を取り戻そうとしており、ランドスケープデザインの基本に極めて忠実であると感じました。
ランドスケープデザインの醍醐味は模型やスケッチ、パース表現によるプレゼンテーションにあるといって過言ではありません。描線の潔さ、着彩の美しさで目を引いたいくつかのボードを紹介します。
こうした卒業制作は一日にして出来上がったものではなく、数年の訓練を経て、スケッチや製図、模型で手を動かして、プレゼンテーションで人に伝える難しさと喜びを知った各人の成長の証。今年の卒業式で尼崎先生が送った言葉――本コースの学びを終えた、いまのみなさんは支柱のとれた若木であり、これからは支え無しに根をぐっと張って自立していく変換期でもある――の通りに、今後もランドスケープデザインの世界を探求し、広げてくれることを心から応援しています。
卒業制作については下記WEB卒展アーカイブでも閲覧可能です。
京都芸術大学 通信教育課程WEB卒業・修了制作展 2023年度
卒業制作カリキュラム全体の流れについての投稿はこちらから
【ランドスケープデザインコース】卒業制作のプロセスと風景
ランドスケープデザインコース| 学科・コース紹介
先日、本学で「通信教育課程 卒業・修了制作展」が開催されました。今年は本コース卒業と大学院修了の方々の作品・論文の展示が一堂に会しました。普段、社会人生活を営みながら、学んできたことを昇華し、知力体力を尽くして作り上げた成果物。どれも社会問題や未来の課題にランドスケープデザインの観点からアプローチする力作となりました。
個々の作品紹介はウェブ展でもいくつかご覧になれます。
京都芸術大学 通信教育課程WEB卒業・修了制作展 2023年度
ここでは本コース15作品のプロフィールを概観してみましょう。
2024年度 卒業制作成果物 今年の傾向
【対象地の分類】
●都市 4件 (うち人工地盤 2件)
●地方・郊外 5件
●里海里山 4件
●庭園 2件 (うち移動式庭園 1件)
【提案の種類】
●橋・緑道・ネットワーク動線提案 5件
●地域活性化・観光拠点整備 6件
●環境保全・修復・再生と資源循環 4件
見る・見られる 視線が行きかう水上ガーデン
都市を対象地とする提案は、公園や駅前広場、緑の回廊といった提案が見られました。学科賞受賞の「SUMIDA Greenbelt Park」は隅田川にかかる橋としての機能をもちながら、スキップフロアの人工地盤を折り重ね、回遊性をそなえた楽しい水上ガーデンになっています。古来より眺望の良い橋は、周囲を気持ちよく見渡す視点場となり、同時に美しい名所ともなるという「見る・見られる」素敵な関係性に着目した点が光っている提案でした。
全国から受講生が集まる通信ランドの特徴として、今年も出身地をベースとした地方再生提案や里海里山環境再生も多くみられました。同窓会賞受賞の「近くにある大自然との接点,海岸 ~海を身近に感じる丘空間の創出~」は静岡・清水海岸で起こっている海岸線の浸食を伝え、砂浜の風景を30年計画で保全・再生することを提案しました。
コース奨励賞の「もっとまちが好きになる ~布袋さんは何者か~」は、愛知県江南市の「布袋駅」を中心に緑道を設け、地域の人々のつながりを再認識するためのカギとして地域のシンボルとなっている数多くの「布袋さん」に着目しました。地域の歴史文化を丹念に拾い、自分の足元からまちを見つめる優しいまなざしを感じます。
まちにもっと緑を!
筆者が個人的に楽しい提案だと感じたのは、まちに仮設として出現する空き地をコンテナで積極的に緑化しようという「仮の庭」です。園芸資材の産業廃棄物を有効活用し、グリーン・ゲリラ的なアプローチも楽しく、サスティナブルな取り組みとして定着させて、心地よい緑地空間の創出を目指しています。
歴史由緒ある植物園の修復再生をはかる「在来草本を楽しむ庭園の提案と梅林の再生」は、選択的除草やバイオネストといった今日的な園芸アプローチを活用しつつ、経年変化により澱のように積み重なった不要物を整理し、本来の庭の姿を取り戻そうとしており、ランドスケープデザインの基本に極めて忠実であると感じました。
その場所に行ってみたい—風景スケッチ
ランドスケープデザインの醍醐味は模型やスケッチ、パース表現によるプレゼンテーションにあるといって過言ではありません。描線の潔さ、着彩の美しさで目を引いたいくつかのボードを紹介します。
こうした卒業制作は一日にして出来上がったものではなく、数年の訓練を経て、スケッチや製図、模型で手を動かして、プレゼンテーションで人に伝える難しさと喜びを知った各人の成長の証。今年の卒業式で尼崎先生が送った言葉――本コースの学びを終えた、いまのみなさんは支柱のとれた若木であり、これからは支え無しに根をぐっと張って自立していく変換期でもある――の通りに、今後もランドスケープデザインの世界を探求し、広げてくれることを心から応援しています。
卒業制作については下記WEB卒展アーカイブでも閲覧可能です。
京都芸術大学 通信教育課程WEB卒業・修了制作展 2023年度
卒業制作カリキュラム全体の流れについての投稿はこちらから
【ランドスケープデザインコース】卒業制作のプロセスと風景
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