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2024年04月11日

【芸術学コース】卒業論文提出というゴール、あるいはスタート——知識や考え方を身につけ、使っていくために

  こんにちは。芸術学コース教員の江本です。

  新年度がスタートし、多くの仲間が加わりました。新入生は入学式やガイダンスを経て、徐々に学習のペースを掴んでいくことになります。
  一方、今年度の卒業を目指す学生にとっては、4月の初旬が卒業論文の草稿提出の時期でした。新年度のスタートが、約1年をかけて研究・論文執筆を進める「卒業研究」のスタートでもあるのです。「卒業研究」とは一体どのようなものなのか、2023年度の卒業制作展を振り返りながら解説します。 

2023年度卒業制作展の振り返り


 2024310日〜17日まで、瓜生山キャンパスにて卒業・修了制作展が開催されました。芸術学コースでは59名の学生が卒業論文を提出し、その現物が展示されました。卒業論文の分量は12千〜2万字です。会場で59本の論文を前にすると、その重量に圧倒されるだけでなく、その背後にある一人ひとりが費やした時間や労力も思い起こされます。

芸術学科の展示スペース。
各コースの論文・作品、優秀論文のパネルが展示されています。



  卒業研究ではそれぞれが関心を持ったテーマを見つけ、1本の論文にまとめます。2023年度の研究テーマは大きく分けると、以下のような内訳となっていました。

  日本・東洋美術系…16
  西洋美術系…28
  芸術理論、芸術文化等…15

提出された59本の卒業論文。
卒展の会期中、実際に手に取って読むことができます。



  いかがでしょうか。「日本・東洋美術系」「西洋美術系」は特定の芸術家や作品などを対象したものとしてイメージやすいかもしれません。ただし、美術史的な研究とひと口に言っても、実際は時代や地域、研究手法も多種多様です。
  これに対して「芸術理論、芸術文化等」としたものは、必ずしも美術史学の枠組みに収まるものではありません。広く芸術文化や感性的な問題を対象とするもの、芸術理論的な手法を用いた研究などが該当します。たとえば、美術館・博物館に関するもの、音楽や映画、作品のあり方について問うものなどが挙げられます。芸術学が対象とするのは、必ずしも美術館・博物館に収められた造形芸術作品とは限らないのです。

見事、学長賞を受賞した公立美術館のリニューアルに関する研究。
卒展会場にて、学生が学長に解説している様子。 


知識を身につけるだけでなく、使っていくために


  芸術学コースでは、卒業論文の提出を卒業要件として課しています。ただし、いきなり「卒業論文を書いて提出してください」ということはありません。2024年度現在のカリキュラムでは約2年をかけ、提出に向けて準備を進めていきます。
  まず、卒業予定の前年度には「論文研究」(通称「論研」)を履修し、ゼミ形式の2回のスクーリングと2回のレポート課題の提出によって卒業研究のテーマを具体化していきます。続いて卒業予定年度には、「卒業研究」(通称「卒研」)を履修します。レポート課題の提出3回、面談2回を経て、教員と研究の進め方を相談しながら、論文の執筆を草稿、中間報告、仮提出と進めていきます。
  また、コース全体のカリキュラムも論研や卒研を目指してステップアップしていく構成となっています。芸術学の基礎や絵画の見方、資料の読み方を学んだ上で、様々な領域の最新の研究状況を学習するという形です。卒業論文とはまさにコースの学びの集大成なのです。 

  このようなカリキュラムによって、芸術学コースでは知識や考え方を身につけるだけでなく、これらを自由に使っていけるようになることを目指しています。「卒研」での取り組みは、そのような実践の第一歩です。もちろん、必要な情報を収集・吟味すること、そこから議論を組み立て、一定の妥当性のある見解を導き出す力は「卒研」だけに有効な力ではありません。情報や簡便なツールへのアクセスが容易となった現代だからこそ、物事を自分自身の視点で捉え、見極めるために大いに役立つはずです。

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