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空間演出デザインコース

2024年06月07日

【空間演出デザインコース】街のコンテクストを読み解いたコンセプトストアのデザインとは

こんにちは。空間演出デザインコース研究室の片岡です。
よろしくお願いします。

新緑の季節となりました。外苑キャンパスの周りも新緑が目に鮮やかで、 すがすがしいです。時々気分を切り替えられる様に、 窓を大きく開けて講義を進めたりしました。これも小さな空間演出ですね。



★ 今回は3年次スクーリング科目として外苑キャンパスにて開講された「ショップデザイン」の様子をご紹介いたします。

|コンセプトストアを設計する


鉄骨造の商業施設を題材に、「コンセプトストアを設計する」というテーマで商業空間のリノベーション計画について学びます。多様な価値観が存在する都市において消費者を惹き付ける魅力的な空間デザインとは、どのようなものでしょう。

|コンセプトストアとは


コンセプトストアとは、単に品物を揃えてレイアウトする店でなく、コンセプトを立て、そのコンセプトに合う商品や空間を店舗全体で演出するだろうことは容易にわかります。コンセプトストアという呼称が今ではかなり一般化してきて、何を正解とするかは難しいところですが、本来は服屋さん、靴屋さん、本屋さんなど、ある品物を販売していた店舗がその主たる販売商品に紐づいて、衣食住を横断して商品または出来事を提案する店舗がコンセプトストアではないでしょうか。

|プランを練りに練る


まず、このスクーリングでは、事前課題でスクーリングを進める上で欠かせない準備物が数多く設定されています。事前課題の段階で、商業施設のコンセプトと店舗内のゾーニング、動線計画はおおかた詰めておきます。
1、建物の仕組み、周辺環境を把握する

本課題の設計対象地は青山のある角地です。
今では、Googleマップを使用した調査でも雰囲気を掴むことはできます。高級ブランド店が多いことはわかりますし、路地を散策すると、小さなギャラリーが点在していたり、案外飲食店も多い。実は、居住エリアとして機能してるのでは?という推測くらいまではできそうです。しかし、せっかくの学びの機会です。もう一歩踏み込みましょう。街を歩くことで得る情報も多いです。直接現地に足を運んで人々の動きを観察して、気づいたことをまとめて考察を深める学生もいます。すると、例えば、若い世代だけでなく、落ち着いたご夫婦が歩く様子に気づいたり。歩く人々の服装や雰囲気から街の趣向が見えてきたりします。
2、コンセプト、デザイン方針やイメージを考える

本課題で対象とする場所は商業施設とはいえ、規模は小さく、2階建てという条件がありますので、バランス感をもった計画力が試されます。多くを提案しすぎず、何で興味を惹き、何を売るか。主力商品何か。それをより引き立てる魅せ方が考えどころだと思います。
3、各機能および動線の計画とゾーニング

考えている機能やそこを利用する動線のつながりを図化します。エントランスから店舗、階段、そしてスタッフルームとの関わりや、カフェやキッチンの位置、客席との関係、搬入搬出の動線などのエスキスを重ねます。特に2階へお客さんを導くための工夫は、創造力が試されるところです。

|伝える為の表現手法をしっかり身につける


ここからがスクーリングです。講師と学生が直接向き合い、プランをより良いものに練りあげていきます。

まず、スクーリングの最初に、講師のコメントを記載したプランニングシートを学生それぞれに返却します。計画に無理がある場合はプランの修正が必要です。コンセプトが伝わりにくい場合はもちろん修正していきますし、ちょっとしたミスでスラブに頭が当たってしまうような階段計画があることも。

ひと通り皆さんのプランを見たことでわかった、伝えておくべきこと、押さえておくべき考え方などを共有、確認します。鉄骨造の建物におけるリノベーション手法や単位空間、基本寸法、動線計画、ゾーニング等といった商空間の計画知識の習得です。

講義前に淡々と説明に必要な資料を準備しています。



講師は榊田倫之先生。新素材研究所の代表を務められ「古いものが、新しい」というコンセプトをもとに、素材自体に存在する時の経過を扱い、新旧の調和を図ることで唯一無二の魅力を生み出すという提案をされています。第一線で活躍されている日々の設計手法をフランクに教えていただけるとても貴重な機会だと思います。

|小さな疑問は即座に図解で共有


スクーリング中、その時々で発生するひとりひとりの疑問を即座に図解します。知っていればすぐ乗り越えられる様な細かい事は随時クリアにして、プランをより良くする思考に集中して欲しいからです。さらに、設計者が日々空間をどう捉えて、アイデアを具体化していくか。時に、階段やトイレなど、身近な空間を実際に測るなどして体を動かし体験する必要性も説きます。

何枚もの白板に、図解化し説明をすることを繰り返します。



図面表現とは、線で表現するという事はどういうことかを理解しながら描き進めます。



ファサードの店内との関係で魅力を伝える様に検討できているのでしょうか。


|最終プレゼンテーション


自らの計画に向き合い、手を動かし検討し、気づいたことを作品に反映しました。青山という場所の状況、背景等を汲み取り共感してもらえる事が必要です。

この場所にあるコンセプトストアの目的をプレゼン、計画の表現、図面での表現ができているかを皆で確認できました。



3年次の科目ですので、実践的に店舗の業態等の計画から設計まで取り組むことができました。商業空間を賑わすとはどういうことか。現代社会における商業空間デザインの意義を深く考えることになったと思います。

◆空間演出デザインコース| 学科・コース紹介

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