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歴史遺産コース

2024年07月20日

【歴史遺産コース】平安時代の痕跡

こんにちは、歴史遺産コース業務担当非常勤講師の岩田です。
暑い日が続いていますが、京都は多くの観光客で賑わっています。さて、京都といえば、みなさんはどのようなイメージを思い浮かべるでしょうか?現在、NHKの大河ドラマで紫式部が主人公の「光る君へ」が放映されていますが、平安京や雅な王朝文化のイメージを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。

 しかし、意外なことに、平安京のあった碁盤の目のエリアには、現在、平安時代の建造物は1つも残っていません。発掘により、貴族の邸宅や大内裏の遺構の一部が見つかるぐらいです。京都は平安時代から1000年以上都であり続けましたが、戦乱や大火、大地震などにより、古い建造物は失われていきました。東寺も京都御所も平安時代のものではありません。後世に再建・造営されたものです。

 では、京都の市街地で最古の建造物はどれでしょうか。上京区にある千本釈迦堂(大報恩寺)の本堂で、1227年に建立されました。国宝です。鎌倉時代の建造物が京都の市街地では最古ということになります。

千本釈迦堂の本堂。写真撮影時は境内で陶器市と手作り市とが開催されていました。2024年7月11日。



ただし、千本釈迦堂は厳密にいうと、平安京の碁盤の目のエリアではなく、その北に位置します。平安京の北辺は平安時代中期以後、徐々に開発が進み、道路も整備され、住宅も増えた地域です。

千本釈迦堂 本堂の正面



 

平安京のあったエリアの郊外に目を向けると、952年に建立された醍醐寺五重塔、1165年に建立された太秦の広隆寺講堂などがあり、平安時代の建造物が残っています。このように、私たちは平安京のあった場所に平安時代の建造物が残っていないにもかかわらず、京都に対して王朝文化のイメージを持っているのです。それだけの歴史がこの土地には刻まれているのです。

広隆寺の講堂。現在、京都府による保存修理中です。



 

 京都には平安時代以後も様々な歴史が積み重ねられてきました。歴史遺産コースでは、古代から近現代までの京都の歴史について学ぶテキスト科目やスクーリング科目がいくつもあります。これまで知らなかった京都の歴史や文化について、是非私たちと学びましょう。

広隆寺境内



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