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和の伝統文化コース

2024年08月08日

【和の伝統文化コース】大河ドラマと授業

こんにちは。和の伝統文化コースの野村です。
今年の大河ドラマ「光る君へ」は平安時代を描いているもので、SNSなどでも話題に上っているのをよく見かけます。皆さんは御覧になっていますか。
「光る君へ」をはじめ、「鎌倉殿の13人」など最近の大河ドラマは歴史資料を踏まえて創作しており、研究者の一人としても愉しくみています。
平安時代や鎌倉時代といったイメージがなかなか湧きづらい時代について、ビジュアルとして示されているのは、歴史や歴史史料の授業をする身にとっても大変ありがたいことです。文字だけの歴史史料からでは、容易に想像出来ないイメージ図が、ドラマによって再現されているのですから。

 さて、このブログが公開されるのは、「光る君へ」の第30回目にあたる「つながる言の葉」が放映されたあとになると思います。先に執筆しているので、どんなことが描かれるのかは分かりません。ただ番組の案内を読むと主人公であるまひろ(吉高由里子さん)の夫(藤原宣孝、佐々木蔵之介さん)が亡くなった3年後というので、長保6年(1004)になることでしょう。この長保6年は7月に改元があり、寛弘元年となっている年にあたります。
一条天皇は26才です。この一条天皇、後世には名君と呼ばれていますが、ドラマでも描かれている通り、皇后の定子(高畑充希さん)を寵愛し道長と対立することもありました。
そんな一条天皇が行った事績に神社行幸と呼ばれるものがあります。
神社行幸とは、特定の神社に天皇が参詣することを指します。そう聞くと「よくあることじゃない?」と思われるかも知れませんが、当時の天皇が直接、神社に行幸することは、極めて特別なことでありました。
そして、この第30回目の時代、つまり長保6年(寛弘元年)に初めて行われたのが京都の松尾大社への行幸です。当時は松尾大社ではなく、松尾神社と呼ばれていました。

(現在の松尾大社の社殿です。)



 その記録は藤原道長の日記である『御堂関白記』や、藤原行成の日記『権記』にも遺されています。
この行幸で詠まれた歌が「ちはやふる松のお山のかけみれはけふそ千とせのはしめなりける」というものです。松尾大社と一条天皇の時代を言祝ぐものでした。
松尾大社をはじめとする神社が祀る日本の神々、八百万の神の信仰は「神道」と呼ばれるもので、天皇が第一に行うことが神を祀ること、つまり神事を行うことでした。

 神道は日本の基層文化として、和の伝統文化に影響を及ぼしています。和の伝統文化コースでは、こうした基層文化としての神道を学ぶ授業もカリキュラムの一つとして行っています。
具体的にはスクーリング科目の「伝統文化研修」という授業で、対面の授業として松尾大社を訪れ、社殿を見学し神職の方からレクチャーもいただきました。
(この「伝統文化研究」という授業は、入学してすぐに受けて頂くスクーリング科目となっており、対面の研修授業とオンラインの研修授業の2日程を開講しています。)

 最新の研究成果を踏まえて、伝統文化を学ぶ。さらには知識だけではなく、実見・体験をして理解を深めるのが、和の伝統文化コースの特色でもあります。

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