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2024年09月06日
【空間演出デザインコース】空間の観察、空間の魅力を発見する
夏の外苑キャンパス周辺、スクーリングが開催されているとある日の風景です。

スクーリングは土曜、日曜に開催されますので、神宮外苑周辺では、穏やかに歩く方、ランニング、サイクリング、イベントが開催されればウキウキしている人々がワッと集まったりします。そんな方々がいる中で、座り込んで何やら地面の撮影に夢中な人、しばらく固まって空を撮影する人、スマホを草むらに投げるなど不思議なことをしている人など。今日は「メディア表現と空間演出」という講義で、その制作に使う素材を収集しています。外は暑いです。溶けそうです。

★ 今回はテキストワーク科目のうちのひとつ「空間ファイル」について、課題の概要をご紹介いたします。
まず、テキストワークとは、冒頭でお話ししたキャンパスにて対面、またはオンラインで講義を受ける科目とは違い、ご自宅にて課題に向き合い調査、考察、編集をくりかえす 制作100%の課題です。今回ご紹介する「空間ファイル」では、フィールドワーク(空間の観察)を通じて日常生活を取り囲む様々な建築・都市空間の実例からその構成要素を再発見し、編集することで、今後の空間デザインをするための様々な設計手法、アイデアを習得します。フィールドワークから自らが導いた構成概念(キーワード)を手掛かりに、様々に展開する建築・都市空間の構成事例を整理分類し今後の設計手法に役立てることを目標とします。
課題の進め方から、その概要が伝わると思いお話をすすめます。
空間観察のポイント
まずは、空間を観察するポイントを理解しましょう。Webテキストとして、観察のきっかけとなるであろうキーワードがあらかじめ用意されています。

キーワードの一部です。モノとモノの関わりを表す言葉の羅列があり、形を楽しむ、分解するといった、目の前の空間を読み解く指針が紹介されています。
みなれた言葉の羅列と共に、参考イメージとコメントがあります。これらの言葉の印象を一通り確かめてみると、空間観察での視点が変わると思います。「うかぶ」とは、均衡が取れているという事ですし、「あらがう」ということは、自然の摂理に反発していること。その様な視点で建築物を見てみると、重力に反発し、重さを支える構造に目がいきます。新たな視点を携えて、様々なデザイン手法の源泉となる構成要素を日常的な実空間から探し出しましょう。
フィールドに出かけ、空間を見つける
空間を観察するポイントが理解できたら、早速フィールドに飛び出しましょう。フィールドは通勤、通学の道中でも良く、もちろん旅行など特別な移動先でもかまいません。あなた自身のオリジナルな視点で空間を丁寧に見つめてみましょう。
フィールドワーク(空間の観察)を行う
フィールドで空間が発見できたら、いよいよフィールドワーク(空間の観察)です。
その空間をどの様なキーワードで表現できそうか。空間の大きさはどのくらいか。空間の周囲はどうなっているか。を観察します。空間を構成している要素、材料は何か。まで考えられると、観察の深みは増しますね。目の前にある空間の状況や様子、形態の特徴をしっかりと捉え、忘れないうちに、素早く記録しましょう。
忘れがちなのは、空間はモノだけで構成されてはいないということ。ヒトがいたならば、ヒトはその空間でどう過ごしているか、観察しましょう。光、香り、音など五感を研ぎ澄まして観察してみましょう。コンベックス(巻尺)を用いて、空間の幅、奥行き、高さ、その他必要と思う寸法を実測し、記録して観るとより周囲との関わりやその理由が想像できたりします。
自宅に帰ってファイルにまとめる
フィールドワークから戻ったら、記憶が新鮮なうちに観察した空間を「空間ファイル」にまとめましょう。フィールドワーク時のメモを読み返し、発見した空間を思い返しながら、テキストから選んだキーワードとともに、400字程度のコメントを記述します。
例えば、こんな感じです。

「すかす」商業施設の屋根が透けていて、そこには水が張られている。下から上をすかせるし、上からも下をすかせる。そこを起点に観察していると、時間の経過と共に変化する水面をすかす光に気がつきました。時間の経過と空間演出の関わりでした。

「せいし」噴水の一瞬のアーチを見る行為は、静止した空間を見る事ととらえ、噴水の一瞬の後の静まり返った様子も静止の状態と捉えました。

「のぼる・くだる」 20作品の提示を求めていますが、そのうち半分は手書きでのスケッチに挑戦していただきます。
空間の魅力を発見したり意味を見つけ出す
この課題は空間演出デザインコース入学後、早い段階で取り組む課題です。これから空間演出デザインを行う上で、屋外、屋内に関わらずさまざまな空間の魅力を発見したり意味を見つけ出すことは大切です。そうした気づきがヒントとなって、自身の空間デザインの方針に影響を及ぼしたり、決定づけたりすることは多くあります。空間の観察は深く個性的であるべきです。そして、そのトレーニングはずっと続くことでしょう。ぜひその空間観察の礎をこの課題で掴んでいただける事を期待しています。
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