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通信制大学院

2024年09月28日

【通信制大学院】美術・工芸領域 洋画分野は走っています。

さて、どこを目指して走っているのでしょうか。本当は何も走らなくてもいいのです。ゆっくりじっくりが分野のモットーですし、私たち(分野研究室では奥田輝芳、由井武人の2名の教員が授業を行っています)の信条でもあります。

遠隔の大学院がスタートして1年半。実習授業の指導を遠隔でどのように進めるのか、と言う疑問をこのブログを読んでいらっしゃる方のほぼ全員が思われておられると思います。
コロナが治って、日常生活が100%とは言いませんが戻ってきて、大学のみならずさまざまな機関が元通りになりつつありますが、コロナの教訓はさまざまな社会でさまざまな見直しがされ、確実に我々を取り巻く環境を変えました。実際に通信教育という言葉は、遠隔で学習が進められるという利点を持っています。

2020年当時は「こんなことできるのか」と実習での遠隔授業を急速に作成し、運用しました。振り返るとその時に作ったさまざまなノウハウが「ひょっとして」と大学運営を刺激したのかもしれません。あの時に遠隔授業が失敗していたら、この大学院はできていなかったかも知れません。

ともあれこうした背景を持ちながら通信教育過程での新たな大学院構想が今こうして実現しています。したがって大学へ一度も足を運ばずに芸術修士が取得できるという画期的な大学院ができました。実際のところどのように授業を進めているのかを紹介します。

まず、授業はご存じzoom会議システムを基本的に使います。
授業の様子。画面を通しての個別講評が多い。
2年間の授業の中で重要な創作研究を、自宅等での制作、作品をシラバス内にある提出場所へ提出し、演習授業、研究授業は画面共有機能を用いて、PC画面を全員で見ながら講評していきます。他には講義系のオンデマンド授業があり、映像画像、動画視聴後のレポート提出で学習を進めます。全て遠隔で行うために、大学には全く来なくても良いのです。実際現在もパリやマレーシアから受講している方もおられます。

洋画分野では実習の課題として大学院1年生は50枚のドローイングや制作合計300号という課題もあります。先ほどのzoom授業で画面共有していただくのはこういった課題を毎回のスクーリングで講評します。パソコンを通してのスクーリングは年間8日間、1回5講時(80分×5)で行い、授業終了後、次のスクーリングまでに各自が新たなドローイングや制作を進めていく、という方法で授業進みます。50枚のドローイングや300号の課題は、皆さんそれぞれのペースで制作、提出されています。

また洋画分野でも講義系の授業があり、絵画史概説を聴講し自身の作品制作の背景を確認する講義と、制作に関わる絵画素材についての聴講によって表現を広げる講義が準備されています。大学院の共通講義にも美術史や素材学の講義もあり、常に自身の創作と関わる内容の授業があります。

ドローイングの作例

作品の作例

もう一つ対面型の授業も用意されており、こちらは実際に大学へ足を運んでもらって、制作をしていただきます。研究指導という名称でIIVまであり、1年の研究指導 I では絵画素材や、下地材の制作実習なども行う授業です。
※研究指導 Iの実習風景

それと、学生それぞれの作品を大学へ持参または送付して、講評、制作をする研究指導 IIの授業です。各自のテーマに合わせた制作と大学での対面講評(合評会)を行い、制作をします。
大学院2年生になるといよいよ修士論文(制作研究ノート)や修士制作が始まり、自身の研究テーマをきめ、論文(制作研究ノート)を書き出すとともに、修士制作を始めていきます。テーマ決定がスムーズに行える人も、時間を要する人もいますが、論文草稿を書く中で、あるいは大学へ来て研究指導を受講する中で少しずつ決めていく人もおられます。大学院での研究についてはやはり一律のテーマで行う訳ではありませんので基本的には個別指導が中心になります。研究指導 III IVも作品を大学で実際に講評し、制作する授業となります。

そして今年度はこの修士制作、修士論文(制作研究ノート)の詰めの季節になってきました。10月5日のスクーリングでは皆さんの修士論文の中間発表でした。論文を書くには研究の内容だけでなく形式も整えないといけません。そういったことも授業内で丁寧に説明していきますのでご安心ください。

12月にはそれぞれ論文(制作研究ノート)、修士制作、の提出があります。暑く長い夏が終わりを告げ、最も重要な季節を迎える今日この頃、洋画分野研究室では、新たな研究者を迎えるべく、新しい次年度の準備を進めています。

▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 洋画分野ページ

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