PHOTO

PHOTO

イラストレーションコース

2025年05月17日

【イラストレーションコース】学科賞受賞者が卒業制作の表現に辿り着くまで



2024年度の卒業生が、学習の集大成としてさまざまな表現で卒業制作に取り組みました。その中で、今年度の学科賞(コースの卒業制作作品の中で最も優れていると判断した作品)を受賞されたのは、社会人として入学された小酉がくさんです。

今回は就職し多忙な日々を送っていた小酉さんがなぜイラストを学ぶことにしたのか、どんな出会いがきっかけで学科賞に選ばれるまでの作品が作れたのかを聞いてみました。

ふと思い出した「私はイラストを学びたかった!」


昔からイラストや創作が好きでしたが、大学受験のタイミングで美大へ進学する選択肢が浮かんでいなかったため、国公立大学へ入学しました。ただ、就職活動では創作活動に関わりたい思いが出てきたため、地元の印刷会社へと就職しました。

忙しく働いていたある日、ふと「このまま定年まで働いて人生終わり?…それは嫌だ!」と思い、自分の人生を見つめ直しました。

これまでの人生は、親や先生が示す道を進んでいましたが、大学卒業後は自分で道を選ばないと人生を変えることはできないことに気づきました。そして私は「本当はイラストを学びたかった」ことを思い出しました。

それからは仕事の合間にイラストが学べる環境を探し、イラストレーションコースにたどり着きました。

私は働きながら学ぶより、イラストだけに打ち込める時期を作りたかったので、目標額が貯まり次第、コースへの入学と辞職をしました。

大きな転換があった2年目の終わり


入学後の成績は、決して悪くないものの、特別に優れている訳でもありませんでした。しばらく高評価を得るのが難しい時期が続きましたが、2年目の終わりに受講した吉田誠治先生の「背景画」が大きな転換となりました。

吉田先生は、優しい口調で面白くもありますが、講評ではパースや角度のずれだけでなく、イラストの細かい要素に齟齬がないかなど、生徒の作品をとても細かく見てくださいます。

これまではなんとなくイラストを描いていた箇所もありますが、吉田先生の講義や他の方への講評を聞いて、描く人物の性格や趣味など細かい設定を決めてから描くようになりました。

改めて「イラストは考えて描く」ことに気づき、広く意識を向けられるようになりました。成績が明らかに良くなったのもその時からです。講評を聞いて以降は心の中に吉田誠治先生を宿し、先生ならどう指摘するかを考えながら創作しました。

1度大学へ通っていたことは無駄ではなかった


卒業制作では「自分らしさ」をテーマにしようと考えていたとき、書店にて平野啓一郎さんの『私とは何か 「個人」から「分人」へ』、しんめいPさんの『自分とか、ないから。教養としての東洋哲学』と出会いました。

「自分らしさ」を思案していた私にとって、「自分とか、ないから」という考え方が衝撃的で、東洋哲学つまり仏教に興味を持ちました。
そこからは「全てのものが繋がり自分の存在もない仏教思想」をどうイラストで表現できるかを考え、「仏教における悟りの世界」をテーマとし制作を始めました。

制作の過程で書籍からインプットし、考え、アウトプットできたことは、4年間文学部で培った自分の強みだと感じました。

私は4年制大学を卒業し、就職をしてからイラストレーションコースに入学したため在学中には「もっと早く美大に入るか、美大予備校で学べばよかった」という焦燥感がありました。しかし、イラストレーションコースに入る前の大学で学んだことは無駄ではなく、創作の一助になりました。

やりたい人に対して人は優しい


卒業制作を魅せるために「UV印刷」を選びました。この印刷技術に出会ったきっかけは、前年度にコース奨励賞を受賞したYulogさんのnoteです。
▷きっかけとなったYulogさんのnoteはこちら

UV印刷に魅力を感じた私は、Yulogさんへ連絡を取り印刷についてや納期などを聞きました。その後、株式会社ショウエイさんが開催している正映祭という展示会で実際のUV印刷の作品を拝見し、作品に取り入れることを決めました。

Yulogさんやショウエイさんに直接連絡をしようと思い立ったのは、就職活動の経験があったからだと感じています。

丁寧に教えてくださったYulogさんと、印刷にご協力いただいた株式会社ショウエイさんにはとても感謝しています。

イラストを表現する印刷技術


学科賞受賞者、小酉さんの制作に関するエピソードはいかがでしたでしょうか。
小酉さんの作品制作を支えた株式会社ショウエイ様に、研究室スタッフもお伺いいたしました。

「新しい表現に挑戦し続ける」を理念として掲げており、元々広告印刷や化粧品の商品紹介印刷などを行っており、特殊印刷や色味の再現を得意とした企業です。
近年では、イラストレーターによる個展や小酉さんも訪れた正映祭にて、その印刷技術を遺憾無く発揮した作品印刷・展示を行っています。


オフィスには、これまで展示した作品のサンプルがずらりと並んでいます。艶やかな紙への印刷作品や、フラッシュを焚いた時にだけ見える反射板への印刷作品などを見せていただきました。

デジタルイラストでは、画面に表示することをゴールとして制作することが多いですが、「作品をどう印刷(表現)するか」まで考えると、表現の幅はより広がります。

現在、イラストレーターによる個展は多数実施されています。卒業制作だけでなく、普段の制作をより効果的に演出したり、方法や知見を学習したりするためにも、展示に行って実際の作品や質感を見るのは有用と言えるでしょう。


実際に、小酉さんの作品を印刷したプリンターも見学させていただきました。


小酉さんの制作フローは、PDFデータにて要望やアドバイスが欲しい旨を共有したのち、オンラインでの打ち合わせとテスト印刷を経て、最終稿を提出したとのことでした。

直接オフィスで実施するのではなく、オンラインでの打ち合わせにて制作を行うのは企業としても今回がほとんど初めてとのことでした。しかし、小酉さんの行動力や言語化能力、そして株式会社ショウエイ様の印刷表現力により、素晴らしい作品が仕上がったようです。

さらなる成長を求めて


行動力・思考力に溢れる小酉さんは、2025年4月からゲーム会社でイラストレーターとして勤務されています。

キャリア論の講義などを聞く中で、「まずは企業に務め、イラストレーターとして成長したい」と考えてのことだそうです。将来的にはプロのイラストレーターとして独立することも視野に入れており、個展開催が夢だとお話されていました。

深く物事を考え、行動できる小酉さんらしい進路や夢を、コース一同応援しております。

イラストレーションコースでは小酉さんのように社会人でイラストを学び、夢や目標に向かって頑張っている方が多くいます。イラスト制作が好きで腕を上げたい方、イラストレーターを目指したい方は、資料請求をして本コースを覗いてみてください。

京都芸術大学イラストレーションコースの資料請求はこちら

公式LINEを友だち追加してコースをのぞいてみよう!


本コースのLINEでは、以下の情報やコンテンツを見ることができます!
・入学説明会・イベント情報
・学生の生活スケジュール例
・トライアル授業の視聴

本コースを手軽に知りたい方は、QRコードまたは下のリンクから友だち追加してご覧ください♪
▼LINEお友達登録リンク▼
https://lin.ee/w7Lj4T6

 

イラストレーションコース|学科・コース紹介

この記事をシェアする