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2025年06月28日

【写真コース】「見せる環境」から考える——写真制作の土台を築く「デジタル基礎」授業レポート(外苑キャンパスより)

こんにちは。外苑キャンパスで業務担当非常勤講師をしております寺田健人です。
東京では梅雨の名残を感じる空模様が続いていますが、時折のぞく陽射しに夏の気配も少しずつ感じられるようになってきました。今回は、写真コース1年生向けに実施された「デジタル基礎」の対面スクーリングについて、現場の様子をレポートいたします。

この授業では、カメラの基本的な操作方法から始まり、SDカードやUSBメモリといった記録メディアへの保存方法、さらにはプリント出力の手順まで、写真制作における「土台」を幅広く学ぶことを目的としています。撮影から出力までの一連の流れを体験することで、技術だけでなく、「写真をどう見せるか」「どんな環境で見せると伝わるのか」といった視点を養っていきました。

講師は稲元史郎先生。写真技術だけでなく、環境づくりの重要性や、メディアや表示方法によって写真の“見え方”が変わることなど、本質的な視点を交えて講義を行っていただきました。特に印象的だったのは、照明の色温度や演色性によって写真の印象が大きく変わるという話。「ただ撮るだけ」ではなく、「どのように見せるか」「どのような環境で作業をするのか」に意識を向ける大切さを、学生たちも改めて実感していたようです。

演色性に関する実演。同じ色温度でも演色性の違いで顔の色味が全然変わってきます。



撮影実習では、外苑キャンパス周辺に出てそれぞれが自由に撮影を行いました。あいにくの空模様ではありましたが、雨上がりの光をとらえようと、傘を片手にカメラを構える学生の姿も見られました。参加した学生の皆さんがそれぞれの視点で探していく姿勢が印象的でした。

撮影実習中の様子



わからないことや困ったことがあったら稲元先生にすぐに聞くことができます。スクーリングアシスタントやサブ講師もいますのでいつでも聞いてください。



撮影後は、SDカードやUSBに保存した画像を直接プリンターに差し込み、EPSONのプリンター「Colorio V-edition 10-VA」を使ってのプリント作業へ。このプリンターは、パソコンや専用ソフトを使用せず、液晶画面上で画像を選ぶだけでプリントが可能です。初めてのプリント作業でも直感的に操作でき、学生たちは楽しみながら出力に取り組んでいました。

このシンプルなプリント工程だからこそ、「何を撮るか」「どの画像を選ぶか」「どう見せるか」といった写真の本質的な問いと、自然に向き合うことができたように思います。調整に頼らずに出力したからこそ、撮影時の構図や光の扱い、ピントや色味のコントロールといった“現場での判断”が浮かび上がってくる——そんな発見があったのではないでしょうか。

パソコンでのセレクトの様子。カメラのモニターでは見えない部分もパソコンのモニターなら見えます。



プリント後には、出力された写真をホワイトボード並べて講評。任意の設定で撮影したものと、その設定からカメラの機能を駆使して撮影した同じモチーフを並べての講評です。モニターで見ていたときの印象と、実際に紙に出力された写真とでは、明るさや色の感じ方、質感の印象が異なることにも多くの学生が気づいていたようです。

画面だけで完結せず、プリントとして手元に置き、他の写真と並べて見比べる——その行為を通じて、自分の写真に対する見え方の「解像度」が少し深まったのではないでしょうか。些細な違いに敏感になること、そしてそれを言葉にしたり、選び直したりできることは、表現を育てていくうえでとても重要な感覚だと思います。

3グループに分かれての講評。一人一人の写真をみんなで丁寧に見ていきます。



今回の授業を通して、写真における「環境」を意識する体感することができました。照明や表示方法によって写真の印象は大きく変わるということ。どのように見せるかによって、写真の意味は繊細に揺れ動くということ。そうした「環境を整えることの大切さ」と「写真の見せ方」への気づき、そしてそれを支えているデジタルカメラが持っている機能を理解し色々試してみることは、今後の表現にとって大きな指針になるはずです。

受講されたみなさん、おつかれさまでした。
これからも、ただ撮るだけではなく、「どんな環境で・どんな意図で・どんなふうに見せるのか」という視点を大切にしながら、それぞれの写真表現を深めていってください。

 

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