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映像コース

2025年07月17日

【映像コース】劇場映画と演劇、そして、「見る」と言う行為について

こんにちは、映像コース教授の下川猛です。

今年は梅雨の天気がなく、常に晴れ間が続く東京です。降雨量が少ないので、この夏は水不足がとても心配です。通常は、蛇口をひねれば、水が出てくるのが当たり前。水不足になると、そんな当たり前のことが、当たり前ではないことを実感します。それは、水だけではなく、災害だったり、紛争だったりでも同じですね。今、世界の情勢も刻々と変わっています。これを機会に、世の中の動きにアンテナを立ててみると、世界の見え方が変わってくると思います。人間の目は、言わばカメラのようなものです。たくさんの事象をカメラで捉えていきたいと思います。

「国宝」という、劇場映画


最近観た映像では、やはり「国宝」に触れないといけないかもしれません。
先日、やっと、お台場の映画館で観ることができました。観た後に、この映画を誰かに共有したい、すぐにもう一度観にいきたいと思う作品でした。まだ、2回目は叶っていませんが、3時間近い長さもあっという間に過ぎてしまいます。映像的な視点、撮影手法の部分でもいろいろな方の感想を聞きたいですし、ストーリーや演技の面でも感想を聞きたい作品です。もし、まだ観ていない方は観ていただけるといいと思います。
ストーリーに関しては、ネタバレになってしまうのでここでは言及を避けますが(是非、観てみて下さい、原作の書籍もあります)、歌舞伎をテーマにした劇場映画で、役者や舞台をどのように撮影するのか?など、映画ならではの画角や撮影手法を感じることができます。演じる側からの視点、引いた客観、足の接写、客席からの視点、さまざまな角度から歌舞伎を描いています。この映画を、複数回見る場合は、そのカメラワークにも注目していただけると、映像をさらに楽しむことができると思います。



(C) 吉田修一/朝日新聞出版 (C) 2025映画「国宝」製作委員会


「父と暮せば」という、演劇


また、先週末、紀伊國屋ホールで「父と暮せば」という2人芝居を観てきました。主演の松角洋平さんが旧くからの友人であり、久しぶりに再会を果たしました。この演目は、映画になったり、舞台になったり、かなり多くの回数再上演されています。2人芝居なので、出演者は2人きり。潔い、シンプルなのですが、素晴らしい舞台でした。最低限の人数の芝居でここまでストーリーを見せることができるのは、とても勉強になります。
こちらの作品は、演劇であり、当然客席からの視点でしか観られないものでした。定点で観ながら、その他の部分を想像力で補完しながら、イメージを生成していく感じです。

歌舞伎をテーマにした映像作品とシンプルな演劇、映像的な観点で言うと全く異なる2つの作品を近いタイミングで観ることができたことは、そのカメラワーク的な違いを堪能することができました。

(C)こまつ座


「見る」という行為について


今年は、よく「見る」1年にしたいと思います。
皆さんも、さまざまなインプットを大切にしてください。気になったことは、写真や動画、メモに保存しておくといいです。アイデアを生み出す種になります。

映像コースでは、映像思考という概念を大切にしています。
観察、発見、想像、共有の4ステップで考える思考方法です。映像コースの学生には、まずは、いろいろな映像作品を見て、物事を観察する、そして、それを深く考えて内なる「自分」を発見するというプロセスを繰り返しながら、学びを進めています。

皆さんも、よく「見る」ことから始めてみて下さい。
暑い夏が来ます。身体には気をつけましょう。

https://www.kyoto-art.ac.jp/t/course/eizo/
https://tenohira.kyoto-art.ac.jp/eizo/

 

 

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