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2025年08月06日
【和の伝統文化コース】スクーリング科目ご紹介~尾上菊之丞先生の日本舞踊講義~
こんにちは。和の伝統文化コース、業務担当非常勤講師の鵜澤瑞希です。
今回は、7月初旬に2日間行われたスクーリング「伝統文化実践II-3 T1」、尾上菊之丞先生の日本舞踊の講義についてご紹介いたします。
講師の三代目尾上菊之丞先生は、日本舞踊尾上流の四代目家元です。

尾上流は、先日銀座の歌舞伎座で襲名披露を行った歌舞伎の名門尾上家の七代目尾上菊五郎丈(お父様の方)を宗家とする、日本舞踊の流派です。
菊之丞先生は、日本舞踊家としてはもちろん、振り付けや演出家としても八面六臂のご活躍をされており、近年では、今年の新作歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』の演出や、昨年のフィギュアスケートアイスショー『氷艶 hyoen 2024 –十字星のキセキ–』の演出統括など、分野を問わず広く表現のお仕事に携わっておられます。
本コースでは、過去にも菊之丞先生の講義を実施しております。ブログを遡ると過去の記事がありますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。
※こちらの記事の末尾に「和の伝統文化コースの過去の記事一覧」のリンクがあります。
今年度の講義では、日本舞踊や尾上流の歴史に関する座学と、舞踊の型を体験する実技の、二つの学習を行いました。

2日間にわたる実技では、扇の持ち方、立ち方、役ごと(娘・男など)の歩き方をはじめに覚え、実践として『屋敷娘』『七福神』という演目の一部を体験しました。
筆者は学生時代から観世流の能楽のお稽古を続けていますが、今回、学生の皆さんに混ざって初めての日本舞踊を体験してみたところ、日本舞踊の身体は能とは全く違っていることを実感しました。
たとえば、女の役の型です。能は、性別やキャラクターによって多少の見せ方の違いはありますが、男の役と女の役で姿勢が大きく変わることはありません。一方、日本舞踊の女の役は、女性らしさを出すために、つま先や腰をひねり、曲線的な姿勢を作り、顔を動かして、身体全体で娘らしい表情を作っていました。
また、体幹にも違いがあります。能の体幹は、動かさないことで鍛えられているようなものです。顔も動かしませんので表情もあまりありません。それに対し、日本舞踊の体幹はかなり動かすようで、能に慣れている身体には、普段眠らせている筋肉を使わなければならず、ひねる姿勢がいささかハードでした。
そういう姿勢の違いがあるため、重心の感覚も違っていました。能は、激しい動きでも体幹をほとんど動かさないので、身体の軸の真上に頭が乗り、そこが重心になります。一方、日本舞踊は、腰や頭の位置が頻繁に動くため、初心者の筆者はどこに重心を定めるのかわからず、ずっとブレていました。
これらを比べるだけでも、日本舞踊と能がかなり違うことがわかると思います。
一見同じように思える伝統芸能の舞踊の身体であっても、体験してみると、全身のイメージや、使う筋肉の違いを身体感覚で知ることができます。これは、座学では味わえない体験学習の醍醐味です。
この日本舞踊の講義に限らず、和の伝統文化コースには、学生が自分の身体で学ぶことができるスクーリングがあります。
今後も引き続きご報告していきますので、どうぞ楽しみにしていてください。
和の伝統文化コース|学科・コース紹介

大学パンフレット資料請求はこちらから
今回は、7月初旬に2日間行われたスクーリング「伝統文化実践II-3 T1」、尾上菊之丞先生の日本舞踊の講義についてご紹介いたします。
講師の三代目尾上菊之丞先生は、日本舞踊尾上流の四代目家元です。

講師の尾上菊之丞先生
尾上流は、先日銀座の歌舞伎座で襲名披露を行った歌舞伎の名門尾上家の七代目尾上菊五郎丈(お父様の方)を宗家とする、日本舞踊の流派です。
菊之丞先生は、日本舞踊家としてはもちろん、振り付けや演出家としても八面六臂のご活躍をされており、近年では、今年の新作歌舞伎『刀剣乱舞 東鑑雪魔縁』の演出や、昨年のフィギュアスケートアイスショー『氷艶 hyoen 2024 –十字星のキセキ–』の演出統括など、分野を問わず広く表現のお仕事に携わっておられます。
本コースでは、過去にも菊之丞先生の講義を実施しております。ブログを遡ると過去の記事がありますので、ご興味がありましたらぜひご覧ください。
※こちらの記事の末尾に「和の伝統文化コースの過去の記事一覧」のリンクがあります。
今年度の講義では、日本舞踊や尾上流の歴史に関する座学と、舞踊の型を体験する実技の、二つの学習を行いました。

実技の風景 扇の持ち方について
2日間にわたる実技では、扇の持ち方、立ち方、役ごと(娘・男など)の歩き方をはじめに覚え、実践として『屋敷娘』『七福神』という演目の一部を体験しました。
筆者は学生時代から観世流の能楽のお稽古を続けていますが、今回、学生の皆さんに混ざって初めての日本舞踊を体験してみたところ、日本舞踊の身体は能とは全く違っていることを実感しました。
たとえば、女の役の型です。能は、性別やキャラクターによって多少の見せ方の違いはありますが、男の役と女の役で姿勢が大きく変わることはありません。一方、日本舞踊の女の役は、女性らしさを出すために、つま先や腰をひねり、曲線的な姿勢を作り、顔を動かして、身体全体で娘らしい表情を作っていました。
また、体幹にも違いがあります。能の体幹は、動かさないことで鍛えられているようなものです。顔も動かしませんので表情もあまりありません。それに対し、日本舞踊の体幹はかなり動かすようで、能に慣れている身体には、普段眠らせている筋肉を使わなければならず、ひねる姿勢がいささかハードでした。
そういう姿勢の違いがあるため、重心の感覚も違っていました。能は、激しい動きでも体幹をほとんど動かさないので、身体の軸の真上に頭が乗り、そこが重心になります。一方、日本舞踊は、腰や頭の位置が頻繁に動くため、初心者の筆者はどこに重心を定めるのかわからず、ずっとブレていました。
これらを比べるだけでも、日本舞踊と能がかなり違うことがわかると思います。
一見同じように思える伝統芸能の舞踊の身体であっても、体験してみると、全身のイメージや、使う筋肉の違いを身体感覚で知ることができます。これは、座学では味わえない体験学習の醍醐味です。
この日本舞踊の講義に限らず、和の伝統文化コースには、学生が自分の身体で学ぶことができるスクーリングがあります。
今後も引き続きご報告していきますので、どうぞ楽しみにしていてください。
和の伝統文化コース|学科・コース紹介

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