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和の伝統文化コース

2025年09月12日

【和の伝統文化コース】襲名の重さ

李相日監督の映画「国宝」が、大ヒットという。またSNSでもずいぶんと取り上げられている。御覧になった方も多いことだろう。
映画のネタバレを書いても無粋なので、些か違った観点から小文を書いてみたい。

血筋か才能か。
伝統芸能のなかでも、歌舞伎は特に血筋を重要視している感がある。
ただ血筋だけでは、芸を継承することは不可能だ。弛まぬ稽古はいうまでもなく興行主、贔屓筋のお認めがないといけない。
現在、人間国宝となっている十五代目の片岡仁左衛門が襲名する際に幾つか番組があり、その中で印象的な内容があった。

襲名された年である1998年にNHKで放映された『華・新 仁左衛門 十五代目を継ぐ片岡孝夫の世界』である。十二代目の市川團十郎、五代目の中村勘九郎、そして襲名前夜の片岡仁左衛門(そのときは孝夫)が料亭で対談し、襲名について談義しているが、そこで団十郎が「自分が継いでいいものなのか。襲名は決心するのが一番大変」と語っている。
襲名、名を襲うというのはとても重い。特に團十郎家・勘三郎家・仁左衛門家とそれぞれ歌舞伎の名家としての重責もあるだろう。とても印象に残った。

襲名について、歌舞伎研究者の服部幸雄は「襲名は、それを公に披露することにより,当該の俳優の技芸を飛躍的に成長させることが多い。」という。
その理由として、興業主や俳優仲間による名前の格に応じた待遇があり、本人の自覚によってさらなる鍛錬をおこなわれ、観客側が贔屓をする想いをあげている。

今回の映画によって、さらに歌舞伎をはじめとする伝統芸能が脚光を浴びることは、伝統文化の継承を考える上でもとても大切なことだと思う。
単に鑑賞するだけではなく、日本の伝統文化をどのように理解するのか。そうしたことを研究できるのが、本学の和の伝統文化コースである。「国宝」をきっかけに伝統文化をより具体的に学んでみたいと思った方、ぜひ、コース説明や一日体験入学などにお越しください。

和の伝統文化コース 野村朋弘


 

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