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グラフィックデザインコース

2025年11月14日

【グラフィックデザインコース】第一線で活躍するデザイナーから学ぶ、グラフィックデザインの魅力

10月25日、東京・新宿にてグラフィックデザインコース特別イベント『第一線で活躍するデザイナーから学ぶ、グラフィックデザインの魅力』が開催されました。


当日は、ゲストにアートディレクター・グラフィックデザイナーの関本明子さん
そして現役のグラフィックデザイナーである佐藤卓 本学学長を迎え、
グラフィックデザインコース主任の荒川慎一先生が進行を務める形で
会場とオンラインをつないだトークイベントが行われました。


今回は、その様子の一部をご紹介します。



 

 

 

 

 

■ グラフィックデザイナーを志した原点


冒頭のテーマは、デザイナーに至る自身の原点。佐藤学長の意外な”ロック少年”としてのエピソードから始まりました。


佐藤学長:

小学校の時、勉強が何しろ嫌いで嫌いで、っていうよりも、あまりにできなくて。体育と図工の成績だけがいいっていう状態で。中学でサッカー部に入ったんですけど、サッカーの才能がやっぱりなくて。

補欠にもなれず、ロックを聞き始めるわけですよ。お小遣いで初めて自分で買ったLPレコードをヘッドホンでガンガンに聞きながら、映像も見ることができない時代だから、止まってるビジュアルをずっと見てるわけですよ。で、そのジャケットも、いろんなものがあるわけですよね。そこには写真もあれば、イラストレーションもあれば、タイポグラフィーもあれば。無限に、その正方形(レコードジャケット)の中にグラフィックがあるわけじゃないですか。
それが自分に流入してきたわけです、音楽とともにビジュアルが。

なんとなく、こういうことができるのはデザイナーなんだろうなと思っていました。

 

――「若い頃って、好奇心がない人なんていないですよね。」と話す佐藤学長に対して、関本さんから驚きのエピソードが。

 

関本さん:

私、大学生の時に佐藤卓さんのところにトントンって、訪ねてみたことがあるんですよ。

(驚く佐藤学長)



 

 

 

 

 

 

 

 

関本さん:

私も好奇心なのか、結構人のとこ行っちゃうっていうのが昔からあって。大学の時も、友達とか周りの人が何をやっているかとか、あんまり気にせずに。私はもうこの人の事務所に興味があるから、ちょっと行ってみよう!という感じで。デザイン年鑑に住所が載っているのを見て連絡して。
その中で、佐藤卓さんの事務所が来ていいよって連絡をくださって。作品ファイルを持って行ったんですよ。

すごく素敵なオフィスで、事務所にあるインテリアや作品の説明もしてくださって、すごくいい対応をしてくださいました。

――関本さんはその後、希望の事務所に就職されたとのこと。一方、荒川先生がどんな学生だったのでしょうか。

荒川先生:

僕はまあアッコちゃん(関本さん)と同期で、大学院まで行ったんですけど、ちょうど就職氷河期真っ只中だったんですね。
行きたい企業にはもうそもそも募集してないみたいな状況だったので、どうしようかな?みたいな。
大学院も行っちゃったし、これ以上学生するのもなんだしなみたいな。という時に、ちょうど911のテロがあったんですね。

そこでなんか、「好きなことやらないといつ死んでもおかしくない」みたいな謎の悟りを開きまして、もう面白いところに行くしかないと思って。



 

 

 

 

 

 



そもそもなぜグラフィックとかデザインをやろうと思ったんだろう、っていうのを自分なりに、就職活動の中で振り返ったときに。
そういえば音楽とかレコードジャケットとかやりたいと思って、グラフィックとかやろうと思ったんじゃん。っていうことのある種の原点回帰みたいなのがあって。

だったら一番憧れたデザイナーのところに行ってみようと思って。「たのもうー」みたいな感じでファイルを見せに行ったんですよね。
見せたら、その中のいくつかを(そのデザイナーが)気に入ってくださって。

「明日取材があるけど、君は車の運転はできるの?」って聞かれて。「あります。車もあるし、運転もできます!」とか言って、その取材の運転手をすることになって。
4月から行くとこないんだったらうちにおいでよみたいな。
いわゆるその履歴書を出す就職活動ではない感じの就職活動だったんですね。印刷の経験などは全くないような状態で、事務所に入りました。

 

関本さんも荒川先生も、”興味や好きな気持ちを原動力に、行動する”ことから、グラフィックデザイナーとしての一歩が始まったようです。

 




■ 仕事でのクライアントとの向き合い方


現在のグラフィックデザイナーとしての仕事に対して、荒川先生から以下のような問いかけがありました。

荒川先生:

お二人とも、ずっとデザインを諦めずにやってらっしゃる。仕事なので大変なことももちろんたくさんあると思うのですが、デザインを”生業”というか、生活の中でやっていく中で、楽しい瞬間や喜びはありますか?

 

――それに対して、佐藤学長から仕事の極意ともいえる一言が。
面白くない仕事が何一つないんですね。面白くできるかどうかは自分の問題なんじゃないかってことが、わかっちゃったんで。



 

 

 

 

 

 

佐藤学長:

仕事って何か理由があって起こることなんですよね。

だからそれを面白いと思えるかどうかっていうのは自分の問題なんじゃないか、っていう。
面白くなさそうに仕事をしてる先輩はいるかもしれない。そうすると、その仕事が面白くなさそうに見える。
だけど逆に、どうやったら面白くできるかっていう。
仕事の大小関係なく、例えば地域の活動でも何でもいいんですけど。

どんどん発言して、混乱させても全然構わなくて。
楽しみながらやっていくうちに、なんか面白いものに。
窓がだんだん開いて扉が開いていくような感じもあってね。



 

 

 

 

 

 

 

――続いて、話題はクライアントとの実際の仕事のやり取りに及びます。

 

佐藤学長:

(自分が)提案したものに対して、”直し”がいっぱい入った時に、怒っちゃうデザイナーって結構多いんですよ。顔真っ赤っかにして。自分のデザインに何を言うみたいな。なんでわかってくれないんだ!みたいな。

でも私は、意外と”なんでそう思ったのか”に興味があるんですよ。その人の頭の中で、これを見て、なぜそういうふうに思うのか。
そこにすごく興味があるので、丁寧にお聞きするんですよ。
”すいません。どうしてそのように思われましたか?”って。
そのコミュニケーションが意外と好きで。
だから全然嫌な関係には自然とならないんです。

 

――「自分がこれがいいなと思っているデザインに対して、ああでもない。こうでもない。っていうやりとりが起きる時、ありますよね?」という佐藤学長に対して、深く頷く関本さん。

 

関本さん:

ありますね。そこで直すにしても、どういうふうに直していくのがいいのか。
やはり、その対象(デザインするもの)に対しての思い入れや気持ちは、絶対クライアントさんも強いはず。
だからこそ、何か(直してほしいというリクエストが)あるんだと思うので。
その思い入れを聞き出しきれていない結果だとしたら、そこを聞き出すまで話を聞きます。

結局、人と仕事しているんだなって。デザインを間に置くけれども、人とのコミュニケーションが仕事なんだなと、すごく感じます。



 

 

 

 

 

 




■ グラフィックデザインをこれから学んでみようとする方へ


関本さん:


グラフィックデザイナーはこんなことまでできるんだよ!っていうことが、意外とまだまだ全然世の中に理解されていなくて。
”こんなことまでお願いしていいんだ”とか、”一緒にできるんだ”って驚いてもらえることの方が圧倒的に多いので。
その可能性を楽しく広げていく、仲間が一人でも増えていただけると嬉しいなと思っています。

 

佐藤学長:


これからはAIの時代で、デザインの世界にもあっという間に入ってきます。間違いなく、半年後にどうなっているかもわからないスピードで。


そうすると、AIとどう付き合っていくのかを考えることは必要ですが、AIが入ってきたから、我々の仕事がなくなるなんていうのは大嘘です。
デザインというのは”間”をつなぐ仕事です。”間”というのは、世の中が変わっても、新しい”間”がいっぱい生まれるんですね。
そうすると、新しいつなぎ方をまた考えていかないといけないっていうことは、あるわけですね。

今なくなる仕事はあると思います。一方で、AIが一般化してきたことによる、新しい仕事っていうのは山ほど生まれるんですね。そこで、グラフィックデザインのスキルっていうのはものすごく大切なはずです。



 

 

 

 

 

 

荒川先生:

グラフィックデザインコースでは、「欲しい未来は自分でつくる」というのをスローガンとしてつけさせていただいています。
デザインを学んだり仕事にすることで、やっぱり未来を作っていく仕事だと思います。デザインって。

今をそのまま受け入れるということではなくて、自分のキャリアであったりとか、将来自分が理想とする暮らしみたいなところを考えたり、そういう未来を自分が作っていけるんだっていうことを実感していただけるようになるといいなと思っております。

デザインを学ぶことで、自分や社会の持っている可能性に気づいて、自分たちの未来や社会を幸せにするようなデザインを作ったりできるようになっていただきたいなと思っています。

 

オンラインで参加くださった500名以上の方からも、たくさんのリアクションがありました。



 

 

 

 

 

 

 

 



今回の特別イベントは、デザインの現場で活躍するプロフェッショナルから、グラフィックデザインの喜びや仕事としての向き合い方を改めて感じられる貴重な時間となりました。


本学では今後もこうしたイベントを通して、芸術やデザインの学びを志す皆さんにその“楽しさ”を伝えていきたいと思います。



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11/9(日) 13:30-15:00 グラフィックデザインの魅力と楽しさを学ぶ(担当教員:久保雅由、福田学)


グラフィックデザインの始まりは、生活習慣を描いた古代壁画とも言われています。現代ではロゴ、ポスター、紙媒体・動画広告、WEBなどグラフィックデザインの領域は多岐に渡ります。この体験授業ではグラフィックデザインという手段を用いて、どのように身の回りや社会、暮らしに影響を与えられてるかを知り、どのように表現されているかを学べる授業となっています。グラフィックデザインのワクワク・ドキドキを感じられる時間を共に過ごしましょう!

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