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グラフィックデザインコース

2025年11月20日

【グラフィックデザインコース】身近な“気づき”をデザインに変える ― 卒業制作「ぶんぶん― 日本蜜蜂の新聞 ―」 について

みなさん、こんにちは。
グラフィックデザインコース業務担当非常勤の茶畑(ちゃばた)です。

今回は、2026年度大学案内の「卒業制作ギャラリー」に掲載されている、私の卒業制作作品【ぶんぶん ― 日本蜜蜂の新聞 ―】を題材に、「デザインを学ぶと何ができるようになるのか?」というお話をしたいと思います。

※2026年度大学案内は、ページ最下部よりお申し込みいただけます。

■制作のきっかけ


この作品の出発点は、久しぶりに帰省した実家で、父がニホンミツバチの趣味養蜂を始めていたことでした。庭に突然ミツバチの巣箱が現れたので、最初は「ちょっと怖いかも…」という気持ちが先に立ちました。
ですが、ニホンミツバチはとてもおとなしく、こちらから刺激しない限り刺さないこと、生態系において重要な役割を担っていることを知ると、印象が大きく変わりました。同時に、その優しさとは裏腹に、先入観から怖がられて駆除されてしまう現状を知り、「なにかできないだろうか?」という想いが生まれました。
まずは、ニホンミツバチに興味を持ってもらいたい。
知ってもらいたい。
興味がない人にも“思わず手に取ってもらえる”形とは何か?
ここからがデザインの本領発揮です。

■「新聞」というフォーマットを選んだ理由


今回、情報を伝える媒体として “新聞” を選んだ理由は3つあります。
1つめは、ニホンミツバチを実寸で見てもらいたかったこと。
紙媒体であれば、サイズ感そのままに「体験としての情報」を届けられると考えました。
2つめは、新聞が持つ「情報が整理されて届く」特性。
複雑な内容でも、構成やレイアウト次第でぐっと読みやすくできます。
3つめは、“偶然めくったときに出会える感覚”を大切にしたかったから。
環境問題や生態の話は難しそうに見えますが、新聞という形なら自然に読み始められるのでは、と考えました。
制作では、文章量、見出しの立て方、写真の使い方、レイアウトのリズムなど、
「どうすれば読んでみようと思えるか?」
「どうすれば最後まで飽きずに読んでもらえるか?」
を徹底的に探りました。

完成した作品は、ニホンミツバチが四季とともに生活していること、巣が上から下へ向かって成長することから春・夏・秋・冬・次の春の5部作で実際に養蜂で使用している「重箱式巣箱」に収納しました。

各コラムの文章は短くまとめ、イラストを多く使用しました。どこから読み始めても楽しめる設計にしています。

※「ぶんぶん ― 日本蜜蜂の新聞 ―」のことをもっと知りたいなと思った方はこちらから
→ 卒業制作の詳細ページ(https://www.kyoto-art.ac.jp/t/graduationworks/detail/9403/

■デザインを学ぶと、“伝えたいこと”を見つける力がつく


制作を通して一番感じたのは、デザインは“見た目を整える”ことではなく、伝えたい本質を見つける作業だということです。
どこに課題があって、何が魅力で、どんな表現なら届くのか。
その「気づき」こそが、デザインの核になると改めて実感しました。
実際、この作品を通じて、
「ニホンミツバチについて初めて知った!」
「虫って苦手だったけど、ニホンミツバチかわいいね!」
という感想をいただき、“伝わる形をつくる”ことの力を強く感じました。

■大学で学べるのは「技術」だけではありません


デザインの学びは、ツールの使い方やレイアウトの技法だけではありません。
・観察する力
・課題を見つける力
・どう届けるかを考える力
・表現を選び抜く力
こうした「見えない基礎体力」が、制作を重ねるごとに確実に身についていきます。
卒業して仕事をしている今でも、「ぶんぶん」をつくった時間は、私にとって大きな糧になっています。

■最後に


これから学び始めるみなさんも、きっと日々の中で「気になること」「引っかかること」に出会うはずです。
それが、デザインの“種”になります。
ぜひその小さな種を大切に育てながら、自分だけの表現や視点を見つけていってくださいね。

次回のブログもお楽しみに!

 

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