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陶芸コース

2025年11月25日

【陶芸コース】陶芸の化粧土による様々な表現について

こんにちは。
通信陶芸コース業務担当非常勤の伊賀上空見子です。
今回は陶芸の「化粧」についてほんの一部ですがご紹介します。

皆さんは陶芸での「化粧土」と聞いてどのようなイメージを持たれているでしょうか?
「化粧」とは元々は鉄分の多い土を白く焼き上げるために考案された歴史のある技法となります。
鉄分の多い土(赤土)は焼成をすると茶色っぼい色になります。
昔は白い土が希少で手に入れにくかったことから、赤土を白く焼成するために白い化粧土を施し白くなるようにしたとされています。
大きく分けると成形をした粘土が生乾きの時に化粧を施す生化粧という方法と、素焼きをした作品に化粧を施す素焼き化粧という2つの方法があります。

生化粧のメリットは土との親和性が良くボディによく馴染むことです。
反対にデメリットは水分量やタイミング、手際が重要なことで、失敗をしたら洗い落とせませんし、タイミングを誤るとヒビが入ったり形が崩れてしまいます。
デメリットもありますが、素焼き化粧とはまた違う、滑らかな表情を得られます。

素焼き後に施す素焼き化粧のメリットは素焼き後に化粧を施すため失敗をしても洗い落とせることや、象嵌などの装飾をしやすく形が崩れないことでしょうか。
反対のデメリットは素焼きをした土との親和性に絶妙な調整が必要なこと、白化粧を施した後にもう一度素焼きを行う等の工夫が必要なこと、などです。
素焼き化粧を施すコツとしては素焼きをした器を適度に濡らし、素地に馴染ませることなどがポイントとなります。

ロクロ4日間スクーリングでは前者の白化粧(生化粧)を使用しています。
【陶芸コース】「陶芸 I-2 白い器/ロクロ K2 (前半)」の授業の様子を一部ご紹介します!



今回は私自身の作品の化粧土(色化粧)について、少しお話をさせていただこうかと思います。
白い泥で化粧をすることを「白化粧」、顔料や金属を混ぜ、色のついた泥で化粧をすることを「色化粧」といいます。

良かったらご覧ください!

私自身は先にご紹介をさせていただいた生化粧(素焼き前に行う化粧)をよく使用しています。
まずは器の完形後、少し作品を乾燥をさせたもの(爪痕はギリギリたつかたたないかの、形は動かない程度)です。

成形をし、少し乾燥をさせた器に黒化粧を筆で塗り重ねます。

陶芸における生化粧のタイミングは絶妙で、未乾燥すぎても乾燥しすぎていてもヒビが入ったり形が崩壊したり、化粧泥が剥離したりしてしまいます。
掛け方は様々あり、浸して掛ける浸し掛け・柄杓を使って掛ける杓掛け・霧吹きのようなものを使用した吹き付け・筆塗りや刷毛塗りなど様々ありますが、私は筆や刷毛を主に使用した掛け方を器に施しています。
黒化粧を施した後に、少し表面を乾かし、更に上から薄い白化粧を施していきます。

薄い白化粧をムラが出るよう施すことで下地の黒化粧が少し透過して見えます。
作り手が施した手の痕跡が素直に出るのが、陶芸ならではの面白い特徴ですよね。

数種の色化粧を施し、素焼きを終えました!
次は釉掛けに入ります。
私は通常よりかなり水で薄めた釉薬、水ぐすりをよく使用しています。

写真で見ると分かるように、水の比率がかなり多めです。
ギリギリ光沢のでる濃さに調整をしています。
沈殿の酷くない釉薬はこうしてペットボトルの容器に入れ保管したりすると振って攪拌を出来るので便利です。

施釉を終え、後は本焼きです。

色化粧を施した上の器(素焼き前の状態)が下の器のように焼きあがりました。
かなり小さくなりましたね!
こちらは色化粧を刷毛塗りした器に、色化粧と同じ成分の入った釉薬を掛け、焼成したものです。

こちらは黒化粧の上に白化粧を施し、白化粧の成分も入った釉薬を掛けたものとなります。
しっとりとした器ができあがりました!

私は化粧泥や釉薬を通常よりかなり薄めたものを使用したり、反対に化粧泥をかなり濃くしたもの・粉化させたものをよく使用しています。

化粧土を施す方法は陶芸のひとつの表現であり技法ですが、化粧土ひとつで様々な表現や表情が実現可能となります。

陶芸コースでは、さまざまな技法のスクーリングに加え、粘土や窯、釉薬や上絵などについても、講義や実習を通して幅広い表現を学ぶ機会があります。
経験豊かな講師陣がその豊富な知識と経験を活かし、皆さんの制作を支える授業を行っています。

秋も深まってまいりました今日この頃。
今回はロクロ4日間スクーリングでも取り組む「化粧」について、私の器を通して、紹介させていただきました。
皆さんと一緒に作品と向き合い、そして掘り下げ、私たちも真摯に向き合えたらと思います。
それでは、皆様や皆様の作品とお会いをできる日を楽しみにしています!

 

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