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2025年12月24日
【写真コース】本棚を視る
こんにちは。通信写真コースの片岡俊です。さて、秋を愉しむ間もないほどに足早に日々は過ぎ、触れると肌が乾くような冬の空気が立ち込めています。思いがけない誰かからの連絡が連なり、新しい仕事や会う予定、ふと立ち寄った場所で居合わせた人と話し込んだり。一年を締めくくる気持ちを追い越すようにして、翌年に広がっていた平らな空間に立体的な形が立ち上がりはじめています。
さて、今回のblogは皆さんのご自宅にもある本棚の話です。例年であれば、美術館やギャラリーを尋ねることで自身の展示や制作へと転換するスクーリング<視る>京都開講の様子を取り上げることが多いのですが、今年度は残念ながら授業に帯同しておらず、私のblogではお馴染みの本にまつわるあれこれを書こうと思っています。
在学中のみなさんも、入学を迷われている皆さんも、本を読む習慣はありますでしょうか? 私自身は写真にまつわる事柄の次に、時間を保つことが多いものとして読書があると思います。それは写真にこだわることなく、ものごとへの興味によって始まることですが、つくることは他分野へと続いていると、本を読むたびに思います。


アウグスト・ザンダーは、私が制作している作品への隣接と肖像写真への興味にはじまります。12月のはじめ書店に立ち寄ったところ、偶然にも10年前のデッドストック(Schirmer & Mosel版)を見つけたことによって、購入に至りました。紙の価格も上がり続けていることから、現行で見かけるapature版に比べて半額程度の値段で手にいれることができました。
ヴォルフガング・ティルマンスは、購入前にとある友人と本書について話す機会がありました。書籍の内容を紹介するWebページを見ながら、タイトルや紙面についてを話しており、実物を見てみたいと思っていたからです。20年以上前に本作の原型となる『if one thing matters, everything matters』(Tate Publishing, 2003)が出版されていますが、そちらと見合わせることによって、ティルマンスがどのように作品を更新したのかを知りたいと思ったこともきっかけです。
自身の作品と購入した作品集・写真集がどのように関わることになるのかは分かりません。ただ、手元に残すことによって、まだ形作られていない発想を後押ししたり、視ること・読むことによって「知る」や「思いつく」に至ることは数えきれないほどにあると思います。
先日、自宅に友人を招き食事をしました。その最中に古屋誠一がキーワードとなる会話があり、書棚にあった古屋氏の写真集を囲み6名で言葉を交わす時間がありました。(授業等を除いて)誰かと一冊の写真集を見ることは多くないですが、一冊から気づくことは三者三様、写真や編集、付されたテキストの移り変わりなど、一つの主題・対象とどのように関わるかは、作家にとっても逃れられざる課題であり考え続けるものとして、思いがけず記憶に残る時間になりました。
普段私が作業をしている机の傍には小さな書棚があります。段ごとに左右に、自身の興味を掴むように集めた本にいくつかの区分けがなされています。少し離れて書棚を見ること。書棚は自身の興味や現在を現すようでいて、考えを持ちながら本を収めることは、自身を俯瞰するような行為だなと思います。
私は普段より自然物を撮影することが多く、対象との距離は遠くと近く、双方を行き来するよう写真に撮られています。風景を撮影しているように見えて、自らの意思ではそのように考えていない現状がある(これについては話すと長くなるので別の機会に)。ただ、私の撮影している写真が「風景」と話される正体を少しでも知りたいと思い「風景」と名前がついた本で、気になるものがあれば読むようにしています。
短歌を読むようになったのは今から10年ほど前になります。短歌を詠む友人と出会ったこともありますが、目の前やどこかにある事象が言葉を組み合わせることによって、濃くも淡くも、色褪せることにもなる。言葉が脳に像を描き、色のみならず距離の行き来さえ現す。言葉によって視覚を刺激することができるのかと、言葉に秘められた効力に気づくきっかけとなりました。

いずれも私の周りからですが、本にまつわるできごとや関わり方をご紹介しました。書棚を写した写真の中にはまだ十分に読めていない本も含まれています。いつでも手に取ることができる状態にする、興味を手元に置いておく。制作のきっかけや発想に及ぶできごとはいつ訪れるのか。それが始まる瞬間は選べるものではないなと思います。
書籍は手元に収まりますが、展示とも繋がる<視る>行為が散りばめられています。一冊ずつを時間をかけて読み込み書棚に収める。これから読もうとしている本を書棚に収める。一歩下がってみて、自己と書棚を照らし合わせてみる。卒業制作のスクーリングでは「クリスマスもお正月も今年は置いておいて、作ることに集中しましょう」そんな言葉も聞かれます。在学中の皆さんにとっても学習に本は必要であると身に染みていると思います。
一年の移り変わりの頃、あなたの手元に本は何冊あるでしょうか。つくることは切れ目なく続くもの。今年と来年それぞれの年を繋ぐように、傍に本を持ってみてはいかがでしょうか。
写真コース|学科・コース紹介

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さて、今回のblogは皆さんのご自宅にもある本棚の話です。例年であれば、美術館やギャラリーを尋ねることで自身の展示や制作へと転換するスクーリング<視る>京都開講の様子を取り上げることが多いのですが、今年度は残念ながら授業に帯同しておらず、私のblogではお馴染みの本にまつわるあれこれを書こうと思っています。
本を読むたび
在学中のみなさんも、入学を迷われている皆さんも、本を読む習慣はありますでしょうか? 私自身は写真にまつわる事柄の次に、時間を保つことが多いものとして読書があると思います。それは写真にこだわることなく、ものごとへの興味によって始まることですが、つくることは他分野へと続いていると、本を読むたびに思います。
2025年12月に私が購入した写真集は2冊

August Sander 『People of the 20th Century』(Schirmer & Mosel)

Wolfgang Tillmans『Things matter, Dinge zahlen』(WALTHER KÖNIG)
アウグスト・ザンダーは、私が制作している作品への隣接と肖像写真への興味にはじまります。12月のはじめ書店に立ち寄ったところ、偶然にも10年前のデッドストック(Schirmer & Mosel版)を見つけたことによって、購入に至りました。紙の価格も上がり続けていることから、現行で見かけるapature版に比べて半額程度の値段で手にいれることができました。
ヴォルフガング・ティルマンスは、購入前にとある友人と本書について話す機会がありました。書籍の内容を紹介するWebページを見ながら、タイトルや紙面についてを話しており、実物を見てみたいと思っていたからです。20年以上前に本作の原型となる『if one thing matters, everything matters』(Tate Publishing, 2003)が出版されていますが、そちらと見合わせることによって、ティルマンスがどのように作品を更新したのかを知りたいと思ったこともきっかけです。
自身の作品と購入した作品集・写真集がどのように関わることになるのかは分かりません。ただ、手元に残すことによって、まだ形作られていない発想を後押ししたり、視ること・読むことによって「知る」や「思いつく」に至ることは数えきれないほどにあると思います。
複数の目で写真集を読む
先日、自宅に友人を招き食事をしました。その最中に古屋誠一がキーワードとなる会話があり、書棚にあった古屋氏の写真集を囲み6名で言葉を交わす時間がありました。(授業等を除いて)誰かと一冊の写真集を見ることは多くないですが、一冊から気づくことは三者三様、写真や編集、付されたテキストの移り変わりなど、一つの主題・対象とどのように関わるかは、作家にとっても逃れられざる課題であり考え続けるものとして、思いがけず記憶に残る時間になりました。

傍らの書棚
普段私が作業をしている机の傍には小さな書棚があります。段ごとに左右に、自身の興味を掴むように集めた本にいくつかの区分けがなされています。少し離れて書棚を見ること。書棚は自身の興味や現在を現すようでいて、考えを持ちながら本を収めることは、自身を俯瞰するような行為だなと思います。
いくつかの集まり「風景について」
私は普段より自然物を撮影することが多く、対象との距離は遠くと近く、双方を行き来するよう写真に撮られています。風景を撮影しているように見えて、自らの意思ではそのように考えていない現状がある(これについては話すと長くなるので別の機会に)。ただ、私の撮影している写真が「風景」と話される正体を少しでも知りたいと思い「風景」と名前がついた本で、気になるものがあれば読むようにしています。

いくつかの集まり「短歌」
短歌を読むようになったのは今から10年ほど前になります。短歌を詠む友人と出会ったこともありますが、目の前やどこかにある事象が言葉を組み合わせることによって、濃くも淡くも、色褪せることにもなる。言葉が脳に像を描き、色のみならず距離の行き来さえ現す。言葉によって視覚を刺激することができるのかと、言葉に秘められた効力に気づくきっかけとなりました。

いずれも私の周りからですが、本にまつわるできごとや関わり方をご紹介しました。書棚を写した写真の中にはまだ十分に読めていない本も含まれています。いつでも手に取ることができる状態にする、興味を手元に置いておく。制作のきっかけや発想に及ぶできごとはいつ訪れるのか。それが始まる瞬間は選べるものではないなと思います。
書籍は手元に収まりますが、展示とも繋がる<視る>行為が散りばめられています。一冊ずつを時間をかけて読み込み書棚に収める。これから読もうとしている本を書棚に収める。一歩下がってみて、自己と書棚を照らし合わせてみる。卒業制作のスクーリングでは「クリスマスもお正月も今年は置いておいて、作ることに集中しましょう」そんな言葉も聞かれます。在学中の皆さんにとっても学習に本は必要であると身に染みていると思います。
一年の移り変わりの頃、あなたの手元に本は何冊あるでしょうか。つくることは切れ目なく続くもの。今年と来年それぞれの年を繋ぐように、傍に本を持ってみてはいかがでしょうか。
写真コース|学科・コース紹介

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