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書画コース

2025年12月23日

【書画コース】そうだ!写生に行こう

こんにちは、川端不條と申します。この度初めてブログを担当させていただきます。つまらない内容になるかもしれませんが、まずは簡単な自己紹介をさせていただきます。
私は2018年から2024年までの間、中国に留学しており主に山水画を勉強していました。卒業後は中国で少し働いていましたが、作家活動を活発にしたいと考え日本に戻ってきました。
ここ三年ほどは京都芸術大学の書画オンラインコースの添削の仕事に関わらせていただいており、特に創作に関する科目の際は、学生さんたちの発想力に驚かされることが多く、大変勉強になっています。

さて今回のブログでは自分が学術的な事を説明するには少し手が負えないことも多いため、ここでは少し自身の創作に関する話をさせていただけたらと思っています。
今回は、題材とした獅子林の概要と、またこれを題材とした有名な画家の作品について、あと最後に創作の感想についてお話ししたく思っています。

 獅子林の概要


獅子林は1342(元至正二年)に高僧天如禅師の為にその弟子が土地を買い、建てた禅林と言われています。この名前は、天如禅師が浙江省の天目山にある獅子岩というところで中峰和尚に師事していたことが由来となっています。(獅子と師子を掛けています)。また園林の特徴として多くの怪石(假山)があり、その特徴が獅子の頭のようであることも理由の一つだとされています。

 現地取材の感想


獅子林に行ったのは丁度梅の季節で、作品の取材として行ったのですが、当日は強行軍だったこともあり蘇州には半日しかおれず、中々ゆっくり見て回ることができませんでした。

二月の梅の展示、この時期の目玉展示だった。



園林は、山は高くないですが洞窟が旋回しているようでとても広々としており、また曲折してはいますが非常に奥深く、小さい滝が草木の中に隠れて流れており、とても風情を感じさせます。

橋の上から見た怪石の写真。池に浮かぶ山のように見える。多くの好きな作家がこの角度から見た景色を描いていたため、生で見ることが出来たのはとても嬉しかったです。



大きな柏の樹、日本語ではイブキ(柏槙)と呼ばれるもので、竜のようにねじれており怪石とよく調和しているように感じました。



岩の中はこの様な感じになっています。洞窟の中に階段があるのですが、とても狭く、通り抜けるのが一苦労。また登ったり降りたりを繰り返すためとても疲れました。


獅子林を題材とした作品


次に有名な画家の作品に触れておきたいと思います。諸事情により実際の作品の画像が無いことをご理解いただきたいのですが、今の時代、インターネットで検索すれば閲覧が可能なため、参考にだけしていただければと思います。

・倪瓉
倪瓚は元代の代表的な画家です。作品は山水、竹石、枯木などが代表的で、淡く簡略的なものが多く、“灰の美”を感じさせます。この獅子林図は趙原という画家との合作で短い巻子のものです。建物や園林のレイアウトは今と比べ、全然違うものであることが窺えます。倪瓚以前の時代には朱徳潤という画家が描いた獅子林があったようなのですが焼失してしまったため、これが現存する古い時代に近い獅子林図の代表と言われています。私の考えでは修繕や増設が繰り返されているためと思われるのですが、こういった側面から見ると、当時の画というのは写真がなかった時代、記録といった面で大きな貢献をしているとともに、芸術性といった面でも意義のある仕事だと考えています。
また、彼は造園にも参与しており、後に獅子林に関する詩も残しています。

・呉冠中
呉冠中の代表作として真っ先に思い浮かぶのはこの獅子林の作品であり、先の倪瓚の作品に比べると更に抽象的な表現をしています。また、呉冠中が獅子林を訪れて作画した時代は1938年で、園林の様子も大きく変わっていることが作風から分かります。
朱砂や石緑、藤黄を使った独特な斑模様の色彩や、また水面には金魚が泳いでいるなど抽象的ではありますが具な情緒表現も見ることができます。また自由な筆遣いの岩の造形は実際に見た怪石の造形と比べ、更に誇張した印象があり、絵画作品の真の趣とは“似ていることと似ていないことの間”にあるのではないかと考えるきっかけとなりました。これを知った当時の私は“山水画は自由で良いのだ。”と思わされる感情があったことを覚えています。

写生


獅子林速写作品①



獅子林速写作品②



写生や速写などといいますが、その必要性に応じて描き分けています。私の場合消しゴムは使わず、直観で感じたものを重要視し、また鉛筆でも書法の線を意識して描くことを心がけています。

参考作品


創作の際は王蒙の具区林屋図(以下写真)の画法を参考にしました。
この古典の特徴は牛毛皴という画法を使用しており、牛の毛の様な細い線を何度も重ねて岩の質感を表現しています。主に太湖石や、草が生い茂っている様子を表現する際用いられます。
このように古典に仿って創作をすることを“仿作”といい、古人の数多くはこの方法を用い過去にたくさんの作品を残してきました。

王蒙 具区林屋図 台北故宮博物院蔵



牛毛皴拡大図



具区林屋図は蘇州の太湖にある林屋洞がモチーフになっており、またこの林屋洞、本来は家屋や、樹々というものは存在しないものなのですが、それらを加筆することで、王蒙は洞窟の中での山水の世界観を表現しているのだと考えています。

創作小作品


こちらは今回作った小作品です。色々反省するところ多い結果になりましたが、また引き続き創作に取り組んで改善していきたく思っています。

獅子林画冊①



獅子林画冊②



獅子林画冊③



この小品、画本体の他に印の配置にも留意しました。印を捺す位置に関しては姓名印、雅号印以外にはあまり決まりはないと思いますが、特に印のデザインが作風にあっているか、構図として違和感がない位置に押してあるかどうかを考えています。これといった模範解答はなく、都度バランスを見ながら苦慮しています。

今後は10景ほどにしてまとめることや、またこれらの画冊を参考にして、もっと大きな作品に仕上げていこうと思っています。これからがとても楽しみです。

■まとめ


蘇州の獅子林に行ってから、はや八か月ほどが経過しています。近頃はあまり写生に行けていないのですが、画を描き始めてから現在に至るまで描き溜めていた速写資料がたくさんあり、そのほとんどが創作をせずそのまま放置している状態にあります。(写生したのは良いものの実力不足で筆墨表現ができない、またやる気が起きないなどの理由で断念しました。) 今回は帰国後、当時の情景に想いを馳せながら、スケッチを使い創作をしてみました。また日本でも写生に出かけ、どんどん多くの作品を作っていきたいと思います。

 

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