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和の伝統文化コース

2026年01月19日

【和の伝統文化コース】「琴」に触れる、東アジア文化の旅 ― スクーリング科目のご紹介

新しい年を迎え、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
和の伝統文化コース、非常勤講師の大森です。

本コースの魅力のひとつは、文献や映像だけでは決して味わえない、実際に「身体で学ぶ」実践の機会があることです。
今回は1月に開催された「伝統文化実践Ⅱ-1(伝統邦楽)」の授業のうち、「琴」の実践の様子をご紹介いたします。
スクーリングでは、大陸から日本へ受け継がれてきた長い歴史をたどり、時間と空間を超える旅のような学びが展開されました。

講師は、本コース非常勤講師の武内恵美子先生です。
授業ではまず、「琴」とはどのような楽器かについて、歴史的・文化的背景を交えた解説が行われました。

「琴」外観。木製の胴に漆が塗られている。柱はなく、左手で絃を押さえ、右手の指で弾く。



「琴」という文字は、日本では一般的に「こと(箏)」を指しますが、本来は「キン」と読み、中国古来の七弦の弦楽器を指す固有名詞です。
日本における呼称の変遷や、なぜ「琴=箏」という認識が定着したのかといった説明を通じて、中国と日本それぞれの音楽文化の違いとつながりを学びました。

「琴」の歴史は周の時代にまで遡ります。孔子や名手・伯牙の逸話をはじめ、儒教や老荘思想との関わりから、「琴」は単なる楽器ではなく精神修養や文人文化の象徴として発展したことが紹介されました。
唐・宋・明・清と時代が進むごとに、楽譜や演奏技法、思想性が洗練され、現在の琴文化の基礎が築かれていったことも印象的でした。

講義風景。発掘品・絵画・文学など、様々な資料から「琴」の文化を学びました。



日本では、遣唐使によって楽器がもたらされ、王権の象徴として演奏されました。平安時代の文学作品『源氏物語』にも登場し、どの楽器を演奏するか、どの曲を奏でるかが物語の展開を暗示する役割を果たしていることも紹介されました。
江戸時代には文人文化が花開きます。詩を詠み、書をしたため、自然と向き合いながら静かに「琴」を奏でた中国の文人たちの思想や美意識は、時代を越え、海を越え、日本の知識人にも受け継がれていきます。
このように、「琴」という楽器の歴史を通して、中国から日本へ、過去から現在へとつながる壮大な文化の流れを学ぶことができました。

歴史を学んだ後はいよいよ楽器に触れる実践の時間です。

実践の様子。学生一人ずつ、先生に「琴」の弾き方を教わりました。



正しい姿勢や指の使い方を教わり、そっと弦に触れると、驚くほど繊細な音が空間に広がりました。大きな音ではありませんが、一音一音に意味があり、余韻までが音楽として存在していることに気づかされます。

授業の最後には、武内先生による演奏が行われました。

先生の演奏《憶故人》。間近で生の響きに耳を傾けました。



低く深い音色、余韻の長い響き、そして音と音の間に流れる静けさに、教室全体が包まれました。
普段は講義室として使われている空間が、一瞬にして山水画の世界へと変わったかのようでした。

スクーリングでは、同じ分野に興味をもつ仲間たちと音に耳を澄まし、感想を語り合い、驚きや発見を共有できることも大きな楽しみです。
学びがそのまま、学生生活のきらめく思い出にもなっていくことを実感しました。

授業を担当いただきました武内先生、そして、受講生のみなさん、ありがとうございました。

 

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