PHOTO

PHOTO

写真コース

2026年01月30日

【写真コース】在学生卒業生の活躍10 2025年度-3  ギャラリーでの個展情報など

みなさんこんにちは。写真コースの勝又公仁彦です。2026年が幕を開けましたが、写真コースに集う幅広い世代の学生は、寒さに負けず、それぞれの視点を研ぎ澄ませていっています。

今回は、昨年末と今年初めに東京で開催された、二人の卒業生による個展の様子をご紹介します。お二人とも、卒業後も休むことなく制作を続け、写真というメディアを通して深い探求と思索を形にされています。

まずご紹介するのは、2023年度の卒業生で、現在、大学院の写真・映像領域に在学中の西浦和彦さんです。20251118日から121日まで、東京・新宿ニコンサロン THE GALLERY にて個展「記憶と時間の眠る場所」を開催されました。

会場風景



本展は、在学中の卒業制作として制作したA2判手製本写真集『いのちは赤色、あの海は青色』と、卒業後も制作を継続してきた新作写真集『化石を見つけた日の夢』の二冊を軸に構成されています。

新作写真集『化石を見つけた日の夢』にて、神社に飾られていた90年前の集合写真との出会いを軸に、失われていく写真や写真に残る痕跡が掘り下げられています。そこに写る人々はすでに不在でありながら、写真の中ではこちらを見返すように存在し続けています。この「不在が現前してしまう」感覚を手がかりに、西浦さんは写真と記憶の関係を見つめ直しています。

作品には、西浦さんの祖母の肖像写真、90年前の集合写真、石、人形などのモチーフが繰り返し登場します。また、興味深いことに、破られた写真は展示ではなく、写真集の中にのみ収められている要素として扱われています。さらに、即興演劇(エチュード)から生まれた白塗りの人物も、作品を読み解く重要なモチーフとして現れます。                                               

タイトルの「化石」は、過去を保存するというより、時間の圧力で変質しながら残ってしまう痕跡を指しています。写真は記録である以前に、触れられ、壊れ、忘れられながらも残るものなのか。本展「記憶と時間の眠る場所」は、その問いを、90年前の集合写真と写真に刻まれた痕跡を通して静かに立ち上げ、鑑賞者それぞれの記憶に触れる場をひらきます。

卒業制作で培った確かな手応えを、大学院という新たな環境でさらに深化させ、ニコンサロンという大舞台で見事に結実させた西浦さんの歩みは、後輩たちにとっても一つの大きな道標となるでしょう。

西浦さん(右)と写真コース非常勤講師の松原豊先生。三重県在住者同士の絆を感じました。

西浦和彦さん notehttps://note.com/humble_eagle1061/n/n4035e5050f66

 

続いては、2022年度卒業生の花田友歌さんです。20251223日から28日まで、両国にあるピクトリコ ショップ&ギャラリーにて、個展「Under the Sky, Beneath the Tree」を開催されました。

会場風景



花田さんの展示は202310月に行った外川哲也さん(同じく卒業生で、その後写真・映像領域大学院も卒業されました)との2人展「With the Flow」(花田さんは卒業制作『Cloudy River』を出品)以来、約2年ぶりとなります。 本作は東京スカイツリーのある押上周辺の街の様子を撮影したもので、巨大で近未来的な建築物とは対照的な、昭和の香りが残る下町の街並みや家屋のディテールを捉えようと試みています。

前作『Cloudy River』で撮影した隅田川流域の街とも文字通り地続きであるこの地域は、花田さん自身の在住エリアでもあります。自宅から徒歩でも回れる範囲に限定して、2023年末から2025年前半にかけて丁寧に撮影されました。

個展の挨拶文には、花田さんの写真に向き合う切実な眼差しが綴られています。
Under the Sky, Beneath the Tree

樹齢10年ほどの巨大な樹の足元に私は暮らしている。天空を貫く、見上げると首が痛くなるほど巨大な樹だ。 息子が幼かった頃、帰り道によく私たちはその巨大な樹を見上げて、今日はどんな色に光っているだとか、てっぺんが雲で隠れているだとか、何やら工事しているようだとか、そんなことを言い合った。たまにはその樹に登って自分たちの住む街を見下ろした。 そして私はとってつけたように「この大きな木は君のことをずっと見守っているんだよ」と息子に言うのだった。

観光地「東京スカイツリー」としてではなく、人々の生活の場としての押上の街(スカイツリー から半径500m1km以内)を、在住者の眼を通して切り取ると、巨大で近未来的な建造物とは対照的に、その足元には昭和・平成・令和が幾重にも折り重なったような風景が広がっている。 古い家屋と家屋の隙間にその巨大な姿を見るとき、ふと架空の物語の世界に入り込んだような錯覚を覚える。 その強烈な引力のもと、生活者としての私たちはどうありたいか、どんな暮らしを次の世代に手渡したいか、ひととき足を止めて皆さんとともに思いを馳せてみたい。 

 

最終日には私もギャラリートークにお招きいただきましたが、会場は熱気に包まれていました。 私は主に都市を歩くことについて思想史や写真史、ジェンダーの観点から花田さんに質問をさせていただきました。

都内や近郊にお住まいの方は、アイコニックな巨大建築と古い下町の風景が一つの画面に収まっていることに新鮮な驚きを感じていたようでした。一方で、近隣在住の方にとっては、見慣れた日常がちょっと違って見えるような体験となったのではないでしょうか。 中には、花田さんよりもずっと長くこのエリアをご存知の方もいらっしゃり、スカイツリー開業以前の貴重なお話を伺うことができたそうで、作家としても発見の多い展示となったようです。

花田友歌さん note https://note.com/yukahanada1981/n/ndb1c2556a3da

なお、花田さんは127日から外苑前の「ギャラリー晴れ」にて、卒業制作『Cloudy River』を再編集した個展を開催されます。

花田 友歌 個展『Cloudy River
・会期: 2026127()21() 11:00-18:00
・会場: ギャラリー晴れ(東京都港区南青山3−8−5 M385Bldg 302

2023年の展示から写真も一部入れ替え、解釈や構成を新たにしているとのことですので、こちらもぜひ足をお運びください。

今回ご紹介したお二人の活動からもわかるように、通信教育での学びは、卒業してからも長く、深く続いていくものです。10代の若者から、人生の円熟期を迎えた方まで、写真という共通の言語を通して自分だけの視点を追求し、社会に向けて発信していく。そのプロセスこそが、本コースの醍醐味だと改めて感じています。

これから写真を学んでみたいと考えている皆さんも、まずは一歩、自分自身の身近な風景に目を向けることから始めてみてはいかがでしょうか。

まだまだここに紹介することができない多くの卒業生、在校生が、個展やグループ展や出版活動にて作品を発表したり、展覧会のキュレーションやコンペの審査員に指名されたり、ギャラリーの運営と企画をしたり、イベントへの登壇やワークショップの開催などをしています。今後もそんな卒業生、在校生の活躍をお届けしていきます。

他にも活躍する先輩多数。写真コースの卒業生インタビューは以下に
京都芸術大学通信教育部HP>学科・コース紹介>写真コース

在学生卒業生も投稿している公開のFacebook グループはこちら。https://www.facebook.com/groups/376701939181733/

 

写真コース|学科・コース紹介



大学パンフレット資料請求はこちらから

この記事をシェアする