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2026年06月30日
【染織コース】絹糸の作り方 二種類の方法
皆さんこんにちは。染織コースの久田多恵です。絹はツヤツヤ、しっとりとしてとても手触りがよく魅力的ですね。特別な日にシルクのブラウスを着たり、シルクのポケットチーフをのぞかせたりすることがあると思います。

着物には綿や麻、ウール素材のものもありますが絹は主な素材です。絹糸が蚕の繭から取られることはご存じだと思います。糸の取り方には大きく分けて二種類の方法があります。縮緬(ちりめん)や綸子(りんず)のような薄手の布を織るための糸と、紬(つむぎ)の着物に使われるものです。紬の着物地はよく見るとよこ糸に太いところと細いところがあります。この二種類は繭からどうやって糸を取るかが違います。(結城紬はたて糸もよこ糸も紡いだ糸が使われます。)


繭から糸を取るための2種類の方法を、染織コースでは冬に特別講義として、やまこしかずよ先生に担当してもらっています。先生はご自宅で蚕を育てて糸を取り、作品に使われています。蚕を育てるのは大変な手間がかかりますが糸を取るのはできそうな気がしますね。蚕を育てるにはたくさんの桑の葉が必要になります。これを個人で確保するのは少しハードルが高いです。蚕を育てなくても繭は市販されているものを使うことができます。道具も特別なものは必要ありません。

手前に写っているものはささらですが、これは亀の子たわしで代用できます。特別講義では20名がグループに分かれて繭を煮るので一人ずつの繭を洗濯ネットに入れています。この他に熱源、鍋、アルカリ剤としてせっけんを使います。

アルカリ剤を使うのは蚕の糸についているセリシンを少し取るためです。蚕の糸にはフィブロインとセリシンという二種類のタンパク質があります。セリシンはフィブロインの外側を覆っていて繭をしっかりと形作っています。これを少し緩めることで一本の糸として引き出すことができます。

どれくらいセリシンを取るかで糸の取りやすさが違ってきます。時間や温度、アルカリの濃度を調節するのですがこれは経験で会得する必要があります。繭を煮る工程は煮繭(しゃけん)と呼ばれます。

煮繭した繭をささらや亀の子たわしでなでるようにすると繭から糸が出てきます。最初はもじゃもじゃした糸が出てくるのですが、この部分は蚕が最初に出す糸で生皮苧(きびそ)として使われることがあります。どんどん引き出していくと繭から一本の糸が引き出される状態になります。数個の繭から引き出す糸を手で撚って新聞紙の上に積み上げていきます。

引き出しながら手で撚るのですが、一定の方向に撚りをかけるというより指で糸をまとめていくような状態です。これで何本かの絹糸がひとまとまりになり、後で巻き取ることができます。

産地での生産では引き出した糸を巻き取る仕組みがあります。『あゝ野麦峠』で知られていますね。かつては日本の輸出産業をささえていました。日本の絹糸生産は今ではとても少なくなっています。
さてもう一つの絹糸の作り方、糸つむぎです。絹は繭から糸を引くのが基本なのですが、引くことができない繭もあります。二頭の蚕が一つの繭を作ってしまうと引くことができません。また出荷できないような汚れた繭もあり、それらを一旦真綿にして利用します。真綿の布団や、木綿綿を真綿で覆って布団を作ります。真綿としての利用の他、真綿から糸を作ることができます。繭から引くのとは違ってふわふわとしていて空気を含んだ糸ができます。



私は布団屋さんで購入した真綿から糸を作ろうと試みたことがあります。久米島で行われている糸作りをやってみようと思ったのですがなかなか糸になっていく実感が得られませんでした。やまこし先生の講義では繭からある程度糸を引いたら、繭の一部を切って蛹を取り出してもう一度煮て真綿を作り、そこから糸を紡ぎます。この方法では糸には太、細はあるものの糸になっていく手応えがありました。どれくらいセリシンを取るか、また真綿に含まれる水分量などが大切なのだと想像できました。

上の画像、左の繭は二頭が一つの繭を作ったもの、右は少し汚れがあるものです。このような繭は少し安く買うことができますが養蚕をする人が減っているので貴重です。日本の養蚕が無くなってしまわないよう、国産の絹を使っていきたいと思っています。下の画像は絹糸いろいろです。真ん中の光っているものが繭から引いた糸で紬の着物のたて糸に使うものです。右はつむいだ糸でよこ糸に使うものです。左はセリシンを残して糸にしたものです。つやはなくバリバリしていて独特の質感です。

染織コースでは入学初年度に絹の布を植物染料で染める自宅課題「植物染料の色を知る」があります。また3年次に「絹を知る」「絹を織る」というスクーリング科目があり縞の布を織っています。このような基礎を踏まえて卒業制作で絹の着物に挑戦する人もいます。次世代に絹糸の文化が引き継がれていくよう、在学生と卒業生の皆さんの活躍を期待しています。
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絹のスカーフ
着物には綿や麻、ウール素材のものもありますが絹は主な素材です。絹糸が蚕の繭から取られることはご存じだと思います。糸の取り方には大きく分けて二種類の方法があります。縮緬(ちりめん)や綸子(りんず)のような薄手の布を織るための糸と、紬(つむぎ)の着物に使われるものです。紬の着物地はよく見るとよこ糸に太いところと細いところがあります。この二種類は繭からどうやって糸を取るかが違います。(結城紬はたて糸もよこ糸も紡いだ糸が使われます。)

薄手の絹布(友禅)

紬の着物(絣)
繭から糸を取るための2種類の方法を、染織コースでは冬に特別講義として、やまこしかずよ先生に担当してもらっています。先生はご自宅で蚕を育てて糸を取り、作品に使われています。蚕を育てるのは大変な手間がかかりますが糸を取るのはできそうな気がしますね。蚕を育てるにはたくさんの桑の葉が必要になります。これを個人で確保するのは少しハードルが高いです。蚕を育てなくても繭は市販されているものを使うことができます。道具も特別なものは必要ありません。

準備するもの
手前に写っているものはささらですが、これは亀の子たわしで代用できます。特別講義では20名がグループに分かれて繭を煮るので一人ずつの繭を洗濯ネットに入れています。この他に熱源、鍋、アルカリ剤としてせっけんを使います。

特別講義の様子
アルカリ剤を使うのは蚕の糸についているセリシンを少し取るためです。蚕の糸にはフィブロインとセリシンという二種類のタンパク質があります。セリシンはフィブロインの外側を覆っていて繭をしっかりと形作っています。これを少し緩めることで一本の糸として引き出すことができます。

煮繭が終わったところ
どれくらいセリシンを取るかで糸の取りやすさが違ってきます。時間や温度、アルカリの濃度を調節するのですがこれは経験で会得する必要があります。繭を煮る工程は煮繭(しゃけん)と呼ばれます。

ささらで糸を引き出す
煮繭した繭をささらや亀の子たわしでなでるようにすると繭から糸が出てきます。最初はもじゃもじゃした糸が出てくるのですが、この部分は蚕が最初に出す糸で生皮苧(きびそ)として使われることがあります。どんどん引き出していくと繭から一本の糸が引き出される状態になります。数個の繭から引き出す糸を手で撚って新聞紙の上に積み上げていきます。

糸が引き出される
引き出しながら手で撚るのですが、一定の方向に撚りをかけるというより指で糸をまとめていくような状態です。これで何本かの絹糸がひとまとまりになり、後で巻き取ることができます。

指で糸をまとめる
産地での生産では引き出した糸を巻き取る仕組みがあります。『あゝ野麦峠』で知られていますね。かつては日本の輸出産業をささえていました。日本の絹糸生産は今ではとても少なくなっています。
さてもう一つの絹糸の作り方、糸つむぎです。絹は繭から糸を引くのが基本なのですが、引くことができない繭もあります。二頭の蚕が一つの繭を作ってしまうと引くことができません。また出荷できないような汚れた繭もあり、それらを一旦真綿にして利用します。真綿の布団や、木綿綿を真綿で覆って布団を作ります。真綿としての利用の他、真綿から糸を作ることができます。繭から引くのとは違ってふわふわとしていて空気を含んだ糸ができます。

真綿つくり準備

真綿つくり

真綿から糸をつむぐ
私は布団屋さんで購入した真綿から糸を作ろうと試みたことがあります。久米島で行われている糸作りをやってみようと思ったのですがなかなか糸になっていく実感が得られませんでした。やまこし先生の講義では繭からある程度糸を引いたら、繭の一部を切って蛹を取り出してもう一度煮て真綿を作り、そこから糸を紡ぎます。この方法では糸には太、細はあるものの糸になっていく手応えがありました。どれくらいセリシンを取るか、また真綿に含まれる水分量などが大切なのだと想像できました。

繭
上の画像、左の繭は二頭が一つの繭を作ったもの、右は少し汚れがあるものです。このような繭は少し安く買うことができますが養蚕をする人が減っているので貴重です。日本の養蚕が無くなってしまわないよう、国産の絹を使っていきたいと思っています。下の画像は絹糸いろいろです。真ん中の光っているものが繭から引いた糸で紬の着物のたて糸に使うものです。右はつむいだ糸でよこ糸に使うものです。左はセリシンを残して糸にしたものです。つやはなくバリバリしていて独特の質感です。

絹糸いろいろ
染織コースでは入学初年度に絹の布を植物染料で染める自宅課題「植物染料の色を知る」があります。また3年次に「絹を知る」「絹を織る」というスクーリング科目があり縞の布を織っています。このような基礎を踏まえて卒業制作で絹の着物に挑戦する人もいます。次世代に絹糸の文化が引き継がれていくよう、在学生と卒業生の皆さんの活躍を期待しています。
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