PHOTO

PHOTO

写真コース

  • HOME
  • 写真コース 記事一覧
  • 【写真コース】在学生卒業生の活躍12 2026年度-2 塩竈フォトフェスティバル2026「塩釜賞」受賞、国内外での個展、NHK WORLDにてドキュメンタリー番組の放送、ギャラリーの開設など

2026年08月31日

【写真コース】在学生卒業生の活躍12 2026年度-2 塩竈フォトフェスティバル2026「塩釜賞」受賞、国内外での個展、NHK WORLDにてドキュメンタリー番組の放送、ギャラリーの開設など

みなさんこんにちは。写真コースの勝又公仁彦です。2026年も半ばを過ぎようとしています。酷暑の中ですが、卒業生在校生たちは精力的な活動を続けています。今回は、前回に引き続き昨年から今年にかけての卒業生在校生の活躍の一部をお届けします。

■小村和久 / 楜村一尚さん(2016年度卒業生)

2016年度卒業生の小村和久さん(アーティスト名 楜村一尚さん)の作品「うつつかゆめか」が、塩竈フォトフェスティバル2026ポートフォリオレビュー写真賞において塩竃賞を受賞しました。

小村さんによる作品の制作動機を以下にご紹介いたします。
現在、私は「うつつかゆめか」というプロジェクトを続けています。この活動が始まったきっかけは、終末期医療で入院している母への面会でした。週に2回、母の元へ通う道すがら、沈んだ気持ちを落ち着かせるために、いつも通る川沿いの風景を撮影するようになったのが始まりです。

母は病状の影響で現実と夢が混ざり合うことがあり、時には「せん妄」が生じることもあります。母の状態を支えるための面会を続ける中で、私は行き帰りの河川敷にあるグランドや畑、土手の反対側の街並みなど、ごくありふれた風景を淡々と撮影し続けました。現実世界をファインダーに閉じ込めているはずなのに、ふとした瞬間に風景が夢のような質感を帯びると感じることが幾度かありました。そんな母と私の、境界が曖昧になるような体験がそのまま「うつつかゆめか」というタイトルになりました。

私はもともと、ドイツ写真にあるような「冷静で観察的な目線」に影響を受けています。そのため、「家族の看取り」という極めて私的なテーマを、このようなスタイルで表現できるのかという葛藤が当初はありました。

けれども、臆することなく作品を世に問い、ポートフォリオレビューを受ける、ZINEを制作・販売するといった活動を続けました。そうした中で、鑑賞者の方々からいただいた評価や反応が作品をよりよいものに変えていき、そして少しずつ私に自信を与えました。このような積み重ねが、今回の塩竈フォトフェスティバル写真賞での受賞へと繋がったのだと感じています。

 振り返れば、レビューしてくださった先生方、そしてともに写真を学ぶ仲間たちの存在がなければ、この受賞はありませんでした。深く感謝したいです。

写真コース卒業後10年間、さまざまに作品制作を続けてこられた成果の結実を私も大変嬉しく思っています。

・楜村一尚website  Kazuhisa Komura Photography  https://kazkomura.com/

・塩竈フォトフェスティバル2026公式サイト  https://sgma.jp/2026/index.php

 

■セノオシノブさん(2024年度卒業生)

2024年度卒業生のセノオシノブさんは卒業後も精力的に活動を続けており、この1年で作品が一気に国際的な舞台へと広がっています。

セノオさんが卒業制作で制作したシリーズ「Ritual」は、夫婦の日常を記録した写真群です。スナップやステージングフォトを組み合わせ、人が長い時間をともに過ごすことで起こる「同質化」という現象を観察し続けた作品です。親密な記録のようにも見えながら、見る者に「自分たちはどうか」という問いをひそかに手渡す——そうした構造を持った写真作品です。

同シリーズをまとめた写真集『Ritual』(私家版 販売分限定100部)は、2025年内に完売。同年9月にはスペイン・バルセロナのアートマガジン Al-Tiba9 ISSUE19https://www.altiba9.com/art-magazine-issue19)に作品が掲載され、12月には「余白のアートフェア 福島広野 Edition2(https://artfairhirono.com)にも参加されました。

2026年1月には、米国テキサス大学タイラー校美術史学科が主催する第41回国際公募展(https://www.uttyler.edu/about/news/pressrelease/2026/01212026.php)に入選。入選作品の中から収蔵賞に選ばれ、作品が同校のパブリックコレクションに収蔵されることになりました。海外の公的機関への初収蔵という、作家として大きな節目となる出来事です。

2月にはCICA美術館(韓国・https://cicamuseum.com/art-is-2/)でのグループ展「Art Is #2」に参加。3月には同館で「Ritual」(https://cicamuseum.com/shinobu-senoo-solo-exhibition/)の個展が開催され、セノオさん自身も現地を訪れ展示を確認されました。

5月には、イギリスのアートコレクティブJustArt Collectiveが主催するロンドンでのグループ展(https://www.justartcollective.com/exhibitions)へも参加。

撮影:Jenny Ping Lam Lin



2026年8月には、アメリカの写真批評誌が主催する国際写真コンペティションに、Ritualシリーズより1点が入賞。受賞作は10月より米国フィラデルフィアの美術館で開催される受賞作品展に出品されます。同じく10月には東京での個展も予定されており、日米で同時期に作品が展示されることになります。

・セノオシノブさんwebsite    https://shinobu.senoo.art

 

■菊地真之さん(2022年度写真コース卒業、2024年度大学院写真・映像領域修了)

2022年度写真コース卒業で、2024年度大学院写真・映像領域修了の菊地真之さんは、東京のギャラリー、Alt_Mediumにて個展「Distance and Appearance – 隔たりと現われ」を開催されました。

菊地さんは、被写体の情報や意味に還元できない「純粋な経験」としての人間と世界の関係を写真によって追求しています。

作品はどれも2枚または3枚で構成されており、鑑賞者が目線を運ぶ時に感じる心地よい感覚をもたらす作品群は、そのイメージが何であるかではなく、見る行為そのものを問うことを促します。

今回は写真を床に設置するなど・視覚と身体性、展示空間との関係について考察する試みも見られました。

知覚と表現に対して、実験的なアプローチを続ける菊地さんの今後の活動が楽しみです。

・菊地真之個展「Distance and Appearance – 隔たりと現われ
2026年116日(金)~121日(水)
Alt_Medium
https://altmedium.jp/post/202601kikuchimasayuki/

・菊地真之さんwebsite
https://kikuchimasayuki.studio.site/

 

■山本美里さん(2019年度卒業生)

2019年度卒業生の山本美里さんは2026317日から29日まで東京は目黒のJam Photo Galleryにて企画展「#B F F -Best Friend Forever-」を開催されました。

この展覧会では20253月に山本さんが息子・瑞樹さんを亡くしてから月命日ごとに制作しているフォトコラージュ作品の展示をしました。このシリーズでは大切な人の死を経験した後、年月とともに亡くなった大切な人との距離がどう変化していくのか。また、悲しみはどのようなリズムを刻んでいるのかなどを自身の体験を通して可視化しようと試みています。

【作家ステートメント】
「亡くなった人を思う時間の変化はありますか?」
▽「変わらない」が49.6%で最も多く ▽「やや減った」が20.8% ▽「減った」が16.1%▽「増えたり減ったりを繰り返している」が7.6% ▽「増えた」と「やや増えた」が合わせて5.9%(中略)防災心理学が専門で兵庫県立大学の木村玲欧教授は「亡くなった人を思う気持ちは時間経過で減るだけではなく、人生のいろいろな節目に増えることもあり、周囲は理解が必要だ。一方で、時間がたつにつれ、被災経験を客観的に見つめ、つらく悲しい経験だが自分が今後生きていく上での糧となり得る経験でもあったと、捉え直す方も増えてきたのではないか」と話しています。(202538N H Kニュースより)

東日本大震災で大切な誰かを亡くした人たち1000人にとったアンケートが目に止まったのは私が息子を亡くし1週間ほどが過ぎた頃だった。当時の私は先のことが全く考えられずただただ空虚でこの感情が一生続いてしまうのかと生き地獄のような気持ちで過ごしていた。その反面、年月の経過とともに彼への気持ちが薄れていくのではないかという不安もあった。このアンケートの結果を見て、この感情が続いてしまうかもしれない恐怖と、ずっと薄れることはないのだという安堵の気持ちが同時に湧いた。

喪失の感情には揺らぎがあり、悲しみは波のようなリズムでやってくるらしい。また、年月とともに悲しみの形は変化し、時が経つほど一緒に生きている感覚が強くなるらしい。息子には重度の障害があり私は生前の彼に常に帯同していたせいか、目の前で起こっていることが私に起こっていることなのか、彼に起こっているのか分からなくなることがしばしばあった。彼の死を境にかつて一心同体だった彼と別々に歩み始め、彼との距離や私自身の気持ちがどのように変化するのか。悲しみはどのようなリズムを刻んでいるのか。身体はなくなっても一緒に生きているとはどういうことなのか。私は知りたくなった。そこで毎月の月命日に私自身の体験や心の中を作品として吐き出すことでそれらを可視化することができないかと考え制作を始めた。

彼がこの世を去ってもうすぐ1年が経とうとしている。彼を亡くしてから私には彼が一緒に生きていたかもしれない「今」と、いなくなってしまった「今」2つの時空を同時並行に生きているような感覚がある。それが「共に生きる」ということなのか。私にはまだわからないことがたくさんある。制作を始めた当初は毎月作り続けられるほど彼への想いは持続するのだろうかとも思ったが、たとえ続かなかったとしても、それは彼との距離がそうさせるのだろうからよしとしようとも思った。しかし、今のところ私の作りたい気持ちには枯渇する気配はないようだ。

 



3月21日(土)にはギャラリーオーナーの写真家・鶴巻育子さんを聞き手にギャラリートークも行われました。



また、展示に合わせて202533日から202633日までの日記と展示作品以外の日常の写真などを集めたZ I NE「#B F F -BestFriend Forever-」も制作されたそうです。

このシリーズは息子の瑞樹さんが20歳を迎える予定だった2028529日まで継続し、20歳を祝う「生誕祭」として個展をしたいと考えているそうです。

・フォトコン4月号 一生懸命フォトグラファー列伝 第292
「写真は自分をケアする大切な手段」
https://www.photo-con.com/フォトコン2026年4月号/

・ケアラーは「透明人間」ではない、医療的ケア児に付き添う自身を撮影写真家の山本美里さん「つらいと声出していい」(2026324日 読売新聞)
https://www.yomiuri.co.jp/national/20260324-GYT1T00253/

 

2026年6月3日(水)から6月14日(日)まで沖縄県立博物館・美術館 県民ギャラリー1、2にて山本美里写真展「私ってヘン?〜とある“主婦”のつぶやき〜」を行いました。

<ルーム1>ではお子さんの生前していた2017年から2024年頃までの作品を展示。

<ルーム2>ではお子さんを亡くされた20253月以降に制作された作品を展示。

沖縄で作家活動をしている画家・宜保朝子さん、写真家・伊波和志さん、訪問看護師の水川さんの3人とトークイベントを行いました。また、浜比嘉島にある書店「ある日、」と児童デイサービ「kukuru+」にてお話し会などもしたそうです。

写真家の伊波和志さんと



会場では公開制作も行ったそうです。

2026年622日(月)から30日(火)まで、宮古島市役所でもスピンオフバージョンとして展示「あなたも私も確かにここに存在している」展も行われました。

<沖縄での展示を取り上げたメディア一覧>
・私ってヘン?」医療的ケア児母、日常を写す 山本美里さん 沖縄・那覇で6月に写真展 葛藤や違和感、喪失感も(202656日 琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/national/entry-5232092.html

・母役の苦しさ解き放つ 写真家・山本美里さん「医療的ケア児」付き添う自身撮影 那覇で展示会(202669日 琉球新報)
https://ryukyushimpo.jp/national/entry-5301749.html

・「私ってヘン?」〜とある主婦のつぶやき〜 山本美里写真展(Q A B 琉球朝日放送)
https://www.qab.co.jp/news/20260608296063.html

・医療的ケア児と歩んだ日々 写真家・山本美里さんが展示 那覇(2026612日 毎日新聞デジタル)
https://mainichi.jp/articles/20260611/k00/00m/040/411000c

 

2026年6月10日(水)から628日(日)まで東京アートセンターB UGで行われた「ドゥーリアのボールルーム」にパフォーマーとして参加しました。
https://bug.art/exhibition/crawl-mo/

このイベントのフリンジ企画として48日(火)と617日(火)にはアーティストのブブ・ド・ラ・マドレーヌさんと対談も行われました。
https://bug.art/event/20260408/

https://bug.art/event/crawl-mo-20260617/

 

2026年717日(金)から725日(土)まで尼崎市杭瀬商店街「あざらし洋品店」「二号店」「HOLLY COFFEE STAND」にて展示が行われました。

・あざらし洋品店



・二号店



・HOLLY COFFEE STAND

7月20日(日)杭瀬スタジオにてトークイベントも開催されました。



<尼崎での展示に合わせて取り上げられた記事>
・「今なお透明人間」医ケア児の次男を失った写真家が表現し続ける理由(朝日新聞デジタル2026716日)
https://www.asahi.com/articles/ASV7J10GTV7JPQIP01CM.html

7月31日(金)よりNHK WORLDの「Japan in Focus」にてドキュメンタリー番組の放送も始まっているそうです。ぜひご覧ください。
・「Motherhood /母性:ケアと喪失の後に」
https://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/shows/3025343/

<山本美里さんの今後の予定>
2026年916日(水)から30日(水)まで多摩ニュータウン諏訪名店街にあるmodokiにて「透明人間 -Invisible Mom-」の展示を開催予定です。922日(火・祝日)には現地にてトークイベントも予定されています。

modoki
東京都多摩市5丁目6−3 多摩ニュータウン諏訪106
京王永山/小田急永山駅より徒歩15分  駐車場有
https://www.instagram.com/modoki_2025/

 

◾️渡辺あさ美さん(2019年度写真コース卒業、2023年度大学院 芸術環境専攻領域修了)

2019年度写真コース卒業、2023年度大学院 芸術環境専攻領域修了の渡辺あさ美さんは兵庫県加西市のHarima Creativeにて「手織りのあいだ ― 播州織・さをり織 手織り作家と写真家が共に作る写真展」を開催されました。

このプロジェクトは、日本の手織りの伝統技術を現代につなげたいという思いから始まったそうです。渡辺さんは資金集め、プロジェクト立ち上げ、ラフなデザインコンセプトの作成、撮影の監督まで、全てのプロセスを統括されたそうです。渡辺さんのコンセプトをもとに、手織り作家がテキスタイルを製作し、糸から完成した衣服まで共同で仕上げたとのことです。

渡辺さんのお言葉です。
手織りの布には、大量生産の衣服では再現できない温かみ、個性、人の手のぬくもりが宿っています。本作では、播州織やさをり織を糸から布、そして衣服へと変化させる過程で、個人的かつ社会的なメッセージを作品に込めています。

衣服が完成した後、私は写真表現を監督し、その存在感と意味を伝えました。ここでの衣服は単なる実用的な服ではなく、博物館の外でも日常の中で体験する芸術的表現です。

このコレクションは、象徴的な素材、色、形を通じて、ジェンダー、アイデンティティ、多様性、伝統というテーマを探求しています。作家との協働とプロジェクト全体の統括により、伝統を現代デザインに統合し、衣服ひとつひとつに人間の物語を宿すことを可能にしました。

 

本展示では、写真、製作された衣服の展示を行ったそうです。

・「手織りのあいだ ― 播州織・さをり織 手織り作家と写真家が共に作る写真展」
2026年210日〜215
Harima Creative(兵庫県加西市)
https://www.harima-creative.com

 

■松生尚子さん(2023年度卒業生)

2023年度卒業生の松生尚子さんは、202621日から317日まで大阪府豊中市服部天神のG&S根雨にて個展「松生尚子という写真家 時間の中にいた私」を開催されました。

卒業制作に着手した2023年から2025年に撮影した作品は主にスローシャッターで撮影しており、それらの作品74点をテーマごとにG&S根雨主宰の石井仁志氏のキュレーションで展示されました。



「時間の中にいた私 京都・奈良」



「水族館の中の時間」



制作意図
卒業制作においては「忙しい日常に追われ、自分を見失った透明人間のようだと感じたことや、自分自身と向き合いたいと思う気持ちを、被写体として私自身が入ることで表現しました。」

卒業後はもっと視野を広げ「そこにいた私の時間と記憶を記録として画像に定着させたい」という思いで様々な場所に足を運びシャッタースピードを選択しながら、この瞬間にとってどのシャータースピードが最適なのかを模索しながら撮影を行っています。

「植物園に流れる時間」



「大阪・京都・奈良・・・各所にどこにでも時間の渦があった」



「万博に流れ込んだ時間」



個展開催中の来場者の関心を一番集めた作品は以下のものだそうです。



松生さん談
大阪・関西万博で撮影したこの作品は背景のスクリーンに映し出された映像と、画面手前の子供たち、さらにその子供たちの動きによって変化するアバターの3つの動きが複雑に変化した場面を捉えている。
静止画である写真の中に定着された動的要素の不思議さに来場者の関心が集まった。

以下は作家本人にとっても新たな視座を発見した水族館での作品だそうです。

松生さん談
神戸・須磨水族館で撮影したこの作品は予測不可能な魚の動きとそこに居合わせた父と娘と思われる二人の、特に少女の右足と右手の動きが捉えられている。

松生さん談
京都・知恩院で撮影されたこの作品はローアングルで撮影されており、女性ならではの視線かもしれない。
他にもローアングルで撮影された作品が多く見られました。

今後は「好評であった水族館シリーズでの作品を日本各地の水族館へ展開していきたいということや、スローシャッターを封印して、作家として新たな視座も開拓していきたい。」とのことでした。



・松生尚子個展 「松生尚子という写真家 時間の中にいた私」
2026年21日(日)~317日(火)
G&S根雨
https://gsneu.info/matsuike2026/

・松生尚子さんInstagramhttps://www.instagram.com/luckei27?igsh=eTl5cmZ2OWExdTY0&utm_source=qr

 

■松本芳明さん(2025年度卒業生)

2025年度卒業生の松本芳明さんは在学中の20262月に西麻布のギャラリーEMにて個展「出生地」を開催しました。5年ほどかけた群馬県の生地をモチーフに竹和紙にモノクロプリントした作品です。暴力的だった父親の「もの」を撮影していく中でパーソナルなテーマでありながら、鑑賞者の胸にしまっていた体験や思いを語りだす写真展になっていました。父親の人生には従軍し満州で戦ったことと収容所での決して語れない経験が大きく関わり、人格を形成してしまったことを見直していきます。晩年父が製作した何枚もの仏像に贖罪を感じる作者の想いが写真展の空気感を産み出し、鑑賞者が自らや父親や祖父を語る写真展になっていました。



・松本芳明個展「「出生地」~故郷だが素直にふるさとと呼べない出生地~」
2026年24日(水)~215日(日)
ギャラリーEM 西麻布 http://www.takeuchi-studio.jp/gallery_em/

・松本芳明さんWEBサイト https://facebook.com/yoshiakim2

 

◾️水谷裕之さん(2019年度卒業生)

2019年度卒業の水谷裕之さんは同期卒業の下村仁志さんが運営するGallery koko(京都府舞鶴市)にて個展「人をつむぐいのちの畑」を開催されました。

3年前に亡くなられた水谷さんのお父様は、退職後に耕作しなくなった水田等を利用して、通年で手広く野菜栽培をしておられたそうです。その後を引き継いだ水谷さんは、こうした畑やビニールハウスをどうしたものかと思いながらも、なんとか細々と野菜栽培を継続していたそうです。

水谷さんは、卒業制作で未知の滝を調べていく様子を記録した作品を制作しました。その一方で、身近なテーマで作品作りができないかと模索されていました。大学で多様な写真を学び、また同期の友人の作品を見ていく中で、ストリートスナップやポートレート等の人物が関わる写真に興味を持たれました。どんな題材にしたらと考えをめぐらし、最も身近で毎日関係している畑仕事にたどりついたそうです。息をのむ絶景でもなく、美しいポートレートでもない泥臭い地味な写真かもしれませんが、セルフポートレートを撮るようなつもりで、自分を主人公にした記録作品にしようと始められました。そのうち、家族や孫なども被写体として登場して、単なる自分の記録から、人のつながりを紡ぐ作品に変化していったようです。

作品作りを進める中で、身近な題材を拾い上げて広げていく作業は時間がかかると実感されたそうです。また、テーマの広がり方で、いろいろな方向に進めていける可能性も秘めており、今後も継続し、どんな展開にするか考えておられるそうです。

個展を見に来られた方とは、農作業の話、野菜の栽培の話、野菜の調理法や保存について、畑での子供の様子、そして日本の農業についてまで話が広がったようです。撮影方法についても質問されたそうで、特に、畑仕事の経験のある方は、何気ない普段の畑仕事も写真として切り取られると再発見することが多いとおっしゃっていたようです。水谷さんは、多くの方から様々な視点で見ていただけたことに感謝されていました。

ギャラリーオーナーの下村さんは、20253月ご自宅の改築で、自宅兼用のギャラリーを建てられました。「koko(=此処)から始まる、kokoに集う、kokoで観る、kokoで喜ぶ、kokoで楽しむ。」というコンセプトのもとGallery kokoと名付けられ、オープンされました。2018年度の入学同期の仲間からは、当初彼の計画に驚きと羨望のまなざしを向けられていたようです。

完成後は、同期の仲間のたまり場のようになるのかと思われていましたが、オープンして1年が過ぎ、同じ地域の方の写真作品、子供たちが撮った写真作品、キルト作品など様々な作品が展示されたそうです。さらに蔵書の貸し出し等、しっかりと地域に根差した展示活動に取り組まれ、地域の文化・芸術の発信の拠点としてその役割を果たされています。

京都市内からは離れた地にありますが、大阪や四国など様々なエリアにご在住の方も含めて、写真コースの卒業生も何人か個展をされています。また、地域柄、海外の方も来られるなど旅行者も訪ねて来られるとのことで、以前は喫茶店と間違われたこともあったようです。奥様も明るく気さくにお話され、お二人と、もう一人(一匹)の大きな猫ちゃんとで来訪者をお迎えされているとのことです。地方にあって、文化の拠点となる地道な活動は本学の「藝術立国」の理念とも響き合うものと言えましょう。皆さんもぜひ、舞鶴・丹後エリアへの旅にでてみませんか。

・Gallery koko  Instagram
https://www.instagram.com/slowhand1224/

 

■田中宏治さん(2022年度卒業生)

2022年度卒業生の田中宏治さんは、2020年から卒業制作のテーマであったご自身のオリジナルカラー(T-COLOR)を追求し、名古屋のテレビ塔(中部電力MIRAI TOWER)を中心とした街を主体にした作品群で構成した写真集を作成されました。
また、名古屋にて初の個展を開催されたそうです。



写真集のステートメントから田中さんによる抜粋
たえず形を変え続けるこの街で、テレビ塔は空に打ちこまれた、ひとつの「座標」のようだ。
新しく生まれ変わるビルや、季節をぬりかえる木々のそばで、その影だけが静かに時を止めたまま、そこに立っている。
本展で切りとったのは、見慣れた日常が、もっとも鮮やかに輝く瞬間です。
ファインダーを通して交わした、街と塔のささやかな対話。
透き通った色のなかに、あなたにとっての「日常の愛おしさ」を見つけていただければ、うれしく思います。



T-COLOR Collection – first -: 〜 テレビ塔の見える風景 〜』
Kindle版 https://amzn.to/3NfInhw
ペーパーバック版 https://amzn.to/4rLNAf9

・田中宏治個展「T-COLOR Collection – first -: 〜 テレビ塔の見える風景 〜」
2026年37日(土)〜329日(日)
カーム(名古屋)
https://www.instagram.com/calm121cafe/

 

今回ご紹介した9名の活動はいずれもそれぞれに期間をかけて、制作を継続されたものです。通信教育での学びは、卒業してからも長く、深く続き、人生を思わぬ方向に開き、充実させていきます。これから写真を学んでみたいと考えている皆さんも、まずは一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。

まだまだここに紹介することができない多くの卒業生、在校生が、個展やグループ展や出版活動にて作品を発表したり、展覧会のキュレーションやコンペの審査員に指名されたり、ギャラリーの運営と企画をしたり、イベントへの登壇やワークショップの開催などをしています。今後もそんな卒業生、在校生の活躍をお届けしていきます。

他にも活躍する先輩多数。写真コースの卒業生インタビューは以下に
https://www.kyoto-art.ac.jp/t/course/photo/?_ga=2.251434950.1778354707.1617178840-1378375267.1408769619&_gac=1.254429946.1617601289.CjwKCAjwx6WDBhBQEiwA_dP8raqQtZkQxKUhxjrjmFXFMTaS1EHOrFyEEujTKjfIoktVQhiEH5w9lhoCtjIQAvD_BwE

在学生卒業生も投稿している公開のFacebook グループはこちら。https://www.facebook.com/groups/376701939181733/

 

写真コース|学科・コース紹介大学パンフレット資料請求はこちらから

この記事をシェアする