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写真コース

2026年09月30日

【写真コース】「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」について

みなさん、こんにちは。写真コースの藤岡亜弥です。
今年の夏に行われた渋谷ヒカリエ9Fのヒカリエホールで開催された展覧会「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」。今回は、この大きな展覧会を振り返りながら、会場で感じたこと、そして写真を学び、作り続けることについて書いてみたいと思います。

「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」は、2024年のアルル国際写真フェスティバルを皮切りに、ヨーロッパ各地やニューヨークを巡回した展覧会の凱旋記念展として開催されました。
海外巡回展に参加した26名に、今井壽惠さん、岩根愛さん、米田知子さん、そして私、藤岡亜弥の4名が加わり、1950年代から現在まで、異なる時代を歩んできた30名の日本の女性写真家による約200点の作品が紹介されました。
今回参加した写真家は、次の30名です。

出展作家(五十音順・敬称略)
石内都、石川真生、今井壽惠、岩根愛、潮田登久子、岡上淑子、岡部桃、オノデラユキ、片山真理、川内倫子、小松浩子、今道子、澤田知子、志賀理江子、杉浦邦恵、多和田有希、常盤とよ子、長島有里枝、楢橋朝子、西村多美子、蜷川実花、野口里佳、野村佐紀子、原美樹子、ヒロミックス、藤岡亜弥、やなぎみわ、山沢栄子、米田知子、渡辺眸
また、写真家・島隆の作品も特別出品されました。

これだけ多くの作家名を並べてみると、あらためてその世代と表現の幅広さに驚かされます。長く日本の写真表現を切り拓いてきた作家から、現代の社会や身体、身近な日常に新しい視点を向ける作家まで、4つのパートに分けて写真の可能性を探る展覧会構成でした。

第1章:「写真」をめぐる冒険 ―想像力を解き放てー
第2章:「記録と記憶」をめぐる冒険 ―目に目ないものに向かってー
第3章:「女性」をめぐる冒険 ―ジェンダー、身体、セクシュアリティー
第4章:「日常」をめぐる冒険 ―見過ごされた風景の中でー

本展の日本展担当キュレーターを務めたのは、写真の批評家であり、京都芸術大学教授でもある竹内万里子さんです。
この展覧会企画は、竹内万里子さん、ポリーヌ・ヴェルマールさん、レスリー・A・マーティンさんの3名による共同キュレーションから始まりました。2024年に刊行された書籍『I’m So Happy You Are Here: Japanese Women Photographers from the 1950s to Now』と、アルル国際写真祭での『I’m So Happy You Are Here』の展覧会を出発点に、オランダを巡回しそしてこれからニューヨークへと展開していきます。
その日本での凱旋展にあたり、竹内さんは欧米巡回展を日本独自の展覧会として再構成しました。巡回展の26名に4名を加えて出展作家を30名とし、作品の内容や規模も拡大。写真だけではなく、映像、コラージュ、インスタレーション、写真集や資料などを交え、会場全体に、それぞれの表現が響き合う空間になっていました。

この展覧会では、同じ「女性」という言葉で括られながらも、実際にはまったく異なる世界観や経験、写真へのアプローチを持つ作家たちの姿が示されました。
私の「川はゆく」も、ほかの作家たちの作品と並ぶことで、制作していた時には意識していなかった関係や、新しい読み方が生まれていたように思います。

「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」展示風景 Photo by:Yuya Furukawa



「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」展示風景 Photo by:Yuya Furukawa



「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」展示風景 Photo by:Yuya Furukawa





「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」展示風景 Photo by:Yuya Furukawa  (編集済み)



今回の展覧会で、長い年月をかけて制作を続けてきた作家たちの作品が一堂に会した光景は、「写真を続ける」ということについて、あらためて考える機会にもなりました。
学生のみなさんも、ぜひ多くの作品を見てください。そして、そこで受け取ったものを、自分の制作へ持ち帰ってほしいと思います。

また、この展覧会に合わせて、赤々舎からカタログが出版されました。この本では出展した作品と共に、30名の女性写真家それぞれの写真と、「私と写真」についての言葉も集められています。作家の書いた言葉を読むことはまた、その作家の人となりを見るようでとても興味深かったです。
また、竹内万里子さんやポリーヌ・ヴェルマールの論考も興味深い内容です。
よかったらぜひ読んでみてください。

定価:3,850円(税込)
判型:B5タテ正寸
ページ数:208ページ

おまけ
連動企画:トークイベント「うつろうことで見えるもの」
展覧会の開幕日である7月4日には、連動イベント「わたしのまなざし、あなたのまなざし SHIBUYA ART WEEKEND」の一環として、音楽家・文筆家の寺尾紗穂さんと「うつろうことで見えるもの」と題したトークイベントを行いました。
寺尾さんは、音楽活動と並行して土地に埋もれた古謡を訪ね、南洋や移民の歴史に関わる聞き取りを続けてこられた方です。著書に『南洋と私』『日本人が移民だったころ』などがあります。
私は、被爆地としての歴史と現在の広島を撮影した「川はゆく」や、日系移民二世としてブラジルのサンパウロに生まれた祖母をテーマにした「離愁」などを制作してきました。表現の方法は写真と音楽・文章で異なりますが、寺尾さんと私には、実際に土地を歩き、そこに暮らしてきた人の声や、歴史からこぼれ落ちてしまいそうな小さな記憶に耳を澄ませるという共通点があります。
トークでは、寺尾さんが「川はゆく」の中から気になった写真を選び、一枚一枚の背景をたどりながら話を進めました。

写真を撮る瞬間には、それがどのような意味を持つ一枚になるのか、まだ分からないことがあります。写真は、撮った後にも時間をかけて見返し、考えることのできるメディアです。撮影した時には当たり前に存在していたものが、10年後にはもう見ることのできないものになり、思いがけない価値を持つこともあります。
トークは、土地の記憶や移民の歴史、聞き書きの実践から、女性というジェンダーにどう向き合ってきたかという話へと広がりました。また、街を歩いて写真を撮ることと、各地を訪ねて歌い、人々の声を聞くことについても話しました。
異なる方法で表現を続けてきた寺尾さんと対談することで、写真を撮ることと、人の声を聞き、記憶を受け取ることのつながりを、あらためて考える時間となりました。

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