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2026年10月09日
【通信制大学院】文芸領域教員コラム「競馬に似ているし、似ていない」(あわいゆき)

文芸領域への入学を検討されている「作家志望者」「制作志望者」に向けて、本領域の教員がコラムをお届けします。
今回は書評家、ライターのあわい・ゆきさんのコラムをご紹介します。
【あわい ゆき】(あわい・ゆき)書評家、ライター。2000年生まれ。2022年に活動をはじめ、「小説現代」のほか、「文藝」「小説推理」「SFマガジン」「別冊文藝春秋」「産経新聞」「潮」などに寄稿。主に国内最新の純文学、大衆文学、SF、ミステリ、ライトノベル、児童小説を中心に幅広く読み、noteにも記事を公開している。
競馬に似ているし、似ていない
ここのところ、ありとあらゆるものに競馬を見出してしまい困っています。
私は幼いころから大の競馬好きで、「あわいゆき」という筆名もいちばん好きな元競走馬から借用しているのですが、ここ数年は少し遠ざかっていました。ただ、今年の日本ダービーを観にいく機会があり、見事に熱が再燃。一日中競馬に思いを馳せているうち、街中で見かける謎の行列の先頭に、締切直前の馬券発売機の幻が見えるように。また、(競馬と同じぐらい私が大好きな)スポーツバラエティ番組の「SASUKE」は、出場者個々にある物語といい、コースの得手不得手によるそれぞれの相性といい、もはや競馬そのものでは……と感じながら視聴しています。
そして仕事をしているときにすら、これは競馬だと思う瞬間があります。私はあらかじめ全体の構成を決めてから原稿を書き出すのですが、執筆する過程で自分でもまったく考えていなかった文章が出てきて、思いもよらない場所に着地してしまうのです。事前に予想を組み立てて、実際には異なる結果が訪れる……これは競馬という他ありません。
ただし大きな違いもあります。執筆は競馬と異なり、「異なる結果」が訪れたことで、よりいい原稿が出来上がるのです。つまり執筆と競馬は似ているようで似ていない。これは執筆に限らず、私が思わず競馬を見出してしまった——街の行列やSASUKEも含んだ——すべてのものにいえるはず。
そしてこうした、自分の「好き」をあらゆるものに重ね合わせ、似ている部分/似ていない部分の両方を見出す視点が、創作の要になるようにも思いました。たとえば「◯◯は競馬に似ている」とふと思った瞬間、まだ誰も思いついていない、自分だけのアイデアの種がうまれている。しかしそれだけでは不十分で、「◯◯は競馬と似ていない」まで突き詰めることで、比較していた「◯◯」だけが持つ独自の特徴を理解できるようになる。
「似ている」と「似ていない」は対をなすものでありつつも、共存できる概念です。だから今後もあらゆるものに競馬を見出しつつ、これは間違いなく競馬だ……いやいやまったく競馬じゃないぞ……と思考を行き来しながら、競馬もそれ以外も楽しんでいくつもりです。
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文芸領域 第一回説明会(オンライン)
【2026年10月14日(水) 19:00-20:30】
「大学院文芸領域とは」~「クリエイティブ・ライティング・ゼミ」の新しい可能性~
わたしたちがめざしている「ことばの表現」ジャンルは、人類最古のものに見えてその実、SNS隆盛の当世においてはもっとも新しく、ラディカルな可能性を持った手立てとなりつつあります。今、世の中を賑わせている生成AIでさえ、その下部構造となっているのは、ことばそのものです。
ことばは、この世のほとんどあらゆるものを、きわめて精確に表現しうる。
そしてことばは、人間社会を根底から揺り動かす絶大な力に満ちている。
それでいて、最新の歴史研究においても、そのほんとうの起源がいまだに判明していないという「謎の力」でもあります。
この説明会では、この、とてつもなく神秘的で同時にきわめて現代的な「ことば」なるものの新たな可能性を掘り起こし、その将来の姿の展望を試みます。
わたしたちの「文芸領域」は、通信教育(完全オンライン)で、広義の「文芸」分野について、専門的に学び、創作や制作に深く打ち込むことの可能な場です。
2023年度創設から現在に至るまで、多くの優れた学生が学びと創作に打ち込み、昨年度末には二度目の修了生を輩出しました。
小説など物語創作、また編集制作など、ことばの表現の各ジャンルを専門的なレベルまで深めて学ぶという特性に加えて、今年度からは、既存の「文芸」ジャンルを「ことばの表現」全般ととらえ直した新しいゼミ指導体制、「クリエイティブ・ライティング」ゼミがはじまりました。
この新しいゼミは、従来の小説や物語の創作、編集制作といったジャンルの「垣根」を取り払います。
個々の学生が多様なジャンルや専門分野に触れ、それぞれの志向する専門性を掘り下げつつ、多様な創作/制作を開花させる仕組みです。
また、非フィクション系の多様なテクストを社会に向け、SNSなどを通じて発信を行いたい、けれどそのために何をどうすればよいのか、とお悩みの方々にとっても、意義ある学びの場となっています。
どうぞふるってご参加ください。
登壇者一覧)
*辻井南青紀(作家・文芸領域長・「クリエイティブライティング」ゼミ指導教員)
*池田雄一(文芸評論家・「クリエイティブライティング」ゼミ指導教員)*山本隆博(コピーライター・「クリエイティブライティング」ゼミ指導教員)*あわいゆき(書評家・非常勤講師)
↓説明会の参加申し込みは文芸領域ページ内「説明会情報」から!
▼京都芸術大学大学院(通信教育)webサイト 文芸領域ページ

入学すると、一学年にひとつの「クリエイティブライティング・ゼミ」に入り、その中にある3つの専門性の高い指導グループのうちのどれかに所属します。
●クリエイティブライティング・ゼミ
この文芸領域では、1学年がまるごとひとつの「クリエイティブ・ライティングゼミ」となり、その中に、指導内容の高度な専門性を担保する「ゼミ指導グループ」が複数あります。志願者のみなさんは、出願時には指定提出物(研究計画)をよく吟味してご提出いただき、入学直前のゼミ決めガイダンスなどの機会を通して、ご自身の希望するゼミグループを選択してください。ゼミグループは、一年生前期・後期・二年生前期の開始時期に、ご自身のご希望により変更する(他のゼミグループへ移動する)ことが出来ます。文芸領域では、なるべく多くのゼミグループの指導を受けてご自身の学びと創作のレベルを高めることを推奨しています。
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