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2026年10月30日

【写真コース】写真についてを考える:おすすめの「WEB」「ポッドキャスト」「連載」の話

みなさん、こんにちは。写真コース業務担当非常勤講師の片岡です。

季節の変わり目ですが、お元気にされていますでしょうか? 私は撮影のために遠方に飛び出したり、作業を始める前の朝、その1時間に写真の古典技法であるサイアノタイプの作品を作ったりと、時間があれば作るような日々の中にいます。

そんな日々に大切にしたいと思うことの一つが、誰かと写真について話す時間です。同じ作家であったり、教員同士であったり、何らかの形で写真に関わる人であったり。毎日会えるわけではないその人と写真について話すことは、これから先時間が経つほどに意味のあるものになるように思います。

前述もしましたが、そんな人たちとも毎日会えるわけではない。周囲に写真について話をすることができる人がいない、そんな人もいるかと思います。過去、私自身もそのような期間があったので、それは写真に興味が芽生えたばかりの自分にとっては小さくも大きな問題でした。もしも今、そんな気持ちである人(学生・入学希望者)がおられるとすれば、これを見てみればどうだろう? と思う、幾つかのメディア(コンテンツ)が思い浮かびました。

「複製技術時代の交換日記」(POPEYE Web)/村上由鶴・久後香純


美術の評論や写真の研究をされている村上由鶴さんと写真史研究者の久後香純さんが、POPEYE Webで連載中の写真についての往復書簡。現在開催中の写真展や、生活の近くを写真的に見る話(特に「胃カメラ」「エコー写真」など、医療器具としてのカメラの話を興味深く読みました)、それぞれが写真に関わり始めた頃の話など、その場で会話をするように言葉を交わします。

「複製技術時代の交換日記 Vol.3」最新記事:2026.10.11時点
https://popeyemagazine.jp/post-297141/

「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」(渋谷ヒカリエ)、「出光真子 おんなのさくひん──ある映像作家の自伝」(東京都写真美術館)、杉本博司「絶滅写真」展(東京国立近代美術館)など、展示に関わる話題において読者がリアルタイムに読むことができれば、自身の感想とすり合わせながら読むこともできそうです。私もこの3つの展覧会については見ていたものの、出光展と杉本展を現在に至るまで誰とも話す機会がなかったので、カフェかどこかで偶然居合わせた隣の席で、そっと耳をそばだてるようにお二人の会話を聞いて(正確には「読んだ」ですけれど)、自身の感想とすり合わせていました。

WEB記事のいいところは、その場で出てきた展示の情報や作家をすぐに調べることができること。流し読むことなく、意識的に読むことができれば、学びとしてより深く楽しむことができるのではと思います。

「まなざしの奇跡 日本女性写真家の冒険」(渋谷ヒカリエ)/藤岡亜弥先生の作品



「杉本博司 絶滅写真」(東京国立近代美術館)の様子


「いい写真ラジオ」Q


Qがお送りするポッドキャスト番組。「いい写真」ってなんだろう、そんな疑問を入り口に、写真を楽しみ、写真を通して世界を考え、話していく。批評的な硬い語り口ではなく、写真家的な視線や社会学的な切り口、そして皆にとっての写真のあり方を行き来しながら、流動性の高い写真というメディアについて、リラックスした雰囲気の中で、笑いを交えつつ語っている。毎週火曜日更新中。(HP:https://qllp.jp/より)

写真家・ディレクターの中澤有基さん、フォトプロジェクター見習い・編集者の伊藤礼香さん、そして、写真人・一般人の鈴木さんの3名がパーソナリティを務めるポッドキャスト。3人だけでも十分に面白いのですが、これまでに多くの写真家がゲストとして出演しています。

気心の知れた誰かと机を囲みながら言葉を交わすような空気感が心地よく、私は作業や仕事をしながら聞くことが多いです。写真について「考えてみよう」「話してみよう」、ただ聞くだけでも少し閉じていた扉を開いてくれる、特別な柔和さが素晴らしいです。ゲストも多彩で聞き応えがありますが、通信写真コースで教鞭を取られている藤岡亜弥先生や堀井ヒロツグ先生も出演されています。写真について分からなかったことも、話すことによって誰かが知識を焚べてくれる。こんな風に写真について話す人がいつでも周りにいたら嬉しいと、少し羨ましく思ってしまうようなポッドキャストです。



 

「世界」(岩波書店)
「記憶をもった鏡──写真のナラティヴを読む」戸田昌子(写真史家)


私たちが写真について、考え続けるにはどうすればいいのだろうか。その一つとして、それを考えるためのサイクルがあればと思うことがあります(入学後の授業やテキスト課題があることも、そんなサイクルの一つとして効果的です)。毎月1日に岩波書店から発刊される「世界」においては、写真史家である戸田昌子さんが執筆されている「記憶をもった鏡──写真のナラティヴを読む」と題する、写真にまつわる連載が始まりました。

私も早速「世界」を手に取りましたが、私はこの毎月1日に訪れるの写真の流れを楽しみにしてみようと思います。本連載がこれからどのように構成されていくかは分かりませんが、第一回ではニューヨーク写真美術館写真部長であったジョン・シャーカフスキーの考えやスーザン・ソンタグ「写真論」からの引用がありました。実際にその文章を読んだ機会は随分と前ですが、思い出すようでいて、誰かの読み解きを通すことは読書経験が新たな体験となります。当連載を読むことは写真について考える頭を保つためにも、とても大切なサイクルとなる可能性があると思いました。学ぶことはめぐること、現在においては写真から切り離すことはできない「映像」や「音声」への言及もとしてありがたいです。あなたとの写真との関わりに、「世界」を加えてみてはいかがでしょうか?

甲斐義明・編訳『写真の理論』(月曜社 )/ジョン・シャーカフスキー『写真家の眼』序文を読むことができる



写真について話したり、考えたりすることを日常に。そんなことを思いながら、「WEB」「ポッドキャスト」「連載」と3つのメディアから、写真について話したり考えたりしているものをご紹介しました。私自身も実感として、面白いなと思い、読んだり聞いたりしながら、一人でいる時とは別の形で写真について考えていることに気づく、そのようにものを選んだつもりです。

学びの場であるスクーリングもありますが、その日に限らず写真に触れることは、写真について考える毎日をきっと後押ししてくれます。もしも、スクーリングの場でお会いする機会があれば、あなたが写真について考えるために「見ている」「読んでいる」「聞いている」ものを、ぜひ教えていただきたいです。

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