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通信教育課程 入学課

2021年06月05日

学び続ける人生、“Back to School”という精神。


人生100年時代といわれる超高齢化社会や、コロナ禍に象徴される予測不能な時代「VUCA(ブーカ)」が背景にあるなか、働き方の価値観の転換、子育てや介護のダブルケア、定年後の生き方など、様々な役割をもって社会生活を送るわたしたちを取り巻く環境は大きな変化を迎えています。


そうした中、より自分らしく人生の時間を有意義に過ごしていきたいと考えた時、今までの自分にはない知識や新しい体験をもとめて、大学での「学び直し」に興味を持つ社会人が近年とても増えています。本学通信教育部においても今春の入学者数は昨年対比で250%増加し、在学生数1万人を超えることとなりました。

「社会人が学びを続けること」やその内容が「芸術」を選んでくださっていること、本学としては大変うれしく思っております。



しかし本学への入学に興味を持ってくださる方々からは、例年以下のような相談を受けます。

「今さら大学に行ってもよいものなんでしょうか?」
「大人になってまで大学に入るなんて、どんな意味があるのでしょうか?」

実際のデータをみてみますと大学などの高等教育機関で学び直しを行っている25歳以上の大学入学者は、全国で11.1万人(※1)。割合としては、高等教育機関への進学における25歳以上の入学者の割合は、世界(OECD各国)平均が約18%なのに対して、日本では1.9%に留まっています(※2)。残念ながら、日本は世界に比べてまだまだ「大人になって大学へ行く人」が少ないという現状があります。

世界標準でみても日本の社会人教育は大きく遅れをとっている状況だからこそ、社会人が「学び直し」に興味をもったとき、先ほどのような疑問や不安を感じられる方がおられるのかと思います。しかし、逆にとらえると「学びたい時に学ぶ」ということは、皆さんの人生だけでなく、これからの日本を変えていくきっかけになるかもしれません。

今回はそんなみなさんへのエールとして、本学姉妹校である東北芸術工科大学学長・中山ダイスケさんのメッセージをご紹介したいと思います。

※1 文部科学省調べ、2015年3月時点集計。
※2 出典:大学型高等教育機関「 OECD Stat Extracts (2012) 」(日本の数値は「学校基本調査」と文部科学省調べによる社会人入学生数(4年制大学))

 

ニューヨークで変わった「オトナの学び」に対する姿勢


中山ダイスケ
東北芸術工科大学学長
アーティスト、アートディレクター。1968年、香川県生まれ。アート分野ではコミュニケーションを主題に多様なインスタレーション作品を発表。1997年よりロックフェラー財団、文化庁などの奨学生として6年間、NYを拠点に活動。1998年第一回岡本太郎記念現代芸術大賞準大賞など受賞多数。1998年台北、2000年光州、リヨン(フランス)ビエンナーレの日本代表。デザイン分野では、舞台美術、ファッションショー、店舗や空間、商品や地域のプロジェクトデザイン、コンセプト提案などを手がける。2007年より東北芸術工科大学グラフィックデザイン学科教授、デザイン工学部長を経て、2018 年より現職。

私は東北芸術工科大学の教員であると同時に、東京でデザインやクリエイティブの仕事をしています。小さいころから人にやらされることは上達せず、押し付けられる教育も嫌いで、好きな教科だけにしか熱中できなかったため、成績に大変ムラのある子どもでした。そんな私が真剣に学ぶようになったのは、社会に出て、仕事をするようになってからですが、それらは「プロジェクトのための調査」や、「作品の精度をあげるため」に必要に駆られて学んだというものでしかなく、決して心から欲した学びと言えるものではありませんでした。

「学び」に対する私の考えが変わったのは、20代後半から住んでいたニューヨークでした。私は1997年から2002年までニューヨークに拠点を構え、自分の展覧会やアートイベント、ファッションショーの仕事などを通して、様々な国の人たちと混ざりながら活動し、ヨーロッパの国々でも制作をしていました。

驚いたのは、そこで出会った大勢のプロのアーティストやデザイナー、キュレーターといったクリエイティブな人々の生活の中に、常に「学ぶ自分」があったことでした。
彼らは大きなプロジェクトが終わると1セメスタ(学期)だけ大学に入り直したり、毎年冬には実家に戻って地元の大学院に通ったり、子育てが一段落した奥さんが大学に戻るために家事をサポートしたりと、大人になってからも学ぶことを生活の一部としていました。

彼らはそれを“Return to School”とか“Back to School”と言います。それは若いころに休学した自分の大学に戻るという意味だけではなく、すでに何かのプロとして働いていたとしても、その日常の時間の中で、自分の意志で「学ぶ自分に戻る」という深い意味を持っていました。

日本人の私にとってはその考え方が大変新鮮でした。学校というものは若いころに終えて、大人になったらあとは仕事の人生と考えがちですが、彼らの日常には「働く自分」と「学ぶ自分」がいつも並行していたのです。なんだかすごく素敵だなと感じ、自分もそうありたいと思いました。

日本には欧米のような高度な奨学金制度が整備されていないので、いつまでも教育は「親が与えるもの」という考えがあり、親の世代が働き盛りである時期に合わせて、その子供が大学で学ぶということが一般的です。たとえそれが、当人にとって本当に学びたい時期ではなくとも、とりあえず皆と同じ時期に大学に入ります。

通信教育部に入学される皆さんは、本気で学びたいテーマとの出会いや、学ぶべきタイミングが、人生のいつ何時にやってくるのかわからないということをご存知なはずです。成績や単位といった、卒業証書のためのポイントを集めるような学びではなく、自分の人生を深めるための学びや、この世界を知るための欲求としての学びを求めて入学される方も多いかもしれません。また、趣味と学問が本質的に違うということも理解されていることでしょう。

皆さんの多くは、本当の学びを得るために、複雑な実生活との折り合いをつけて、大変な努力と工夫の末に通信教育部で学ばれるのだと思います。自分の人生をどのように見据え、限られた時間の中で何を学びながら生きていくのか?という、クリエイティブな人生がここから始まります。

人々がいつでも学ぶ意欲を失わず、学ぶ機会を得られる社会というものが、本当に成熟した社会です。これからの社会はクリエイティブな素養をもった人々が主役にならねばなりません。科学技術や経済システムだけでは幸せになれなかったこの世界を変えるのは、クリエイティブな人間たちです。ここで出会う学びをきっかけに、さらに新しい課題と出会い、次の学びの意欲につなげ、創造的な人生を生きる。
“Back to School”の精神は、皆さんの人生のみならず、素敵な未来を創り上げることでしょう。

 



 

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