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文芸コース

2018年07月23日

【文芸コース】自分の気持ちを言葉にする「エッセイ」の難しさと楽しさを知る

こんにちは。文芸コース教員の寒竹泉美です。6月30日~7月1日に瓜生山キャンパスで行ったスクーリング「文芸Ⅲ-1(エッセイ)」の様子をお伝えします。



みなさん、エッセイと聞くと、どんなイメージを思い浮かべるでしょうか? そもそも「エッセイ」って何? という人も多いかもしれません。本屋や図書館に行けばエッセイコーナーがあり、いろんなエッセイが売られています。新聞や雑誌をめくっているとあちこちにコラムがありますし、ウェブの世界をのぞいてみればブログがあります。フェイスブックやツイッターのようなSNSの文章もエッセイといえるかもしれません。

何をエッセイと呼ぶかは人それぞれで、厳密な決まりもありません。ただ、わたしはエッセイを「書き手の心がどのように動いたかを伝える文章」と定義しています。日常のささいなできごとも、見たままを書いただけではただの日記になりますが、そのときの感情を言葉で丁寧に紡いでいけば、人の心を動かす唯一無二の「作品」になります。

エッセイで取り上げる題材は身近なものです。誰もが挑戦しやすい文芸といえるでしょう。でも、実は、「心の動き」を言葉で表すのはとっても難しいのです。

スクーリング参加者にはまずその難しさを体感してもらいます。自分が何を感じているのかわからない、うまく表す言葉が見つからない……と悩んで手が止まってしまう人は、いい線行っています。そのまま大いに悩んでもらいます。すらすらときれいな文章で次々書いている人がいたら、わたしは側に立ってその人の書いている文章をじっとのぞきこみます。そして、そっと告げるのです。 
ここには心の動きは書かれていないですよ。

すらすら書いていたのは、何が起きたかという出来事ばかりだったのです。もう一度やり直してもらうと今度は手が動かなくなります。そう、それが正解なのです。「心」を表すのはとても時間がかかる作業なのです。自分の体験をありありと思い出し、その瞬間にタイムトリップして自分がその場にいる様子を想像し、そのとき自分の中からどういう感情が湧き出ているかを観察し、それをどういう言葉ならぴったりと表せられるかを考える。「心」を書くというのはそういう作業です。たったひとこと書くだけでも、うんうんうなって頭から湯気が出るくらいに悩まないと書けないのです。

いろんなミニワークを何度も重ねていって、みんなが自分らしい文章を書けるようになったスクーリング2日目の後半には、「自分を客観的に描写する」というワークをして、全員に発表してもらいました。というのも、魅力的なエッセイを書くには、「自分」をうまく描写して文章中に登場させる必要があるからです。

どんな言葉が生まれるのか、ドキドキして見守っていましたが、どの人も喝采したくなるような面白さ。まるで小説の主人公のように個性豊かな自己紹介が、次々と披露され、教室が笑いと驚きに包まれました。

 

エッセイを書くことも2回挑戦してもらい、お互いの作品を読み合いました。あっという間の2日間でした。

自分の気持ちを感じること、自分の言葉で語ること。今回のスクーリングで身につけてもらったこの2つの「技」は、きっとこれから、小説や論評を書くときにも役に立っていくと思います。受講してくれたみなさま、おつかれさまでした!

(寒竹泉美)


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