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建築デザインコース

2018年08月06日

【建築デザインコース】初めての設計課題スクーリング

京都が最高気温39.8°を記録した週に空間表現2のスクーリングが開催されました。基礎的な練習が多い1年次にあって、空間表現2は自分で考えられる待ちに待った設計課題です。

製図を学び始めて間もない学生さんも多いなか、図面、模型共に気持ちの入った充実の事前課題が揃いました。おのずと事前課題講評にも熱が入ってしまい、本ブログでお馴染みの授業風景を撮影し忘れる始末。ということで、いつもとは少し趣を変えて、学生さんの作品を中心にご紹介しようと思います。

今回は、沖縄を敷地に平屋建てのコートハウス(周囲を建物や塀で囲われた庭のある住宅)を設計します。初めの設計課題らしくのびのびと設計することや、沖縄の亜熱帯気候や台風といった自然環境と建築の関わり方を考えます。

ここで、少し沖縄の代表的な建築をご紹介しましょう。まず、名護市庁舎(設計:象設計集団/1981年竣工)です。



出典:象設計集団HP:http://zoz.co.jp/works/public/community/nago/

これが市庁舎?という建築の代表格です。夏の強い日差しを遮り、日陰をつくる半屋外の空間が建物全体にまとわりついて、人々の居場所をつくっています。シーサーや琉球ガラス、コンクリートブロックといった地域に固有の素材でつくられていることも特徴で、同じ時期に建てられた建築が、課題の参考事例にも挙げられている「住吉の長屋」(設計:安藤忠雄)や「中野本町の家」(伊東豊雄)であることを考えれば、当時のメインストリームから距離を置いた建築であったことが想像できると思います。

次に、星のや 竹富島(設計:東 環境・建築研究所/2012年竣工)です。



出典:東 環境・建築研究所HP:

http://www.azuma-architects.com/works/hotel-ryokan/hoshinoya-taketomijima/

沖縄の集落に見られる陽射しに対する深い軒下空間と、台風に対する石垣を踏襲したホテルのデザインであることが一目瞭然ですね。名護市庁舎と同じく沖縄の風土を感じさせますが、現在はグローカル(グローバル+ローカル)という言葉に代表されるように、地域性を標榜するデザインが改めて評価されている時代です。

こうした背景も踏まえつつ、学生の皆さんの作品を見てみましょう。

2クラス合計40作品ほどでしたが、事前課題の充実ぶりがそのまま魅力ある提案につながって力作揃いとなりました。講評会の際に掲示された中から、学生さんの着眼点に焦点をあてていくつか紹介します。



(右上)沖縄の伝統的な建築の特徴を調べ、採用しようと試みました。初めは庭にいくつかのアイテムを設置するだけでしたが、それらを建築的な工夫に発展させようとしました。建つ場所の事を調べるのはデザインすることにとって大切なことです。

(左上)大・中・小の3つの庭を効果的に配置して、最小限の壁面で明快なプランに仕上がりました。特徴の異なる3つの庭を配置するとおおよそのプランの骨格ができあがるよう最後まで試行錯誤しました。



(右上)設計条件として与えられていた樹木のつくる日陰を利用しながら建物を配置しようと試みました。庭にも部分的に屋根をかけるなど、屋外の空間も貴重な生活空間として積極的にデザインしています。



(左上)樹木に覆われる庭とプールのある南向きの庭をつくって沖縄での生活と気候に応えようとしています。リゾートのようなプールをイメージさせる一方、樹木のある庭に面する玄関は、ご近所さんが集まって井戸端会議ができるような場所になっています。



沖縄の強い陽射しに対して、北側採光の提案に挑みました。経験者ということで図面は慣れたもののようでしたが、慣れない着色にも挑戦した点が素晴らしく、失敗した(本人談)とのことでしたが、失敗は成功のもとですね。

地震、豪雨、猛暑が続き、厳しい気候を肌で実感する時期だったこともあって、気候に対する真剣なまなざしが感じられる作品が多かったと思います。自分のアイデアをかたちにすることの難しさ、面白さを実感できた充実の2日間になったのではないでしょうか。皆さんの今後の課題にも期待しています。

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