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和の伝統文化コース

2018年08月29日

【和の伝統文化コース】「伝統文化入門」で比叡山へ

和の伝統文化コースの黒河です。

今回は6月にご紹介したスクーリング科目「伝統文化入門」の、京都で開講された学外実習をご紹介したいと思います。例年東京からは国立劇場へ、京都からは比叡山延暦寺を訪れています。

今年も「伝統文化入門a」の最終日、6/30()に京都瓜生山キャンパスからバスを借り切って延暦寺へ行きました。



当日は快晴で、出発前の9時頃にはすでに外を歩くのも疲れるほどの暑さでした。

それでも険しい山道をバスで登って延暦寺へ到着すると、山の上は涼しい風も吹いていて、陽射しは強いものの歩きやすく感じました。

木洩れ陽を浴びながら、高木に囲まれた山道は歩くのはとても清々しい気分になります。

延暦寺は比叡山全体を寺域にしており、大変広大です。

「東塔」「西塔」「横川」の三つの区域に分けられ、それぞれの区域に本堂があります。

実習ではいつも西塔エリアから東塔エリアまで歩くのですが、そこそこ傾斜のある山道を登っていくため、ちょっとした登山の気分を味わうことになります。

幸い今年は天候にも恵まれて歩きやすかったので、皆元気に歩き切ることが出来ました。





午前には西塔の本堂である「釈迦堂」の中で、特別に坐禅の指導を受けました。

釈迦堂は延暦寺に現存する最古の建築で、重要文化財に指定されています。

本堂の中はとても広く、うす暗く静寂で、そこで坐禅を組むのは格別な気分でした。

座禅を組むにあたって僧侶の方から座り方や集中力を保つ方法などを教えていただき、実際に15分ほどの座禅を体験しました。

じっと座って何も考えないという行為はかなり苦痛なようにも思えますが、心が静まってゆく心地よさが感じられて、不思議とずっと続けていたいという気分になります。

その後は「浄土院」に案内していただき、伝教大師最澄の廟などを見学しました。



次は西塔から東塔まで歩いて移動し、東塔の本堂「根本中堂」を見学しました。

根本中堂は延暦寺最大の仏堂で、総本堂とされています。

外装はあいにく改修工事の途中でしたが、内部は大変広く見応えがありました。

入り口から長い回廊を歩いてご本尊の薬師如来像が安置されている内陣の中に入り、僧侶の方の詳しい説明を聞きました。

1200年間受け継がれてきたとされる「不滅の法灯」についてもお話していただきました。

その際に「本当に大切なのは火を消さないこと自体ではなく、信仰の灯を絶やさないこと」であるという趣旨のお話をされたのが、とても印象に残りました。

 



延暦寺会館で精進弁当をいただいてひと息ついた後、東塔の「大書院」に向かいました。

「大書院」は大正に建てられた書院造の住居建築で、元々東京赤坂にあった村井氏の山王荘の一部を移築したものです。

立派な庭園を見渡せる大広間で、声明の講義と、今出川行雲大僧正による法話がありました。

声明の講義では、天台声明の歴史について簡略に説明していただいたあと、二人の僧侶の方に声明の実演を披露していただきました。

それから配布された楽譜にあたる「博士図」の読み方と唄い方を教えていただきました。

法要などで声明を聴く機会はあるかもしれませんが、僧侶の方に直接声明の指導を受ける機会はなかなか無いと思います。

これまで声明の節や拍の長さがどうやって決まっているのか気になることがありましたが、実際に僧侶が練習に用いる譜を見ながら唄ってみることで、その一端はつかめたという気がします。

たいへん貴重な体験でした。

 

大書院での講義が終わるころ、快晴から一変、急に暗雲が立ち込めて豪雨と激しい雷に見舞われました。

高い山の上での雷は迫力があって少々怖い思いをしましたが、雨が落ち着くまでの間大書院の中を存分に見学させていただき、受講生の皆さんはとても満足した様子でした。

山の天気の変わりやすさ、自然の厳しさも感じる出来事でした。

最後に行く予定だった横川エリアにはあいにくの豪雨で行くことが出来ませんでしたが、重要な仏教建築をじっくり見学し、仏教文化を直に体験することで、非常に充実した一日になったと思います。

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