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染織コース

2019年01月14日

【染織コース】卒業生紹介 美しき実験

通信教育部のパンフレットでは毎年卒業生の方に直接お会いして在学時のお話をお伺いしていますが、その内容をこちらのブログでも紹介いたします。

本日は染織コース。卒業制作までの実験の連続はどのようなものだったのでしょうか。


「大学って、教わるところじゃないんだ」というのが最初の感想。若い頃からものづくりが好きで、陶芸や織物の教室に通ったものの、どこか中途半端な気がしていた。「ちょうど仕事も先のことを考える時期で… 何度も説明会に足を運び、2年迷って入学を決めました」。

「色彩や構成、デッサンなど、ものづくりの基礎を学びたかった」という長谷川さん。入学後は、あえて苦手なデッサンのスクーリングを数多く受けた。「何も分からず見よう見まねで。染織の授業も同じですが、これまで通ってきた教室と違い、コツや要領を教わる場じゃないんですよね」。不安な気持ちを抱えつつ、とにかく試しては失敗を重ねる。その中からひとつひとつ、自分らしい表現を見つけていく。「私の場合、具象より抽象の方が、気持ちが入りやすい」。ただし、たどり着くまでの道のりは容易ではなかった。

「じつは1年目に、もう卒業制作の原点とは出会っていたんです」。たまたま実習棟で見かけた、通学生の絞り染作品。強く心惹かれつつも、「絞り染は簡単すぎる」というベテラン学友の何気ないひとことが、素直な想いを曇らせた。ならばと写実や型染をがんばっても、空回りするばかり。「行き詰まっていたとき、構想デッサンの授業で抽象画を描いたら、驚くほど自由に筆が動いたんです」。思いきって、心の向くままに幾何学模様と絞り染めを組み合わせたところ、試作で納得できるものができた。「それからは、染料や絞り方などを変えては実験の連続」。大変だけど楽しかった、と顔をほころばせる長谷川さん。「あるときは夏と冬の水温差に気がつかず大失敗。だけど、その変化もヒントになりました」。教われないから、自分で悩んで考える。だからこそ他に染まらない、自分だけの色かたちをつかめる。『うつろう』と名づけた卒業制作が映すのは、色の変化、自身の変化。そんな変化を楽しむ実験は、これからもつづいていく。



長谷川 眞由美さん
染織コース(1年次入学)’17年度卒業 京都府在住 60 歳

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