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2019年04月01日
【染織コース】鉛筆の削り方あれこれ

こんにちは。染織コースの久田です。今回は鉛筆の削り方についてです。
皆さんは鉛筆は何で削りますか? 電動の鉛筆削りでしょうか。私が子供の頃は手動の手回し鉛筆削りでした。2〜3センチの小型のものもありましたね。肥後守を愛用されていた方もいるでしょう。高校生になりデッサンを習い始めてから、カッターナイフで削るように教えられました。カッターナイフを平行移動させるのではなく、斜めにずらしながら削るのがポイントだと。鉛筆の先は自分の使いたい角度や形にするようにとも教えられました。

人によってはかなり急角度に大きく削っていました。お菓子の空き缶などに硬いものから柔らかいものまでたくさん削って入れておくのが、なぜかデッサンのお守りみたいなものでした。鉛筆のメーカーにも好みがあって、えんじ色や青のものなど、画材品質のものを揃えていました。

私は中部地区の出身なので、鉛筆の先をこれ以上ないくらいシャープに削ることを「ときんときん」と言っていました。「ときとき」あるいは「とっきんとっきん」など。形状からイメージする言葉です。細かい描写をする際に、シャープに削った鉛筆が必要なのです。しかし「ときんときん」に削った鉛筆はちょっとした筆圧の強さで容易に折れてしまうので、繊細に扱わなければなりません。鉛筆箱の中でも衝撃で折れてしまうのでキャップをかぶせておくのです。また必要になったそのつど、カッターナイフで調整して使うこともありました。

大学に入学するために関西に来て、「ときんときん」が地域限定の言い方であることを知り、少なからず衝撃を受けました。ごくたまにこの懐かしい言葉を耳にし、同郷の人なのだなぁ、と思うことがあります。
鉛筆の削り方は実はとても大切で、先の形状は描き味を左右します。描く人それぞれが好みで調整します。筆圧をストレートに紙に伝えるにはあまり鋭く削らない方がいいとも言えます。筆圧は描く人が見ているものを、手を通して線の表情として紙に残すのです。線の表情、それこそが線描の魅力です。

話は変わって鉛筆の両側を削ることを何と呼んでいましたか? 私はこの削り方は便利だと思うのですが「貧乏削り」とか「泥棒削り」などと呼ぶことが多いようです。中部地区では「泥棒削り」でした。両方から削ると一本の鉛筆を二本分使えて便利なようで、実は使える長さが無駄になるから戒めるためにそのような呼び方になったのかもしれません。赤と青の色鉛筆が一本になっていて両側を削って使うものもありました。この場合は堂々と両側を削って使いましたね。今ではカラフルなペンがあるので赤と青の色鉛筆も登場の機会が少なくなりました。

鉛筆は筆記具であり、また画材でもあります。柔らかさ、硬さの選択と削り方、筆圧で驚くほど表現力豊かな画材です。線描の魅力とともに「色」の表現も可能になるのです。皆さんも鉛筆の使い方を研究してみてください。削り方に関して、お住まいの地域の言い方など、機会があったらぜひ教えてください。
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