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歴史遺産コース

2019年07月25日

【歴史遺産コース】「文化遺産学基礎」スクーリング風景

みなさん、こんにちは。梅雨明けも間近というところですが、いかがお過ごしでしょうか。

近年は梅雨末期もとなると、豪雨被害のニュースが相次ぎます。昨年の西日本豪雨では、多くの人命や家財が失われ、あわせて身近な文化遺産も多大な被害を受けました。

「歴史遺産Ⅱ-1(文化遺産学基礎)」では、そうした身近な文化遺産の価値やその保存、活用のあり方を基礎から学ぶ授業です。

現在、日本には国が指定する有形文化財(建造物や美術工芸品・考古資料など)はいくつあるかご存知ですか。

国宝は1,116件、重要文化財は13,232件です。

他にも「無形文化財」、「民俗文化財」、「記念物」、「文化的景観」、「伝統的建造物群」、「埋蔵文化財」、「文化財の保存技術」など、多様な「文化財」の種類が、【文化財保護法(1950年施行)】には記載されています。

また国指定の文化財のほかにも、都道府県や市区町村による指定文化財もあり、その数は11万件を超えます。まさに日本は文化財大国です。

加えて、こうした「指定」物件のほか、未だ指定されていない文化遺産は数多くあり、それらも、いつかは「文化財」として指定される可能性をもっています。

しかし、文化財指定されていない文化遺産は、価値を理解されず、壊された建造物も多くあります。

最近では、大久保利通の茶室「有待庵」(京都市上京区)が、撤去寸前に保存が決まったニュースをお聞きになった方もおられるかと思います。

個人所有のため、住宅建設に伴い解体される予定でしたが、その重要性が再認識され、今後は京都市が茶室を実質的に所有管理し、歴史的な文化財として公開活用する方針が発表されました。

※『京都新聞』20190530日デジタル版 https://www.kyoto-np.co.jp/sightseeing/article/20190530000169 [2019719日閲覧]

 

こうした多様な文化財をめぐる保存運動の歴史や文化遺産をめぐる現在的な課題などを、「歴史遺産Ⅱ-1(文化遺産学基礎)」の2日間のスクーリングでは学んでいきます。

とくに東京での講義の2日目午後は、丸の内のフィールドワークへと参ります。

丸の内 三菱1号館



実際に丸の内で修理・活用が図られた建造物について、その設計監理の業務に当たられた長岡造形大学で教鞭をとられている津村泰範先生にお話を伺います。

東京駅



まずは東京駅舎。その復元に当たっては、建築時の技術や意匠を踏襲しつつ、新たに耐震装置のしくみを取り入れるなど、普段何気なく見ていたのでは知ることのできない、東京駅舎の「ひみつ」を様々に教えていただきました。

また東京駅に近い商業ビル「KITTE」。

 

旧中央郵便局保存建物とKITTE



新丸ビル(右)とKITTE(左)



ここは旧東京中央郵便局(1931[昭和6]年竣工)の建物を取り壊して、新たな再開発ビルが建設される計画でしたが、政治的な判断で取り壊しが中断され、一部を保存するかたちで建設されました。

現在も「旧東京中央郵便局長室」をはじめ、さまざまな旧郵便局時代の遺構・意匠が残されています。その保存、活用の計画に携わったのが津村先生。

旧郵便局の遺構 



KITTEの内部



旧郵便局の写真展示パネル



建物保存をめぐる「難しさ」や実際に残すために尽力されている方の「苦労」などを、「裏話」も含めて、しっかりとお聞きすることができました。

こうした現場で起こっていることを、当事者の目線からお聞きするのが、歴史遺産コースのフィールドワークです。

来年はみなさんもご一緒に、丸の内の文化遺産めぐりを致しましょう!

 

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