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和の伝統文化コース

2019年08月22日

【和の伝統文化コース】伝統文化実践Ⅱ‐1(伝統邦楽)

こんにちは。和の伝統文化コースです。

今回は、先日、東京外苑キャンパスで二日間にわたって行われた「伝統文化実践Ⅱ‐1(伝統邦楽)b」というスクーリングを紹介します。

このスクーリングでは、人形浄瑠璃(文楽)という伝統芸能について学びます。人形浄瑠璃は、江戸時代初期に大阪で成立した人形劇で、太夫の語り・三味線・人形によって表現されます。

初日には、人形浄瑠璃の歴史的な成り立ちについての講義と、語りの実技ワークショップがありました。下の写真は、語りの実技ワークショップの様子です。



 

人形浄瑠璃は、太夫の声を介して物語が紡がれる「語り物」ですが、人形浄瑠璃の語りを「義太夫節(ぎだゆうぶし)」といいます。竹本綾之助先生の迫力あふれる義太夫節にあわせ、皆でお腹から大きな声を出しました。語りの題材は《仮名手本忠臣蔵(かねでほんちゅうしんぐら)》。赤穂浪士の討ち入り事件に取材した名作中の名作です。

下の写真をご覧ください。見慣れない文字がびっしりと書かれていますが、これは「床本(ゆかほん)」とよばれる義太夫節の譜面です。ワークショップで取り上げた《仮名手本忠臣蔵》の一部です。 

床本の読解に苦戦しましたが、ワークショップが終わる頃にはなんとか読めるようなりました。

続いて、二日目には、人形浄瑠璃の劇構造についての講義と、三味線の実技ワークショップがありました。

人形浄瑠璃では、義太夫三味線(ぎだゆうしゃみせん)という種類の三味線が使われます。実技ワークショップでは鶴澤寛也先生にお越しいただき、一人ずつ楽器を持って実際に音を出しました。

 

 

義太夫三味線は、三味線のなかでも最も大きくて重いものです。そのため、慣れないうちはバランスをとりにくく、太い棹が前後左右にふらついてしまうことがあります。下の写真は、バチの持ち方を練習しているところです。バチは象牙製で重く、大きくて厚みがあります。右手の薬指と小指を目一杯広げてはさみますが、バチが指に食い込んで痛いのでバンソウコウをはって応急処置をしました。

 

 

このように、義太夫三味線の扱いは大変難しいものでした。でも、ずっしりと重い楽器からは、観客の心の奥底に響く重厚な音色が響きます。その独特の音色には、人形の心の内を浮き彫りにするほどの凄みがあるように感じました。ワークショップを通して、表現の特質を身を持って学ぶことができ、大変貴重な体験になりました。

 人形浄瑠璃は現在、ユネスコの無形文化遺産に登録され、海外からも高く評価されています。しかし、後継者不足が深刻で、伝承に危機感を抱く人は少なくありません。講義の最後には、寺田真由美先生より伝承の現状についての話がありました。

 

 人形浄瑠璃だけでなく日本の伝統文化の多くは、材料の不足、技術の継承者の不足、環境の変化などが今日的な問題となっています。伝統文化の未来を見据えていくことが問われているといえるでしょう。

 和の伝統文化コースでは、花・茶・書・香・能・歌舞伎・人形浄瑠璃・日本舞踊などの伝統文化を幅広く学びます。他にも魅力的なスクーリングがたくさんあります。次回の報告もどうぞお楽しみに。

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