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文芸コース

2019年09月06日

【文芸コース】卒業研究面接指導の真実

文芸コースの受講生にとって、「論文研究」と「卒業研究」は特に重要な科目だと思います。

「論文研究」と「卒業研究」を通して、2年間で長い文章を書き作品として仕上げ、それに対しての評価を受けることで卒業への道が開かれます。

一つの作品を仕上げる高揚感とこれでいいのだろうかという疑心が交互に押し寄せている毎日を過ごすことになるかもしれません。


本来作品とは作者が自分で完成かどうかを決めるべきものです。
講師はその背中を押したり、横から水を差し出したり、前のめりの姿勢を正したり、膝の筋肉をマッサージするようなサポートをしています。

日頃は雑誌編集で好き勝手な企画を立て、朝令暮改もなんのその、期日までに刷り上がり読者に喜んで読んでもらえれば結果オーライの世界にいるため、やり直そう、無理だと感じたら棚上げしようなどとつい面談でも乱暴なことを言ってしまいたくなることがあります。

しかし執筆のスピードや手直しの工夫、気持ちの切り替えなどの職業的なスキルは、余裕のあるときにスキルアップを図ればよいことです。

肝心なのは自分の作品とまっすぐに向き合うこと。

論文研究」は合評の形で行われ、その時の参加者によって様々な意見が出され思わぬ方向へ話が広がっていくこともあります。
予想外の展開が面白い「論文研究」に比べ、「卒業研究」の面談はとてもシンプルな時間です。

 現在書いている小説や論文などの作品が完成するには、あと何が必要か。

それを皆さんと講師それぞれの立場から検討し不明点をできるだけ明らかにする席です。
現在進行中の創作作業について、関わる人たちが集まっているわけです。
作品の進捗具合がどうなっているかを、言葉で相手に伝える準備ができていれば十分です。
確かめたい疑問点、どちらにすればよいか迷っていること、漠然と不安に思っていることなど、なんでも話してみましょう。



お互い話したいことが多い面談ですから気が急きますが、私たち講師陣も焦ってはいけません。
受講生の入室、挨拶、筆記用具などのセット、面談の開始まではたかだか1分間ほどです。

ある受講生は面談に必要な原稿やノートを風呂敷に包み、入ってきました。丁寧な一礼の後、着席。静かに風呂敷をとき、机に並べます。

そして顔を上げしっかりと私たちの目を見て準備が整ったことを知らせます。

面談への準備を私たちもさせていただいているようで、その受講生の流れるようなその所作に、講師二人は毎回うっとりと見入っていました。

部屋に入ったら皆さんが主役。自分のペースで有意義な時にしましょう。
締め切りと読者があらかじめ用意されている大学という場ですから、雑念を払いじっくり書き進めていくことを楽しんでください。

文芸コース教員 伊藤宏子

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