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空間演出デザインコース

2019年10月07日

【空間演出デザインコース】矩計図に挑戦!「空間演出デザインV-1(すまいの空間構想)」

みなさんこんにちは、空間演出デザインコースの矢野です。
先日は千葉県を中心に台風15号が上陸し、各地に甚大な被害をもたらしました。被災された皆さまには心よりお見舞い申し上げますとともに、1日も早い復興をお祈り申しあげます。
未だ天気も不安定な中、外苑キャンパスでは9/21-22に空間演出デザインV−1「すまいの空間構想」のスクーリングが開催されました。

このスクーリングでは、木造2階建ての住居をテーマに沿って設計し、各図面とイメージパースを作成して、二日目の合評会でプレゼンテーションを行います。
本年度は、「矩計図(かなばかりず)を知らずして卒業するべからず!」という空デ教員の熱い思いにより、縮尺1/50の図面の代わりに、1/30の矩計図に挑戦してもらうことになりました。図面は縮尺が大きくなるほど(縮尺の大小は分数の大小ですので、1/30>1/50)複雑になりますが、机上にて建物がどのように造られているのかを理解するには最良の手段です。しっかり矩計図に時間を使えるように、できるだけ1日目で縮尺1/100の図面をまとめていきたいところです。


まずは課題説明、図面についての復習や、初めて取り掛かる矩計図についてのレクチャーを受けて、不安でいっぱいになったところから、事前課題の個別チェックが始まります。
平面図で考えたことが立面図、断面図で整合性がとれているか、しっかりチェック。土間と一階床の高さ関係も断面図で確認していきます。屋根の勾配の比率にもセオリーがあります。
修正箇所を先生のチェックで明確に出来たら、まずは1/100の図面を仕上げていきます。

 


図面は、建物の形状だけでなく、各種寸法線や文字、記号といった様々な表記のルールで構成されています。教科書を参考に、必要な情報を図面に描き込みましょう。

 


軒の高さの求め方を詳しく図解!軒と垂木の関係性を理解しましょう。屋根勾配を描く時にはついに秘密兵器、勾配定規も登場です。

 


事前課題で考えてきたプランをブラッシュアップし、ケント紙にレイアウトを決めます。土間空間のイメージパースはスケッチを描くかCGでも模型写真でも構いません。空間のアイデアは人それぞれ、効果的なプレゼンテーション方法も人それぞれ。川合先生が各テーブルを回って個別に相談を受けていきます。イメージの次は空間を作り上げる躯体の詳細。矩計図の制作にしっかり時間がとれるよう、ペース配分を意識します。

 


こちらは教室の前に置かれている木造二階建ての軸組模型。京都の寺尾先生が制作されたもので、部分ごとに木造の異なる仕様が精密に再現されているスーパー模型です。図面に慣れないうちは、紙の上で平行する線が複雑になるにつれ、混乱してきますが、軸組模型でどの部分を描いているのかを時折立ち戻って頭の中を整理していきましょう。

 


GL(地盤面)から1FL(1階床高さ)の関係の部分詳細。この部分の基礎の立ち上がりをしっかり理解できれば、高さ方向の設定は攻略したのも同然です。

 


資料と首っ引きで矩計図に取り組みます。
「基礎の立ち上がりは、土間部分ではどうなるのだろう?」
「一階の天井と二階床梁との関係はどうなっているのだろう?」
1/100の図面では気づかなかった疑問が次々と湧きあがります。
教室の前には膨大な木造や設計の資料!みなさんが必要とする参考資料は必ず見つかります。
A3ケント紙3枚にまとめ上げて、いよいよ合評です。

 


合評は、成果物の図面3枚を前の書画カメラでスクリーンに投影し、一人ずつ発表をし、その後教員が講評を行います。
こちらも力作です。土間を生かしたプランニングで、インキングまでされて美しく仕上がっていますね。

 

難しい位置での矩計図をしっかりと描き上げられています。ここまで描けていれば何も心配ありませんね。

こちらはイメージスケッチですが、図面だけではわからなかった空間の魅力が一気に伝わります。
このように、内観のイメージパースの中に人物が描かれると、どのような使用シーンを想定されているのかがよくわかりますね。

最終成果物は(毎回のことですが)かなりのボリュームとなりましたが、皆さん2日間のペース配分が非常に上手くなってきたと感じました。
今回、1/100図面に加え、1/30の矩計図を描くことによって、建物がGL(地盤面)の下にある基礎から柱が立ち上がり、桁や梁がかかって、床組、小屋組がどのように組み上がっていくのかを具体的に考える必要に迫られました。今まで漠然と眺めていた平面図や立面図が、実は隠れた構造や軸組を元に寸法や屋根勾配が決定されていたことが理解できたと思います。

思い起こせば私も、初めて矩計を描いたころは、木造の建物を見るとつい透視して見てしまい、建物の基礎部分を凝視して立ち止まる怪しい人になっていたものです。
もしかするとスクーリング後の帰り道、みなさんの目にも怪しい透視機能が搭載されているかもしれないと、一人ほくそ笑む秋の夕べでありました。
みなさま二日間お疲れ様でした!次の課題も頑張ってくださいね。

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