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写真コース

2020年01月15日

【写真コース】卒業生紹介 身の丈で撮る

通信教育部のパンフレットでは毎年卒業生の方に直接お会いして在学時のお話をお伺いしていますが、その内容をこちらのブログでも紹介いたします。
本日は写真コース。写真教室で学ぶことと、大学で学ぶことの違いや、卒業制作への想いなどをうかがいました。

「学ぶ前より、柔軟になれた気がします」。卒業制作が出版社に認められ、そのまま人生初の写真集に。メディアからも注目される川野さんの口から出たのは、意外なほど気負わない言葉だった。とはいえ、本コースへの入学時に期待していたのは、「アートな写真」や「アカデミックな知見」。気軽にはじめた〝女性のためのカメラ術〞ブログが注目され、趣味の写真が仕事になりかけた頃だった。

「写真教室で学んではいましたが、大学で深く学べば、もっと表現力を磨けるだろうと」。実際に、手応えは十分だったという。写真の概念をくつがえす斬新な授業。写真を取り巻く世界を学べる一般教養。そして何より、川野さんの心を強く動かしたのは、コースで出会う人々のエネルギーだった。「第一線で活躍される表現者としての考え方を、生の声で語ってくれる先生方や、必死で自身の表現と向きあう級友たち。こんな素晴らしいメンバーに、私の作品づくりを見てもらえる機会は、後にも先にもないから」。とにかく全力で取り組もうと、卒業制作のテーマ探しに没頭。「張りめぐらせたアンテナに、偶然ひっかかったのが山でした」。

写真のために登山をはじめて、たちまち夢中に。「なぜ、こんなに登りたいのか」という疑問をそのままテーマとした。「最初の頃は、背伸びして、大げさな死生観などを語ってみましたが」先生たちの鋭い指摘を受け、深く自問自答。「結局、自分が感じたことを素直に表現するしかない」と悟った。そうして、川野さんにしか撮れない作品が生まれた。好きで撮っていただけの写真が、自分の想いを伝える分身になると知った。「いつでも身の丈にあう視点で撮影したいから、山に持っていくカメラは、ほぼひとつ」。芸大で学んだからこそ、芸術へのこだわりから解放されたのかも、と笑う川野さん。だれにでも開かれ、だれもが自然と誘いこまれる、等身大の写真を撮りつづける。



川野 恭子さん
写真コース(3年次編入学) ’18年度卒業 神奈川県在住 44歳

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