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アートライティングコース

2020年02月27日

【アートライティングコース】この味を「おいしさ」とする味覚は、いったいどこからやって来たのか。 (姜尚美、2016)

みなさま、こんにちは。アートライティングコースの上村です。今回は先日行われた催しのご報告です。

去る2月9日に、京都瓜生山キャンパスで、アートライティング研究室主催の特別講義「〈わたし〉の発見を記事にする技術ー記事になる・ならないの境界線ー」が催されました。講師は姜尚美(かん・さんみ)先生です。『あんこの本』(文春文庫、2018年)、『京都の中華』(幻冬舎文庫、2016年)の著者で、アートライティングコースの専門講義科目「アートライティング特講4」でもご出講をくださっています。


講義では、取材、原稿執筆に際して姜先生が何に注意なさっているのかを語ってくださいました。文章を公刊することは、きわめて社会的な行為であり、常に他者への敬意や配慮を持つこと。「自分語り」にとどまることなく、自分の文章が読者にどのような貢献となるのかを意識することが大事であること。などなど、著述に関わる人間にとって心すべき根本となることを講じてくださいました。また、質疑応答では、これまで各種雑誌のライター、編集者の経験から得られたエピソードも交えつつ真摯にお答えになり、その受け応えされる姿勢自体、教わるところが多かったように思います。ネット上で同時中継もされた講義の後は、早春の寒さのなかでしたが、大学付近を散策しがてら、先生の著書でも取材されていた京都の中華のお店で懇談会を行い、こちらでも美味とお話とを堪能しました。

冒頭に掲げました言葉は、姜先生の『京都の中華』にある、「街と味」と題する前書きの一節です。京都には、他の都市にはない中華料理があります。味に「きれいさ」「まるさ」のある、決して主張の強くない独特の料理が好まれてきました。そうした中華を好んで味わう感覚は、あるいは、この味を「おいしさ」とする味覚は、いったいどこからやって来たのか。そうした問いから、著者は京都の中華料理店の丹念なフィールドワークに乗り出します。中華はたしかにその名の通り中国発祥の料理ですが、中国以外でも世界中で食べることができます。海外に行かれたかたは、さまざまな都市に中華料理店があり、またそれぞれにちょっとずつ食材やメニューや味付けが違っていることにお気づきになるでしょう。それは日本料理やイタリア料理でも同じことですが、中華料理はその普及度と多様性においてとりわけ顕著です。そのなかにあって、京都の中華は、日本に入ってきた中華料理が京都という土地に根づく中でできあがった優れた文化です。それはもはや「京都にある中華料理」ではなく、「京都化された中華料理」として、一種の伝統にすらなっています。姜先生の著書は、さまざまな店舗への丁寧な取材を通じて、その文化の系譜を辿った労作です。

アートライティングコースはスクーリング(対面授業)不要の完全遠隔の授業履修で卒業が可能なコースです。しかしキャンパスに足を運ばずに卒業できるとしても、こうして直接に顔をみて互いに話をするというのは、やはりかけがえのない機会です。必ずこの日この場所に来ないと学習できない、というのではまた困りますが、任意参加の学習の場は、今後もときどき設けてゆくことを計画しています。本コースのみなさん、またこれから入学を検討されているみなさんは、これからもネット上だけでなく、そうした場でも、ぜひ一緒に学んで参りましょう。

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