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和の伝統文化コース

2020年06月29日

【和の伝統文化コース】こんな時こそ、おうちで学ぼう!



本年度はコロナ禍での幕開けで、皆さんも生活がいろいろ変化したこととお察ししますが、体調を崩されていませんか。

そんな2020年は、パンデミックにより様々な業種で、仕事の仕方も大きく変わり、テレワークやリモート会議、オンライン授業が多くの国々で実施されています。

これまで映画やテレビの場面で見るリモート会議や授業を、まさか自分が体験するとは…!と、今期は急遽、多くの方が経験され、モニターを通じたミーティングは、ぐっと身近なものになったのではないでしょうか。



本学通信教育学部では、テキスト科目などによる「自宅学習」と、対面でキャンパスにて週末に実施する「スクーリング」の講義やゼミなどを両輪としたカリキュラムですが、本年度前期は、本コースでもZOOMによるオンライン講義や、面談授業を実施しています。ZOOMでのオンライン授業は、双方向性を持たせることのできる授業です。各先生方も授業の工夫を図り、学生の皆さんと充実した時間を共有したいと願っています。

ところで本年度前期は、図書館や博物館も、閉鎖や利用の制限があり、思うような閲覧や資料収集ができない状況にありました。



なかでも本年度入学の方々は、課題着手のタイミングがなかなか掴みにくかったことでしょう。そして多くの方が、学習計画や研究が進められない、不安やもどかしさをお感じのことと思います。学習に関して不明な点や、困ったことがあれば、どうぞ事務局を通してご相談ください。



…ただ、こんな「ステイホーム」の時間は、それぞれの課題と和の伝統文化を、ちょっと俯瞰してみる機会かもしれません。各種芸道の関連性や、そうした文化がはぐくまれてきた社会や風土など、少しだけ広い視野や、異なる視座でご自身の関心事を捉えてみるのも一考です。

例えば茶の湯を「ウイルス」の観点でみると、再認識や思わぬ発見も多くあります。全盛だった桃山期の茶の湯は「三密の飲食文化」ともいえそうな、時・場・物・食をシェアする寄合文化です。茶会の席入りには手水(ちょうず)で口をすすぎ、手を洗います。すぐ水道で手を洗える現代と違い、前近代の席入りの手水は、今より衛生面やマナーとして重要だったと、膝を打つ思いです。

そして明治期の裏千家では、外交や衛生面と病に配慮して、濃茶を回し飲みから各服立てにした時期もあったことが判りました。

また、献茶式の点前では、神仏への清浄なお茶に息がかからぬよう、美濃和紙などで作った口覆(マスク)をします。こうしたマスクが儀礼に組み込まれていたことを再確認します。

この他にも茶の湯の歴史の中に、今後のもてなしとウイルス対策のヒントが潜んでいるのかもしれません。

 



一方、茶席の菓子は、和歌や風物詩を題材にした意匠が多いなか、今年は疫病退散の神としてSNSなどで話題になった「アマビエ」の菓子があちこちで登場し、自粛の一服に、ひとときの安らぎや希望をもたらしてくれました。茶の湯は伝統の継承を重んじる反面、社会や時代に合った変化を加えてきたからこそ、消滅を免れ今に引き継がれてきたといえるでしょう。

こんな「ウイルス」の切り口から、茶の湯の多様な側面が、リアリティーを持って考察できるようです。



さて、梅雨空のもと、ステイホームを基本とする状況では、つい身体や気持ちが縮こまりがちになりますが、学びの視線や思考は、時代も地域も自由に広々と逍遥できるのです。
こんな時こそ通信教育学部生の本領発揮とばかりに、いきいきとおうちで学ぶ楽しさをご満喫いただけたらと思います。

そして、どうかご自愛のほど、皆さんのご健康をご祈念しております。

 

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