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歴史遺産コース

2020年07月16日

【歴史遺産コース】自宅で史料読みにチャレンジ

こんにちは。教員の野村朋弘です。私は芸術教養学科に所属していますが、専門領域が歴史学なので、芸術学科の授業も多く受け持っています。

そうした中で、芸術学科のスクーリング科目「文献資料講読」が先日開講されました。
今回は文献資料講読を中心とした、史料読みの取り組みをご紹介したいと思います。

芸術学科、特に歴史遺産コースにご入学を検討される皆さん、またご入学された皆さんは歴史好きの方だと思います。

かくいう私も、歴史好きが高じて大学で研究を始め今に至ります。歴史については、本屋さんやネットでも多くの情報が溢れていますね。ただし溢れている分、玉石混淆だったりします。

大学で学ぶ「歴史学」には、自分自身でその時代にアクセスし、歴史の一ページを明らかにする醍醐味があります。そのためには、興味関心のある時代に記された史資料を読み解く必要があります。

史資料は、原史料であればくずし字で記されており、更には多くが漢文です。漢文は現代の日常では、なかなか用いられないと思いますので、敷居が高いと感じられるかも知れません。しかし、この敷居を越すと、とても愉しい学びの世界が待っています。

史資料を読み込めるようになるためには、残念ながら近道はありません。日々、史資料を読み込む必要があります。

私はよく「史料読みは語学です」と学生の皆さんにお伝えしています。そこで芸術学科では、学生の皆さんが過去にアクセス出来るようになるため、史資料を読みこなすための科目群を用意しています。そのスタートアップ科目が「文献資料講読」になります。

内容としては、

  • 文献資料の種類

  • 純粋漢文・変体漢文について

  • 漢文の読み方

  • 漢文の読み方・古文の読み方

  • 変体仮名・崩し字の読み方、近代の文語を読む


などです。

ただ、いまはコロナ禍の渦中にあり、対面のスクーリング科目の実施が叶いません。そこで今回は録画のオンデマンド授業と、リアルタイムのオンライン授業を組み合わせて実施してみました。

「対面が出来ないから次善の策で」ではありません。
先に書いた通り、史料読みは語学と同様に、日々読む必要があります。対面スクーリング科目を2日間集中で受講したとしても、すぐにスラスラ読めることはないのです。予習・復習が欠かせません。

そこでオンデマンドの録画授業です。史料読みのルール、テクニカルなことについては繰り返し視ることができる方が理解が深まります。

研究室や私が所蔵している史資料を用いて、ホワイトボードや手元を見せるiPadを駆使して録画をし、事前に視聴してもらいながら課題に取り組んで貰いました。





リアルタイムのオンライン授業では、それらの課題の振り返りや集めていた感想や質問についてお答えしていきました。

コロナ禍で学生の皆さんとはお目に掛かることが難しいですが、これを奇貨として対面だからこそできること、オンラインだからこそ学修効果のあることなどを精査し、カリキュラムを構築していきたいと思っています。

なお、この史料読みについてですが、芸術学科では正式なカリキュラムの他、「史料講読ガイダンス」を実施していますし、在校生や卒業生が交流するairUキャンパスで「史料読みの自彊室」というコミュニティを運営し、史料読みの独習に資する取り組みをしています。

こちらの動画は史料読みの自彊室用に私が撮影し、メンバーに公開しているものです。

※以下のURLをクリックすると新規のブラウザにて表示されます。
「airUキャンパス_史料読みの自彊室_自習用になぜ、吾妻鏡を読むのか」
https://youtu.be/eP6gXzPExBU

「airUキャンパス_史料読みの自彊室_吾妻鏡_治承4年5月16・19日条」
https://youtu.be/kukwVeLAi5k

コロナ禍の中で、教育機関の多くがオンライン授業などの対応を余儀なくされています。
ただ、「余儀なく」ではなく、オンラインだからこそ出来る学びがあると思います。
そもそも通信教育課程は自宅学習が主たる学びであり、こうした時代にマッチした学習形態ではないかと思っています。

世界のコロナ禍は治まるところを知りません。また、先が見えない時代とよく言われます。

しかし、現代だけが「先が見えない時代」であることはあり得ません。
歴史を紐解けば、常に「先の見えない」ことだらけです。
先の見えない不安や恐怖に対して、何が有効か。
それが「学ぶこと」だと思います。

歴史を知るためのオンラインの取り組みを、今後も継続していきたいと思います。

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