PHOTO

PHOTO

和の伝統文化コース

2021年08月19日

【和の伝統文化コース】大人が「大学生」になること-夢を見て、学ぶ-

こんにちは。和の伝統文化コース、業務担当非常勤講師の叉東愛です。

突然ですが、みなさんは禅語の「夢」が意味するところをご存知でしょうか?



「将来の夢(vision)」「寝ている間に見る夢(dream)」など、いくつか思い浮かびますが、
ここでは「人生はひとときの夢」のような意味合いです。
また茶人の間で「夢」のお軸は、追悼の茶会にしか掛けない約束にもなっているようです。

人生はただ一度限りだからこそ、悔いなく力いっぱいに生きようというのが「夢」の一字から帰結されるべき正しい生き方、とする書もありますが、私はこんなふうに捉えています。
「目の前の現実と思い込んでいる世界も、目が覚めるまでのひとときの夢なのかもしれない」。

「会社勤めをしていた時は、まさか自分が筝を弾くとは思わなかった」、
「大学進学を諦めた頃は、今こうして通学する日が来るとは思わなかった」
という学生の声は少なくありません。
人生には「まさか自分が」という世界に、踏み込んでいることがままあります。人生は意外と、夢のようにあらぬ方向に展開していることがあって、面白いものです。

また人生を「夢」だと思うと、何が起こっても夢の中のことですから、何事も飛び込んでみてもいいような気がしてきます。
大人にとって、「大学生」となって大学で日本文化を学び直すことは、そうした「夢」の世界のひとつに飛び込むことではないでしょうか?

他にもこんな声を耳にします。
日本のことを、こんなにも知らなかったことが一番の衝撃」、
「今になって、同じ志の仲間ができるとは思わなかった」。
卒業研究を終えて卒業を迎える頃には、充実感とともに、入学前の自分とは違う景色を見ている自分がいることに気が付く学生は少なくないはずです。

さて、大学生という特殊な環境に身を置く利点をもう少し考えてみます。
学びの醍醐味のひとつに、点と点が繋がって線になり、また面になって、目の前がサ―っと開ける気付きの快感スイッチが入る瞬間があります。
しかし、ここに至るには、学びの積み上げと、学びに対する日頃からの意識によるところが大きいのです。

ひとりの学びでは、どうしても好きな分野、興味のある分野に偏りがちです。
しかし大学では、体系的に学ぶことができます。卒業のための必修科目は、興味のあるなしに関わらず学習が必須です。苦手な科目にも取り組まなければなりません。
何歳になっても苦手なものに取り組むことは苦痛を伴いますが、これは気付きに繋がるきっかけが生まれやすいと環境ともいえます。あまり興味を持てなかった講義の資料も、時間が経って相互関係が見えてくると、ふと見返したくなる時があります。ぜひとっておいてほしいと思います。

大人が「大学生」になること、それは「少しだけ苦しいけれど、面白い人生を手に入れること」、と締めくくらせていただきます。
さあ、面白い夢を見ましょう!


 

和の伝統文化コース|学科・コース紹介

この記事をシェアする