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2020年07月27日

流動的で複雑な時代に求められる「芸術のチカラ」とは?

みなさん、こんにちは。通信教育部事務局です。

近年よく言われている「VUCA(ブーカ)」という言葉をご存知でしょうか?
特にビジネスシーンなどで市場や社会状況全体を表す言葉として使用されていますが、以下の4つの状況をあらわす頭文字だといいます。



元は1990年代後半にアメリカで使われるようになった軍事用語だそうですが、想定外の出来事が起こり、日々さまざまな変化が生まれ、自分自身もあらたに変化しつづけなければならない現在のウィズコロナ下でのわたしたちの暮らし自体がこの「VUCA(ブーカ)」という言葉で表現するのにピッタリな時代になっています。

あいまいで不確実で複雑で流動的な「VUCAの時代」の中で生きていくのに特に必要な教養として、さらに注目を集めているのが「芸術(アート)分野」です。

科学をベースに定性定量的なデータを論理的に解析することで正解が手に入ったかつての時代と異なり、より成熟し複雑化しているこの現代の「VUCAの時代」では、ロジカルシンキングでは対応しきれないとされ、既存の仕組みに囚われないアーティストのように思考し行動することが重要になるといわれています。

「アート思考」といった考え方の浸透とともに、ビジネスエリートが目指す資格であった「MBA(経営学修士:Master of Business Administration )」にとってかわる教養として、「MFA(美術学修士:Master of Fine Arts)」が必須といわれ注目されはじめていることからもわかります。



数多くの企業のコンサルティングや『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』『ニュータイプの時代』などの著書を通してビジネスにおける「アート思考」の重要性を語ってきた山口周氏はこう語ります。
(世界のエリートは)これまでのような「分析」「論理」「理性」に軸足をおいた経営、いわば「サイエンス重視の意思決定」では、今日のように複雑で不安的な世界においてビジネスの舵取りをすることはできない、とよくわかっています。
‘そこでは全体を直感的に捉える感性と、「真・善・美」が感じられる打ち手を内省的に創出する構想力や創造力が求められることになります。

グローバルでみても欧米ではビジネスで成功しても教養のないエリートは一流と呼ばれない、というのはよく聞きますが、もはやビジネスそのものが「教養」や「美意識」抜きでは成功しない時代になっているんですね。では、仕事や子育て、個人の活動など忙しい生活のなか、芸術をどのように学んでいくことができるでしょうか?

どうやって「芸術」を「学びなおす」か?

本学にも、社会人になってからビジネス上で「教養」や「美意識」の重要性を感じ、学びなおしている学生が多数在籍しています。

仕事が多忙、でも大学できちんと「教養」や「美意識」を学びなおしたい方に人気なのが通学不要オンラインだけで卒業が可能な「芸術教養学科」です。学科長の早川克美先生が、その理由を下記のインタビューでお話しています。(2018年掲載記事の為、大学名が旧名称表記となっています。)

http://plus.clisk.com/article/2382.html

またさらなる学びを深めたいといった人々を対象に、今春あらたに本学通信教育課程の大学院に開設されたのが「学際デザイン研究領域」です。仕事や家庭の両立など忙しい方でも、時間や場所の制約なく、前述した「MFA(美術学修士)」を自分の生活ペースに合わせて通信制で取得することが可能になっています。第1期生となる今年度の出願者数は242名。うち合格者は55名だったことから、倍率が4.4倍へと跳ね上がってしまいましたが、それほど世の中にこういった領域の学びが必要とされていた現れではないかと思います。

○瓜生通信:日本初、ネットだけで学べる芸術修士課程(MFA)「学際デザイン研究領域」の今

芸術は人生100年時代の救世主?


「人生100年時代」ともいわれ、ひとりの時間をどう過ごすかは社会全体の課題といえます。ひきこもりや孤独死など「ひとり」はネガティブに語られがちですが、芸術家やアーティストという「孤独を職業にしている人たち」に実は長寿が多いことはご存知でしょうか。

ピカソが92歳、ミケランジェロは89歳、ダリ86歳、マティス85歳。日本人では彫刻家の平櫛田中は107歳まで現役を貫き、ギネスに登録されました。101歳まで生きた奥村十牛は「やっと分かりかけてきたと思ったら八十路を超えていた」と著書に書き残しています。

芸術と向き合うことで「生きる力」を育んでいるのは、芸術家だけではありません。

ニューヨーク近代美術館では、認知症の患者とその家族、友人を招く「meet me」というプロジェクトを実施。専門の案内者が、絵を通して患者の記憶や好奇心を呼び起こし、家族や友人とのコミュニケーションをつなぐ試みが行われています。
https://www.moma.org/meetme/index

また、日本と同じく少子高齢化が急速に進んでいるイギリスでは、博物館、劇場、オーケストラ、さまざまな芸術団体が介護や医療の専門家と組み、高齢者のQOL(生活の質)を上げる取り組みが各地で行われています。
https://www.britishcouncil.jp/programmes/arts/ageing-society/japan-study-tour-2015/case-study

世界のさまざまな場所、さまざまな場面で生かされている「芸術のチカラ」。
芸術を学んだ人たちの活躍の場は、これからますます広がっていきそうですね。

▼本学での「学びなおし」にご興味もたれた方は、ぜひこちらの卒業生のお話もおすすめです。

3人の卒業生に聞く「芸術を学ぶことで変わる、私たちの暮らし」

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