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通信教育課程 入学課

2022年03月20日

学んだことは誰にも奪われない。 ―2021年度 京都芸術大学 通信教育課程 学位授与式・卒業式

こんにちは。京都芸術大学 通信教育課程です。
3/19(土)に挙行した「2021年度 京都芸術大学 通信教育課程 学位授与式・卒業式の様子を紹介します。



日本全国、そして海外在住の18歳から96歳の方々が集う本課程。本年度は修士102名、学士690名に学位を授与しました。式典への参加は任意となりますが今年は572名の学生が全国から参加したほか、ライブ配信でも式典を中継しました。

 



本学教授の松平定知先生による本学の理念「京都文藝復興」の朗読から式が始まります。


大学院や学部それぞれ代表の方への「学位記・卒業証書授与」





次に吉左紀子学長からの式辞です。

学長は今年3年ぶりに通信教育課程の「卒業・修了制作展」(~Web卒展が3/31まで開催中)をキャンパスで実施できたことについて触れ、世界情勢が緊迫化するなか、こうして式典を挙行できた喜びを述べました。

また、吉川学長は認知心理学がご専門。ノーベル賞学者ダニエル・カーネマンの名著『ファースト&スロー』を紐解き、「芸術を学ぶ時間」について自論を語りました。
人間の心には二つの時間が流れている。
ひとつは今ここにいる自分が経験する時間。もうひとつは過去に経験した時間の記憶です。

年齢とともに記憶されている過去の時間は増えていきますので、人間は年齢とともに豊かな過去の時間を持つことになります。
芸術作品に触れる経験もこの二つの時間、つまり今目の前にある芸術作品を鑑賞する時間、瞬間に感じる時間と、その経験をあとで振り返って反芻する時間の二つから成っていると考えることができます。

それでは作品を制作するなかで経験する時間はどんな時間でしょうか?
今ここにいる自分が経験する即時的な時間とともに作品が少しづつ形を変えていくプロセスは記憶される時間として蓄積されていきます。ですがおそらく、作品制作の時間はそれだけにとどまりません。

それは未来の時間へとのびていきます。
「芸術を学ぶことはわたしたちの未来の時間を豊かにすること。」というのが今の私の仮説です。創作を続けるみなさんがイキイキとしているのも常に心が未来の時間に向かって開かれていることの証ではないかと思います。

 

卒業・修了生を代表して「修了の辞」をお読みいただいたのは、通信制大学院の学際デザイン研究領域を修了された青山 春華さん。学際デザイン研究領域は日本初・完全オンラインの芸術修士課程(MFA)として2020年に新設、今春はじめて47名の修了生を輩出します。

青山さんが入学した2年前は新型コロナウイルス発生直後。「想定外の事態に出会った時、困難ではなく意外性として捉えてください」という領域長・早川克美先生の言葉に「世界は見方ひとつで変わる」のだと思ったことを今も鮮明に覚えているといいます。(のちほど文末で青山さんの修了の辞の全文をご紹介しますので是非お読みください。)

そして徳山豊理事長からの歓送の辞です。



式典終了後は各コースの「分科会」会場に移動。
完全オンライン課程で学んでいた方や、通学は東京・外苑キャンパスのみでも完結するため「はじめて京都・瓜生山キャンパスを訪れる」という学生さんもいます。学科・コースごとに教員の誘導で会場へと移動します。

分科会では、先生からお一人お一人に卒業証書が授与されます。

講堂で厳粛な雰囲気のなか行われる式典とはちがい、学科・コースごとに行うのでどのコースもお互いの労苦を分かち合うような親しみのこもった雰囲気です。

美術科・日本画コース



美術科・写真コース





またどのコースもZoom生中継をするなど、遠隔から参加する仲間たちと一緒に、卒業の喜びを分かち合うひとときを過ごすことができました。オフライン、オンラインが入り混じったハイブリッドなイベントは本学ではもはやごく当たり前の光景になっています。

デザイン科・建築デザインコース



芸術学科・芸術学コース



美術科・洋画コース



大学院・環境デザイン領域 建築デザイン分野



デザイン科・空間演出デザインコース



先生方の表情はマスクをしていても破顔がつたわってきますね!

大学院・学際デザイン研究領域



はじめて修了生を輩出した学際デザイン研究領域は、そろいの式服と角帽をお召しになっておられました。

 
大学に通うのがずっと夢でした。今日卒業を迎えられて、本当に感慨深いです。

芸術学科・歴史遺産コース



涙ながらにそれぞれの思いを話す皆さん。仕事や家庭との両立、学ぶ時間や場所の確保。家族や友人、教員に支えられ、さまざまな苦労を乗り越えてこられたその姿に大きな感動を覚えます。

さらなる学びの探究の道へ進む方、学んだことをいよいよ実践で活動していこうとする方、生活や日常に学びを見出そうと歩み始める方、それぞれの方法で新たなスタートを切っていく姿はすがすがしく感動的です。また「卒業」はひとつの区切り。「学びの終わり」ではなく、これからがスタートとみなさん口々におっしゃいます。

本学通信教育課程は、「藝術学舎」(一般公開講座)全国各地で開催する「収穫祭」(卒業生・在学生との交流を目的に、日本各地に集いその土地の芸術活動を学ぶイベント)など、皆さんがこれからもさまざまな形で学び続けることができるよう、引き続き学習環境を整えてまいります。これからもともに学びつづけていきましょう。

改めまして、皆さま、ご卒業・修了おめでとうございます。

それでは最後に、青山 春華さんの「修了の辞」を紹介させていただきます。






修了の辞

2021年度も引き続き、新型コロナウイルスは私たちの生活の様々な場面に影響を及ぼしました。そのような中でも、今日この場に、このような形で一同介して修了式・卒業式を迎えられることを大変嬉しく思いますとともに、式の開催のためにご尽力いただいた関係者の方々に深く感謝の意を表します。

私が本学の学際デザイン研究領域に入学した2年前は、まさに新型コロナウイルス発生直後の時期でした。私は入学説明会の際に早川克美先生がおっしゃった「想定外の事態に出会った時、困難ではなく意外性として捉えてください」という言葉をとても鮮明に覚えています。そう、世界は見方ひとつで変わるのです。

その後の2年間、先生方のご指導のもと、同じコースの仲間とともに、デザインを学ぶことを通して、社会の様々な事象、課題と向き合ってきました。ありのままに観察し、あるいは歴史的経緯や成り立ちを探求し、ヒントを得る。時には自分の内面を掘り下げ、先入観や社会のしがらみから自分自身を解き放って直感力を磨く。そしてこれらにより得た情報をもとに、社会に新たな見方を提示するための「問」を立てる。そこから仲間と共にアイデアを出し合い、実験し、修正し、問の答えを形にしていく。修了研究ではゼミの仲間とともに、先生方に叱咤激励いただきながら、この苦しくも楽しいプロセスを通り抜け、これまで社会になかったものをデザインすることで、デザインと何かを実践を通して学んできました。

学際デザイン研究領域で身をもって学んだことのもう一つが「共創」です。修了研究では、チームメンバーと共に、大学生が抱える「不本意な就職」という課題を解決するため「就職活動生の内省を促す対話カードの開発」に取り組みました。5人のチームメンバーがそれぞれ、力を出し合い、意見をぶつけ合う、5人のメンバーだからこそやり遂げられた研究だと思います。

本学の通信制大学院は、住んでいる場所や仕事の時間などの制約にとらわれず、多様なバックグラウンドを持つ学生が集い、芸術に関わる様々なコースで学んでいます。ここはまさに共創の場であり、ここを修了・卒業する私たちが社会の中に学びを持つこむことで、また社会の中に共創が起こっていくでしょう。本学は、社会と芸術・デザインとの窓のような存在です。

新型コロナウィルス発生から2年が経ち、私たちは徐々に日常を取り戻しつつあります。しかし、それは以前とは様々な面で変化した日常です。この新たな社会をより豊かなものへと変えていくのは、芸術・デザインであり、本学で学んだ私たちの意識的な、あるいは無意識の行動が、そのような変化を社会にもたらしていくと信じています。

最後になりましたが、2年間ご指導いただいた先生方に改めて御礼を申し上げますとともに、通信制・オンラインという特殊な学習環境をいつも快適に整えてくださった事務局の方々に心より御礼を申し上げて、修了の辞とさせていただきます。ありがとうございました。

令和3年度修了生・卒業生代表
京都芸術大学 学際デザイン研究領域
青山 春華

(撮影:通信教育課程 入学課、広報課)

 



オンラインで

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▼「京都芸術大学(通信教育)2021年度合同WEB卒業・修了制作展」(〜3月31日(木)18:00)


 

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