【ランドスケープデザインコース】京都 宮廷庭園堪能の2日間―修学院離宮、閑院宮邸跡、拾翠亭

業務担当非常勤教員の藤津より5月に行った庭園実習（スクーリング）の様子をお届けします。

本コースでは１、２、３年次に各1回の庭園実習があります。1年次の京都有数の苗木園から2年次の近代京都に花開いた南禅寺界隈別荘庭園と進み、3年次の実習でいよいよ京都の庭園の精華ともいえる宮廷庭園・修学院離宮と、宮家・公家屋敷庭園遺構の残る京都御苑で学びます。

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【1日目　修学院離宮で庭園実習】

1日目は修学院離宮で透かし剪定を学びました。サツキなどの低木を対象に、花柄摘み、ヒコバエ除去などの手入れに続き、仕上がりをイメージしながらの透かし剪定の方法を現場職員の方々から実地で教わります。透かし剪定は、枝元からハサミを入れて自然な枝ぶりに仕上げ、枝間（ふところ）に光を入れて若返り更新させ、樹木の健康を保ちながら樹形・サイズを保つ庭園樹木の基本となる維持管理手法です。実践は難しく、慣れないうちは次の年以降の枝がどのように生長するかわからず、ハサミの入れ場所に迷います。ベテラン職員の方々に原理やコツをうかがいながら、最後の掃除まできっちり仕上げることができました。修学院離宮といえば浴龍池の堤を覆う大刈込が有名ですが、基本的に樹木は透かし剪定によって維持されているとのことでした。

作業後は修学院離宮の庭園見学へ。下離宮から中離宮・上離宮に至るまで1時間20分たっぷり専門職員の方々に庭園の見どころやメンテナンスのことなどうかがうことができました。

 



 

【2日目　京都御苑　宮家・公家の庭を訪ねて】

2日目は京都御苑の日です。午前中はキャンパスで文化財庭園の修復・監理について本学 日本庭園・歴史遺産研究センター客員研究員である吉村先生の講義を受け、文化財庭園の公的な位置づけや修復にあたっての手続き・手法などをうかがいます。

午後、本学名誉教授の尼崎先生と京都御苑で待ち合わせ、御苑南西角に位置する閑院宮邸跡と拾翠亭を見学します。

閑院宮は宝永7（1710）年に創設され明治時代まで存続した親王家です。平成15～17年の庭園修復整備事業により明治時代の御苑整備以前の池の州浜状の護岸などが明らかとなり、いまは当時の護岸の工法技術を復元して一般公開されています。

 

 



 

拾翠亭は今年3月に建築および庭園の修復・機能強化整備事業が済んだばかり。

拾翠亭の建築と九条池の護岸、ともに美しく整った公家屋敷の貴重な数寄屋空間を味わいました。

 



 

かつて、宝永５（1708）年の大火後にいまの御苑南西角に接する烏丸通から丸太町通にかけて民家が立ち退き（明地）され、防火水路が設けられました。閑院宮邸庭園の池や拾翠亭九条池は、その水を徐々に自邸に取り込んだ結果として作られている経緯の紆余曲折を尼崎先生から実地で説明いただいたのは大変幸運でした。

その後、大学で事前課題の講評を受けて2日間のスクーリングは終了。ランドスケープデザインにおける図面の取り扱い、文献・資料の引用の明記など、大学での学習の大事な約束事を基本からみっちり教わることができました。

閑院宮邸庭園、拾翠亭庭園ともに、修復整備事業の調査・設計・施工監修にあたっては本学日本庭園・歴史遺産研究センター、吉村先生、尼崎先生が深くかかわっております。こうした方から日本の文化財庭園の維持管理手法を学べるのは得難い体験になります。

 

～お知らせ～

8月20日（土）-21日（日）開催　一般公開講座「芸術学舎」　
日本庭園・歴史遺産研究センター共催講座 庭園学講座29　近世公家の茶室と庭園
https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/learning/G2223526

上記の閑院宮、拾翠亭を含む京都御苑に残る公家邸庭園についての座学と見学会が開催され、尼崎先生の講演・講義も聴講できます。
一般参加可能なので、興味を持たれた方はぜひ上記のリンクからご確認ください。




 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼本ブログでは、これまでにも庭園実習の様子をご紹介しています。ぜひご覧ください。

▽1年次の庭園実習（スクーリング）

【ランドスケープデザインコース】日本庭園の美と作法を体感し、空間演出の基本を学ぶ

▽3年次の庭園実習（スクーリング）

【ランドスケープデザインコース】日本庭園からランドスケープを学ぶ

 

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