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写真コース

2022年10月25日

【写真コース】写真の原理をピンホールから学ぼう

こんにちは、写真コースの河田です。秋になると撮影に出かけたい気持ちがより高まってきますね。

撮影といえば、みなさんの中にも一眼レフやミラーレスなどのレンズ交換可能なカメラに任意のレンズを装着して撮影されている方もおられると思いますが、そのレンズの代わりに針で開けた孔(あな)を使用して撮影された写真のことをピンホール写真と呼ばれていることはご存知でしょうか。
他方で、光の入らない暗箱などの中に感光材料を入れてピンホールを装着するといったものでも制作することができます。とてもシンプルな構造ながらも写真を構成する基本的な要素はしっかり備わっています。
今回は写真の原理を学ぶ上でも欠かせないピンホール写真について、写真コースのスクーリングや単位連携もなされている一般公開講座「藝術学舎」の講座を交えて解説していきます。

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ピンホール写真はこのように遠景や近景共に均一の柔らかい調子の写真に仕上がります。
針で開けた小さな孔なので、取り込める光の量が少ないといった特徴を活かし、長時間露光での絵作りや表現に展開することも可能です。

両方ともデジタルカメラにピンホールを装着して撮影しています。左は0.2mmの孔を使用して撮影したものです。右はその孔を大きくして撮影していますが、左との違いに注目してみましょう。ピンホールから撮像素子(または感光材料)までの距離が同じであれば、孔を大きくすることでより柔らかい調子の写真を得ることができます。

写真コース1年次のスクーリング科目(写真原理/ピンホール)では写真がなぜ写るのかを紐解きながら、ピンホールを使用したカメラの撮影を通じて、レンズで得られる画像とは違う表現方法を学び写真への理解を深めていきます。
孔を通過した光によって暗箱内にどのような仕組みで画像が映し出されているのか、授業担当の徳永隆之先生がレクチャーしている様子です。

この授業では、窓を遮光した上で定常光も消して、教室を巨大なカメラ・オブスキュラ(カメラの起源ともいわれる装置)として外の風景を室内に投影します。画像を確認するために、床に置かれているトレーシングペーパーを持ち上げてスクリーンに使用します。赤矢印の部分に数種類の孔を装着させてどのような変化が生じるか、観察できるようになっています。

外の風景がトレーシングペーパーのスクリーンに投影されている様子です。上下左右が逆になり、まるでカメラの内部にいるような感覚になります。百聞は一見に如かずなので、ぜひみなさんにも体験していただきたいです。

<2017年度撮影>



孔の開いたプレートを別の大きさのものに差し替えています。この部分にレンズを入れてみて画像の見え方の違いも検証していきます。レンズの場合、スクリーンとの距離によってピントの合う合わないが明確にわかるようになります。

そして、デジタルカメラでピンホール写真を撮影するために準備を行います。

薄いアルミ板などに針で孔を開けます。それを約1cm程度の孔を開けたカメラのボディキャップの内側に貼り付けて完成となります。

デジタルカメラにピンホールを装着した状態。細かい工程は省きましたが、作業自体はとても簡単なので興味がある方はぜひトライしてみてください。

ちょっとしたアイデアで様々な表現が可能です。これは同じ板の中にピンホールを3つ開けて撮影したものです。表現次第では必ずしも孔は1つである必要はないかもしれません。孔の間隔によっても違いがあります。発想を柔軟にして、探究心をもって取り組むことが大切です。そこから各々の興味を掘り下げて研究や制作に繋げていただきたいと思います。

続いては藝術学舎の銀塩講座から、感光材料を使用してピンホール写真を制作する講座について解説します。銀塩講座は暗室作業などに興味がある方は、どなたでも受講可能な講座です。基礎からアドバンス的な内容まで学ぶことができます。
こちらはピンホール写真を撮影するために、カメラそのものを手作りするところからスタートします。
写真は0.1mmのアルミ板に孔を開ける実演の様子です。自身が何mmの孔を開けたかメモリ付きのルーペで測り、印画紙(感光材料)から装着したピンホールまでの距離も測った上でf値(絞り)を算出していきます。

講座の準備物で指定したサイズの箱をそれぞれ加工してピンホールカメラに仕上げます。

完成したピンホールカメラ(左の写真)。箱の中は黒く塗ります(右の写真)。
暗室にて印画紙を箱の底にセットして、余分な光が入らないように黒いテープで隙間を塞ぎます。撮影を始めるまではピンホールに蓋をしておきます。自身のアイデア次第で、四角い箱でなくとも身の回りにある筒状のものなど様々なものでも制作は可能です。この手軽さも手作りカメラの魅力ではないでしょうか。

撮影の様子。光の条件が同じであっても、それぞれが算出したf値によって撮影時間は異なるため、データをとって撮影を進めます。撮影した画像は暗室で現像作業を行うまで確認できないため、その緊張感やワクワク感は感光材料を使用した制作の醍醐味と言えるかもしれません。

暗室での現像作業の様子。ここで初めて画像を確認することができます。この結果をもとに撮影時間などを調整していきます。晴れた日と言っても、雲のかかった状態もあれば太陽が雲から出た状態の場合もあります。それによって光の強さも変化するので、空を観察しながら撮影を進める必要があります。

薬品処理が終われば、明室内の水洗槽でしっかりとプリントを確認します。

印画紙とは簡単に説明すると、光に反応する紙です。暗室での薬品処理を行わないと画像を確認することができません。光が当たった部分はその強弱によってグレーもしくは黒くなり、光が当たらなかった部分は白くなります。まずピンホールカメラで撮影して現像するとネガ(右の写真)が仕上がります。それを未使用の印画紙に密着反転させることでポジ(左の写真)となります。受講生の中にはネガの写真そのものに興味を惹かれるといった方々もいらっしゃいます。面白い着目点ですよね。まさに印画紙を使用したピンホール写真を通じての発見と言えるかもしれません。

このようにピンホールカメラを作り、光を観察しながら撮影に臨むことで、写真の原理を学ぶだけでなく、自身の作品を客観視しながら、新たな気づきなども糧にして制作を進めていただきたいと思います。

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