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書画コース

2023年01月30日

【書画コース】文房四宝、硯を愛でる

書画コースのブログでは過去に墨や筆を取り上げましたが、今回は硯(すずり)のお話をしようと思います。
担当は書画研究室の奥田です。

過去の記事はこちら↓
【書画コース】文房四宝、墨を訪ねて


【書画コース】文房四宝、さまざまな「筆」のご紹介


硯とは、墨を磨る文房具の一種。その表面には鋒鋩(ほうぼう)と呼ばれる、肉眼では見えない凹凸があります。それらが墨を磨る際にヤスリの役割を果たすため、磨墨できるという仕組みになっています。

様々な硯の例。それぞれに魅力がある。



硯を想像すると、小学生のときに使ったあの黒くて四角い、手のひらサイズの重たい石を思い浮かべる方も多いかと思います。しかし実際には、材質・形・大きさ・色・紋様等において、実に様々な種類の硯が存在します。また実用としてだけでなく、その美しさから鑑賞的な魅力をもつ硯もあります。

華やかな彫刻が施された硯(所蔵・写真提供:株式会社墨運堂)



書家・榊莫山氏の著書には、硯の選び方は墨・筆・紙よりも難しいとされていますがこれは私も同感です。自身の求める硯に出会うこともそう簡単ではないと思います。ただ、硯は大切に使うと墨・筆・紙よりも長く、共に書画の制作に関われます。きちんとお手入れをすれば一面の硯を生涯使い続けることもできるでしょう。

愛用する硯の一つ。紋様が見えやすいように一部水で濡らして撮影。



硯を観察すると、たくさんのことに気づきます。
その肌触り、指で弾いた時の音、水をのせた時の保水性、墨のあたり具合、墨のおり方等、硯それぞれに個性があります。それは磨った墨から分かることもあります。例えば2種類の硯を使い同じ条件下で磨墨したとき、硯によって墨の表情も変わります。鋒鋩が粗いものと細かいもので比較すると分かりやすいかと思います。そんな硯の個性と向き合いながら、磨墨する手から伝わる感覚を楽しむ時間は、硯と使い手だけの特別な時間だと私は感じます。

現代の慌ただしい生活のなかで、墨を磨ることは本当に大変です。それでもこの時間は、後に表現をより深めていくうえできっと役に立つことでしょう。

とある日の墨を磨る様子。



ここで簡単に硯の取り扱いを記しておきます。

  1. 使用後は硯を速やかに洗う

  2. たまに硯の目立てをする

  3. 温度に気を配る


基本的にはやわらかいスポンジを使い、水で洗うことで、硯面はきれいになります。使用後すぐに洗えばお手入れも断然楽ですし、鋒鋩の凹凸が墨で目詰まりすることも防げます。磨墨を重ねると鋒鋩も磨滅していきます。そのため「墨おりが悪いな〜」と感じたときは、硯用砥石や耐水ペーパーで硯の目立てをすると鋒鋩は蘇ります。

お手入れ方法は人によっても異なりますが、私は水やお湯に硯と泥砥石をしばらく浸してから、硯面を泥砥石でやさしく磨くことが多いです。耐水ペーパーを使う際は、硯の状態によって番手を変えています。目立てにより硯に傷がつく場合もありますので十分ご注意下さい。

今のような寒い時期は硯も水も非常に冷たく、膠を含む墨の磨墨が難しく感じることもあります。そんなときは、ぬるま湯に硯を浸して少し温めてから墨を磨ると、墨おりや発墨も良くなるのでおすすめですよ。

泥砥石を使う様子。



次々回(3月投稿予定)は、硯の種類をいくつかご紹介したいと思います。                                 それでは本日はこの辺で・・・次回のブログもお楽しみに!

 

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