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日本画コース

2023年05月16日

【日本画コース】教員が回答、自宅で学ぶ「テキスト科目」の取り組み方

こんにちは、日本画研究室の岸本です。                                                   新年度が始まってはや一か月、京都では5月に入ったあたりから暑さを感じる日もあり、徐々に季節が変化していく様子を感じています。今月の日本画コースからは「テキスト科目」の話題についてお届けします。 

日本画コースで受けられる授業は大きく分けて二つ。大学などで授業を受ける「スクーリング科目」と、自宅で取り組む「テキスト科目」です。2つの科目の大きな違いとそれぞれの魅力について後藤吉晃先生に、またテキスト科目の添削に携わっておられる先生方から、今回は佐竹龍蔵先生にお話を伺ってまいりました。ご担当いただいている科目の制作についてのワンポイントアドバイスと前向きなメッセージをいただいております。

スクーリング科目とテキスト科目、それぞれの取り組み方の違いは?(回答:後藤吉晃先生)


 

コース主任の後藤吉晃先生



後藤:「スクーリング科目」で開講日程があらかじめ決まっているので、受講する授業の日は集中して作品に向き合うことが可能です。「テキスト科目」課題に向き合う時間を各自で生活の中でつくっ取り組む科目になります。日中お仕事があったり、おうちの用事など、テキスト科目の方はご自分で時間を作って自発的に取り組む必要がありますね。

2023年度開講スクーリング日程表

学び方・サポート(大学公式Webサイト)

テキスト科目とスクーリング科目の学び方については大学公式ページでも紹介しています。



 

ただ、授業時間枠に制限されることなくじっくり時間をかけて取り組めるということが「テキスト科目」の良さでもありますので、ご自身の納得いく所まで課題に取り組んでみてください。「スクーリング科目」で授業中に分からなかった部分を「テキスト科目」でご自宅で再度じっくり自分なりに臨んでみるなど、どちらもバランスよくとっていくとよいと思います。

▼スクーリング科目の様子

【日本画コース】日本画の世界へようこそ!はじめの第一歩


逆に「テキスト科目」に取り組んでいて、自宅学習ではどうしても解決できなかった部分などがあれば、是非直接リアルタイムで指導がもらえる「スクーリング科目」をうけていただければと思います。教員の言葉で何か気づきに繋がることがあるかと思います。

 

此方、学生の皆さんは普段立ち入ることのできない添削室の風景、提出されたテキスト課題の作品がここに集められています。



岸本:添削室に集まってる課題を⾒てみると、4⽉に入学されてすぐに課題を提出しておられる⽅が多くいらっしゃいました。入学後は、まずは「テキスト科目」から取り組むのがオススメなのでしょうか?

後藤:そうですね、今年も4月に入学されてからすぐに課題に頑張って取り組む方がたくさんいらっしゃいました。「テキスト科目」に取り組んでみることで、初めて気づくことがあったと思いますし、わからないことこともあったと思いますので、その後「スクーリング科目」を受講し、その点を補ってもらえればよいかと思います。

「スクーリング科目」は、5月の鉛筆写生の授業が一番最初に開講されるので、受講後に「テキスト科目」に再度取り組んで提出するという方も多いです。ご自身のペースでじっくり日本画に向き合えるという点が、通学部と違って通信のまなびの魅力になっています。

「スクーリング科目」と「テキスト科目」は相互で取り組んでいただけるとベストですが、ご自身のご都合や計画上むずかしければ、焦らずにじっくり取り組んでいただきたいなと考えております。

岸本:後藤先生、ありがとうございました。

先生からのお言葉にもあった通り、ご自身のペースで学習を進めていただき、充実した学びにつなげていっていただければと思います。 

 

テキスト科目「日本画演習 I-1」の参考作品のご紹介


下の写真は、テキスト科目「日本画演習 I-1」の参考作品です。
りんごとバナナというシンプルなモチーフの組み合わせですが、この絵を描いた人の納得のいくところまでしっかり描き切っている様子が写真からでも伝わってきますね。




テキスト科目に取り組む際のアドバイス(回答:佐竹龍蔵先生)


続きましては、もう少し専門的な部分のお話です。

「日本画演習 I -1」「日本画演習 I -2」をはじめ、人物画を学ぶ「日本画演習III-1」の授業をご担当されている佐竹龍蔵先生にお話を伺いました。実際の課題制作に関わる疑問を学生の皆さんに代わって様々質問をさせていただきました。

岸本:添削をご担当いただいている「日本画演習 I -1や「日本画演習 I -2では、鉛筆や色鉛筆で描くところから始まります。鉛筆、色鉛筆の画材としての魅力や、乾漆画材にあまりご経験のない方に向けてアドバイスなどあればお聞きしたいです。

佐竹:色鉛筆のいいところは、ぱっと手にとってさっと色を塗れるところ、筆圧だけで描き分けができるところ、画面に薄く塗り重ねるだけで混色できるところだと思っています。手軽さが気に入っているので僕は素描やクロッキーなどで使用しています。

色鉛筆写生のテキスト科目を添削していて個人的に一番もったいないと思うのは、使っている色の種類が少ない写生です。使う色が多ければいいという訳ではないですが、使ってみないことにはわからないことがあるので、まずはどんどん色を塗り重ねて画材の特徴を体感してみてほしいです。

日本画コースで最低限推奨している色鉛筆は36色セットですが、これだけでも組み合わせて使えば無数の色をつくることができます。色をたくさん使うのが苦手な人はあえて白いものを描いてみるのもいいかもしれません。例えば白い皿の上に置いた豆腐を36色すべて使って描いてみるのも面白いと思います。

色鉛筆で描く際や、制作で岩絵の具を扱う際にどういった感覚で色を選択しているかについては使う色が多ければいいという訳ではないと言いましたが、僕自身は画材の種類に関わらずとにかくたくさん色を使うようにしています。

こちらは色鉛筆の授業の過去の参考作品、形の変わり目になるところなど、多様な色を用いて表現しているようです。



こちらも参考作品の⼀部から、パンの中⾝は⽩く、描くのが難しい部分ではありますがしっ かり⾊をのせて描写ができていますね。



岸本:「スクーリング科目」でも主に担当されている人物画のことについてもお尋ねします。「テキスト科目」でも3年次から人物を描く課題がありますが、人を描くにあたって、技術の面で学生の皆さんに気を付けてほしいポイントやアドバイスなどがあればお伺いしたいです。また、先生がご自身の制作の上で大切にしていることなどあれば併せてお聞きしたいです。

佐竹:どの課題にも言えることですが、はじめて描くときは最初から細かい部分を描こうとせずに全体のバランスを確かめながらじっくり描き進めるのがいいと思います。平面的な描写にならないように顔や体の構造を立体的に把握していくことも大切です。技術的に気をつけてほしいポイントというよりも、よく見てよく考えて描くこと、試行錯誤をたくさんすること、とにかく描きまくることが何より重要だと思います。

自分の作品では想像で人の姿を描いているので実在のモデルはいないのですが、だからといって写生をしていないというわけではありません。描きたい絵を描くためには準備が必要なので、実際に見て人を描くということはずっと続けています。

岸本:人物画は人によっては取り組むことが難しいテーマになっていると思います。私自身の話ですが、学生の頃から風景や自然物を描くのが好きだったので、課題として出た人物画の授業にはどう手をいれてよいか悩んだ記憶があります。学生の皆さんに気持ちの面でアドバイスなどあればお伺いしたいです。

佐竹:自画像の「テキスト科目」で提出していただくレポートには「自画像は嫌だ」という意見が意外と多いです。他の科目では描くのが「難しい」という意見はあっても「嫌だ」という意見は少ないように感じます。自画像が嫌だという人に多いのが、自身の容姿・性格・年齢などにコンプレックスがあり、長時間自分と向き合わないといけないのがしんどいという意見です。長時間しんどい気持ちで絵を描いてもらうのは申し訳ないような気もしますが、嫌だという気持ちのまま作品を完成させるのも大切な経験になると思います。ポジティブな気持ちだけで作品をつくる必要はありません。

自画像写生は履修のタイミングとしては3年次科目にあたります。卒業制作の前に自分自身とじっくり向き合う時間にしていただけると幸いです。 

岸本:佐竹先生、ありがとうございました。

画材の扱い方から、作品に向き合う気持ちの部分まで懇切丁寧にお答えいただきました。人を描く上でも、よくみて描くこと、全体のバランスを確かめてじっくり進めること。12年次の学習で大切にしてきた部分を忘れずに、課題に取り組んでいただければと思います。

最後に、此方は佐竹先生にもご紹介いただいた研究室おススメの色鉛筆セット。こんな顔をしていますので、画材屋さんで見かけたらチェックしてみてください。



 

 

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