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書画コース

2023年08月05日

【書画コース】題字から書とデザインを探る!

書画コースでは、書の専門科目に「書とデザイン」を学ぶ科目があります。ここでは書とデザインについて考え、篆刻や器への書、題字など、そこでの表現性を学びながら、加工性や装飾性の観点に沿った作品の制作を行います。

そこで今回は、題字の一例からその面白さを探りたいと思います。担当は書画研究室の奥田です。

この科目では次のA~Cから選択して、取り組むことができます。

A:篆刻 ―姓名印・遊印などー

B:器への書 ―書皿などー

C:題字 ―ブックデザインなどー

今回は「題字」から、ブックデザイン4パターンをみていきましょう。



こちらはA6版文庫本、タイトルは『花』、著者は私自身と想定して作りました。

課題では実在する本や映画のタイトル、お菓子やお酒などの商品名を書いてもOKです。その内容にあわせた書体を選ばれる方、加工や装飾をされる方など様々です。今回は活字書体も組み込みましたが、部分的に使用するのであればOKです。提出された課題を拝見しますと、皆さんそれぞれの視点で創意工夫されている様子が窺えます。

さて先程の4パターン、すべて同じ文字を使用しました。しかしそのサイズや構成・設計によって随分と印象は異なりませんか?また活字書体の位置や縦組み・横組みも印象に影響を与えていませんか?

例えばそれぞれの印象を表すと、

①上品・控えめ・整然とした

②広がりのある・開放的な

③安定感のある・収まりの良い

④インパクトの強い・迫りくる

などといった言葉が私は思い浮かびます。その理由を、先程の画像に少し補助線をいれて観察してみましょう。



①左右対称に同じような空間がある

②右やや中央から左に向かい空間が広がる

③正円の中に主となる文字が収まっている

④表紙からはみ出し手書きは可読性に欠ける

これらが先程の印象に繋がる要素の一つになっていると考えられます。ここから、同じ文字であってもポジショニングによって印象を操作することも可能ということがいえるでしょう。

加えた補助線の他にも、観察する点は色々ありますのでぜひ探してみて下さいね。

他にも、本のサイズが変わったら?著者名も手書きにしたら?背景に色や柄を加えたら?などと考え始めると、題字のイメージは無限に広がっていきます。そんなときは「誰をターゲットにした内容か」「そのために何をどのように伝えることが効果的か」などを考えたうえで、伝統的な書を踏まえながら、揮毫に取り組まれると宜しいかもしれませんね。

書の制作において、文字の形や線質はもちろんですが、同時に文字の効果的な配置(章法)を身につけることも大切になります。それは書をデザインに活かす際にも必ず役に立つことでしょう。

ちなみに今回の題字として使用した作品『花』は、古い唐墨(中国でつくられた墨)を鋒鋩(ほうぼう)の粗い硯で磨り、滲みの少ない加工紙に書きました。加工紙は譲りうけたもので詳しい材質は分かりかねますが、かなり古く所々に小さなシミもありました。ですがそれさえも作品に味わいを与えてくれる紙でした。筆は墨含みが良くて、毛質は柔らかく、程よい弾力性のある中高生向けの太筆を使いました。

(過去ブログには、筆や墨、硯の投稿もありますので宜しければご覧ください!)                       

【書画コース】文房四宝、硯を愛でる


書画コースは、書と水墨画を美術やデザインの視点からも学べることがとても魅力的です。興味をお持ちいただけましたら、書画コースの紹介Webサイトもぜひご覧くださいね。

\おしらせ/

教科書『書 伝統と現代2』の第六章「ブックデザイン・題字」では、書画コースの桐生眞輔先生が揮毫された、京極夏彦さんの『幽談』の題字をもとに、書とデザインを学べます。そしてなんと現在、「京極夏彦30周年記念PV祭り」が開催中のためYouTubeからもその題字を閲覧できます!ぜひぜひご覧ください!

『幽談』 京極夏彦30周年記念PV

※今回は比較してお伝えしやすいように題字をもとにデジタル加工を施しましたが、それは課題条件ではありませんのでご安心下さい。例えば以下のように対応して課題の提出が可能です。 

・活字書体を組み込みたい→Wordなどで文字を打ち込みプリントアウトして切り取り、題字の横に添えるなど

 

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