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2023年10月28日
【グラフィックデザインコース】手のひらサイズで17億円のグラフィックデザイン!?トレーディングカード
こんにちは!グラフィックデザイン/情報デザインコース業務担当非常勤講師の畠山 学です。
私は4歳の頃からトレーディングカード(以下トレカ)を集めています。本学の通信教育部情報デザインコースに在学中もトレカを用いた作品を制作し、現在もコレクション・研究を続けています。
トレカと聞くと子供向けのトイというイメージが強いかもしれませんが、実はその歴史の始まりも現在も、そうとは言い切れないのです。手のひらサイズの印刷物であるこのトレカですが、昨年、取引額の史上最高値を更新しました。1952年トップス社製の「ミッキー・マントル」(野球選手)のカードが約17億5000万円で落札されたのです。
近年社会現象になっている「ポケモンカードゲーム」もよくニュースで見かけるようになりました。最近は価値が高騰していく流れから、実物を預けつつ所有権のみで取引を可能にするサービスなんかも登場しています。この背景には、コレクターの存在や、アニメ・ゲーム・スポーツといった多様な業界とのつながり、メルカリやヤフーオークションといったプラットフォームの進化など、さまざまな要因があります。今ではローカルな広告物としてであったり、公共施設の振興目的など、意外な場面でも広く応用されています。
トレカの物語には、その展開に小さくも大きなデザインのチカラが込められていると考えています。今回はそんなトレカについて少しお話しさせていただければと思います。
トレーディングという言葉のとおり、交換をしたりコレクションするためのカードです。複数枚がパック入りになっているものや、自動販売機、お菓子や食品、音楽CDの販促品としてなど、さまざま場面で入手できます。
カードを組み合わせて対戦できる「マジックザギャザリング」や「遊戯王」、「ポケモンカードゲーム」を代表としたトレーディングカードゲームも人気を集めています。集める目的はコレクションするためであったり、ゲームで強くなるためであったり、楽しみ方も一つではありません。
トレカの始まりは意外なところにあります。19世紀後半、アメリカ合衆国にてたばこの販促物として初めてトレカは生まれたと言われています。当時のたばこのパッケージ箱は薄く弱かったために、補強用に厚紙が同梱されていました。その厚紙にいつしかイラストが描かれるようになったり、広告として利用されるようになりました。そして初めて、この「カード」を集める人たちが出てきました。
たばこ販売の実業家であるジェームズ・ブキャナン・デュークがこのカードのデザインや展開に力を入れ、現在のトレカの原型が作られました。この効果は非常に大きく、売り上げの向上だけでなくカードという手法が世界中に広まることとなりました。たばこのパッケージ補強物から広告物へ。それがやがてカード自体の価値を生んでいったのです。ただの厚紙だったはずが、まるでデザインによって魔法をかけられたように価値あるものへと変化していきます。
このたばこカードは日本にも渡り、人気を集めます。しかしこのカード目当てに子供がたばこを買うという社会問題にもなりました。
たばこカードから始まり、トレカはお菓子のおまけなどに展開していき、子供向けのコレクションアイテムへと変化していきます。トレカを使ったゲームも爆発的な人気を集めていくこととなりますが、トレカの展開は意外なところにも広がります。全国各地のダムで配布されているダムカード、マンホールカードはご存知でしょうか?公共施設に興味を持ってもらうきっかけになることはもちろん、観光の楽しさをより彩ることをトレカが担っています。京都では地元の銭湯の宣伝のため、銭湯トレカを制作されている方もいらっしゃいます。
実際、このトレカの特性を私の卒業制作でも応用しました。当時国家公務員だった私は、航空行政の抱える社会問題に対しトレカを用いたプロモーション企画を制作しました。この作品は後に仙台空港で実際に採用されることとなったわけですが、自分の好きなことを、社会の問題に役立てるべく、デザインの力で発信できることにかつてない喜びを覚えました。
前述のトレカの歴史などは、在学中に研究した内容です。グラフィックデザインコースの課題は、後半になるとご自身で制作のテーマを決めていくこととなります。ただのトレカ好きだった私ですが、大学での研究をきっかけに「トレカを通して世界をみる」ように変化しました。トレカを研究していくことで、私たちのコミュニケーションをどう豊かにしていけるか?今後はさらに研究を深めていきます。
あなたの好きなことも、デザインによって何かを変えられるかもしれません。それって、めちゃくちゃ楽しくないですか?笑
最後におまけですが、こちらは私のとっておきのコレクションです。約8年前、保育園に通う娘が毎日カードを作ってくれていました。その日みていたもの、天気、気になった色などがカードに描かれています。お迎えに行きながら大学課題と向き合っていたあの日々を思い出すこのカードも、娘がデザインしてくれた大切な宝物です。
▼オンラインで参加できる11月体験入学でコースの学びを体験してみませんか?
グラフィックデザインが扱う専門領域は広く、日常のさまざまな場面で活かされています。今回は入門編として、きっとみなさんも日常的に目にしたことがある企業やサービスの有名ロゴを題材にしながら、そのデザインに隠されたアイデアや秘密を紐解いていきます。
近年ではデジタルデバイスに表示させるために、透過するロゴや動くロゴ、多種展開するロゴまで登場しています。そんなロゴデザインを紹介しながら、グラフィックデザインの面白さや奥深さについて触れていきます。
コース紹介ぺージ(大学公式HP)
私は4歳の頃からトレーディングカード(以下トレカ)を集めています。本学の通信教育部情報デザインコースに在学中もトレカを用いた作品を制作し、現在もコレクション・研究を続けています。
トレカと聞くと子供向けのトイというイメージが強いかもしれませんが、実はその歴史の始まりも現在も、そうとは言い切れないのです。手のひらサイズの印刷物であるこのトレカですが、昨年、取引額の史上最高値を更新しました。1952年トップス社製の「ミッキー・マントル」(野球選手)のカードが約17億5000万円で落札されたのです。
近年社会現象になっている「ポケモンカードゲーム」もよくニュースで見かけるようになりました。最近は価値が高騰していく流れから、実物を預けつつ所有権のみで取引を可能にするサービスなんかも登場しています。この背景には、コレクターの存在や、アニメ・ゲーム・スポーツといった多様な業界とのつながり、メルカリやヤフーオークションといったプラットフォームの進化など、さまざまな要因があります。今ではローカルな広告物としてであったり、公共施設の振興目的など、意外な場面でも広く応用されています。
トレカの物語には、その展開に小さくも大きなデザインのチカラが込められていると考えています。今回はそんなトレカについて少しお話しさせていただければと思います。
■トレカとは・・・?
トレーディングという言葉のとおり、交換をしたりコレクションするためのカードです。複数枚がパック入りになっているものや、自動販売機、お菓子や食品、音楽CDの販促品としてなど、さまざま場面で入手できます。
カードを組み合わせて対戦できる「マジックザギャザリング」や「遊戯王」、「ポケモンカードゲーム」を代表としたトレーディングカードゲームも人気を集めています。集める目的はコレクションするためであったり、ゲームで強くなるためであったり、楽しみ方も一つではありません。
■トレカはもともと、ただの補強用厚紙だった
トレカの始まりは意外なところにあります。19世紀後半、アメリカ合衆国にてたばこの販促物として初めてトレカは生まれたと言われています。当時のたばこのパッケージ箱は薄く弱かったために、補強用に厚紙が同梱されていました。その厚紙にいつしかイラストが描かれるようになったり、広告として利用されるようになりました。そして初めて、この「カード」を集める人たちが出てきました。
たばこ販売の実業家であるジェームズ・ブキャナン・デュークがこのカードのデザインや展開に力を入れ、現在のトレカの原型が作られました。この効果は非常に大きく、売り上げの向上だけでなくカードという手法が世界中に広まることとなりました。たばこのパッケージ補強物から広告物へ。それがやがてカード自体の価値を生んでいったのです。ただの厚紙だったはずが、まるでデザインによって魔法をかけられたように価値あるものへと変化していきます。
このたばこカードは日本にも渡り、人気を集めます。しかしこのカード目当てに子供がたばこを買うという社会問題にもなりました。
■好きなことを作品に、そして問題解決へ
たばこカードから始まり、トレカはお菓子のおまけなどに展開していき、子供向けのコレクションアイテムへと変化していきます。トレカを使ったゲームも爆発的な人気を集めていくこととなりますが、トレカの展開は意外なところにも広がります。全国各地のダムで配布されているダムカード、マンホールカードはご存知でしょうか?公共施設に興味を持ってもらうきっかけになることはもちろん、観光の楽しさをより彩ることをトレカが担っています。京都では地元の銭湯の宣伝のため、銭湯トレカを制作されている方もいらっしゃいます。
実際、このトレカの特性を私の卒業制作でも応用しました。当時国家公務員だった私は、航空行政の抱える社会問題に対しトレカを用いたプロモーション企画を制作しました。この作品は後に仙台空港で実際に採用されることとなったわけですが、自分の好きなことを、社会の問題に役立てるべく、デザインの力で発信できることにかつてない喜びを覚えました。
■研究はつづく・・・
前述のトレカの歴史などは、在学中に研究した内容です。グラフィックデザインコースの課題は、後半になるとご自身で制作のテーマを決めていくこととなります。ただのトレカ好きだった私ですが、大学での研究をきっかけに「トレカを通して世界をみる」ように変化しました。トレカを研究していくことで、私たちのコミュニケーションをどう豊かにしていけるか?今後はさらに研究を深めていきます。
あなたの好きなことも、デザインによって何かを変えられるかもしれません。それって、めちゃくちゃ楽しくないですか?笑
最後におまけですが、こちらは私のとっておきのコレクションです。約8年前、保育園に通う娘が毎日カードを作ってくれていました。その日みていたもの、天気、気になった色などがカードに描かれています。お迎えに行きながら大学課題と向き合っていたあの日々を思い出すこのカードも、娘がデザインしてくれた大切な宝物です。
▼オンラインで参加できる11月体験入学でコースの学びを体験してみませんか?
グラフィックデザインが扱う専門領域は広く、日常のさまざまな場面で活かされています。今回は入門編として、きっとみなさんも日常的に目にしたことがある企業やサービスの有名ロゴを題材にしながら、そのデザインに隠されたアイデアや秘密を紐解いていきます。
近年ではデジタルデバイスに表示させるために、透過するロゴや動くロゴ、多種展開するロゴまで登場しています。そんなロゴデザインを紹介しながら、グラフィックデザインの面白さや奥深さについて触れていきます。
コース紹介ぺージ(大学公式HP)
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