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染織コース

2024年04月22日

【染織コース】新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。京都に来たら…

 こんにちは。染織コース主任の久田多恵です。
 この春ご入学された皆さんは急に生活が変わって慌ただしく過ごされていることでしょう。しばらくは始めてのことばかりで戸惑うことも多いかと思います。少しずつ慣れて学生生活を満喫してください。

瓜生山キャンパス 大階段横の桜


 さてこの頃はオンライン授業が充実していますので、京都の瓜生山キャンパスにはあまり登校しないで卒業を目指す方も多いでしょう。オンライン授業のみのコース(手のひら芸大)もあるし、週末芸大に属する染織コースでもオンライン授業のみを選択して卒業することが可能です。でもせっかく京都にある大学に入学されたのですから、京都での対面授業もぜひ履修してほしいと思います。迷ったり困ったりすることが多いこの時期、新入生同士で直接情報交換できるのは心強いことです。通信教育では1年次の授業に出席しているのは新入生ばかりとは限りません。中には入学2年目、3️年目の学生もいる場合もあります。アドバイスを聞けるかもしれないですよ。

三月に行われた特別講義の様子


 京都は見どころいっぱいです。金曜日に京都に着いたらあそこへ行こう、授業後の月曜日にはここに行ってみよう、と計画を立てるのは楽しいです。もちろん週末の授業の準備は入念に行なってくださいね。

 おすすめはたくさんありますが、染織に興味を持っている人なら毎月21日に行われる東寺のご縁日と毎月25日に行われる北野天満宮のご縁日は、一度は行ってみてほしいところです。金曜日や月曜日にまわってきたらチャンスです。早起きに自信があれば土曜日や日曜日に授業前の朝早くに行ってみるのもいいですね。早朝の方が掘り出し物があるそうですよ。

近鉄東寺駅


 東寺は正式には教王護国寺、弘法大師空海ゆかりのお寺です。ご縁日は「こうぼうさん」と呼ばれて親しまれています。北野天満宮は菅原道真公を御祭神としておまつりしていて、ご縁日は「てんじんさん」と呼ばれています。どちらも境内に所狭しと露店が並びます。露店は骨董品類や和服が多いのが特徴です。年代物から最近のものまで幅広くあります。着物や帯は数千円で絹のものが買えます。レトロな雰囲気で着こなす人もいるし、リメークの材料として買って行く人もいます。

初天神


 

境内の様子


 三月の天神さんでちょっと珍しいものを置いているところがありました。麻の糸や野蚕(やさん)の糸です。それらで織られた布もあるようです。野蚕というのは家蚕(かさん)に対して呼ばれます。絹糸を取るために桑の葉を食べさせて育てる蚕は家蚕で、桑以外の葉を食べる昆虫のうち、繭から糸を取ることができるものが野蚕です。

野蚕の糸


 これはタッサーシルクの糸です。ナシ糸というのは繭が枝にぶら下がるためについている部分を集めて作った糸とのことです。タッサーシルクは広く使われているのですがナシ糸は始めて見ました。

藍染絣の布


  こちらは藍染めの絣の端裂です。シンプルな柄ですがよく見ると巧みなデザインです。四角い白い形が菱形に並んでいます。たて糸を白く染め残しているところ、よこ糸を白く染め残しているところと、ちょうど真ん中に、たてとよこの白い色が重なってひときわ白が鮮やかになっている部分が印象的です。これは多分この柄が連続している布で、一つの柄ごとに切り分けて売っているものでしょう。裏を見ると綿の繊維が残っています。布団か座布団の布として使っていたものと思われます。柄も巧みだし織りも丁寧。藍色もいまだに鮮やかです。糸の白い部分が染まらないように加工する人、染める人、織る人はかならずしも同じではありません。でも織る人と使う人は同じ場合が多く、嫁入りする娘のためにお母さん(本人の場合もあり)が丁寧に織るということは近年まで行われていました。

裏側に綿の繊維がついています 


 露店は飲食店もたくさんあります。お参りしてからちょっと何かを食べて、古い着物や帯、古道具などを見て回るのが楽しいコースです。

飲食店の店内


 古道具屋さんには織物の道具もあります。糸を巻く木枠(こわく/きわく)は多く、稀に竹筬(たけおさ:織物のよこ糸を打ち込むためのもの)もあります。使える状態かどうかはよく見極める必要がありますが、時には掘り出し物に出会えることもあります。機会がありましたらぜひ出かけてみてください。

木枠


 

竹筬(これは奄美大島で買ったものです)


 

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